フレア
「コントロール、着陸許可を」
「了解。180度、60キロだ」
風の状況を教えてくれた。滑走路を右手に見ながら基地を通り過ぎる。
風が強い。朝凪にはならなかったようだ。
鳳流の長い主翼は時々嫌そうに揺れる。ギヤを下げるは最後でいい。フラップを五度、スロットルを中速に。
機首を下げる。機首を右に振りながら下降旋回。フラップを10度。
「篠滝、パワーランディングだ。遅れるな」
スロットルをカット。
貧弱なエンジンを強化し続けた結果、大馬力軽量のエンジンになったようだ。音が独特。
更に機首を下に。速度を高めに保って進入。
フラップを30度。
ギア・ダウン。
機首を上げた瞬間、逆ピッチに。エンジン最速。
背中がシートから離れる。減速のGでベルトが食い込む。
更に操縦桿を引き付ける。滑走路上、接地する瞬間に失速に入れる。
ラダーペダル上部を踏み込む。エンジンを低速に落とし、ミラーにシノタキ機が着陸するのを確認。
再びエンジンを最速に。急減速。すぐにエンジン・アイドル。ピッチを戻し、スロットルをカット。
慣性でエプロンに滑り込む。キリタがハンガーから飛び出してきた。そんなに新型機が見たいか。
まるで止まるまでの少しの間ももどかしい様にそわそわしている。エンジンを切る。
仕方が無いのでキャノピを上げながらヘルメットを脱いだ。パーキングブレーキ。
機体から飛び降りる。キリタが寄ってきた。
「新型機だな。噂どおりだ」
「噂?」
「お前等が新型機を受け取るって噂だ」
「知らなかったな」
「柳橋辺りから聞かなかったか?」
「ああ」
「高浪は?」
「あいつは死んだよ」
苦笑する。先月散ったはずだ。
「特に問題は無い。一応燃料は入れといてくれ」
「了解」




