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なんで俺は飛びたがるんだろう

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新しい読者の皆様、こんにちは。

『夢独居(Dream Seclusion)』をお読みいただき、誠にありがとうございます。

本作では、斎藤ジンコが、自らの存在意義を証明する道を探さねばならない世界が描かれます。彼の身分のような存在は、社会から容易く切り捨てられるものとして扱われる中で、ジンコは自身の信念から逸れるような選択に葛藤することになるでしょう。さらなる喪失に苦しむことはあるのでしょうか。彼はどこへ向かうのでしょうか。


その答えを知るために、どうぞ物語をお読み続けください。



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たしか…1877年じゃったと思う。

もう、わしもようわからんのう。


薩摩の乱のあとじゃ。うちの親戚も多うが参加しとったんじゃ。

なんでそんなことをしたんか、わしにはわからんのじゃ。

戊辰戦争が終わってもう十年近う経っとるのに、まだ…まだ戦わにゃならんのか?

たかが「侍の特権」のためになんぞ?


なんでじゃ…どうしてじゃろうか。


もう、みんなを失うのは疲れたんじゃ。

一緒に囲炉裏を囲んで大福かじりながら笑っとった人たちが、今では内臓を引きずられ川に投げ込まれとるんじゃから。


なあ、サル。

わしはただ、雲の一部になりたいんじゃ。

雲と一緒におりたい、雲になりたいんじゃ。

…なんでもええ。とにかく、全てから自由になりたいんじゃ。

軽く、重さを感じんようにしたいんじゃけど…言葉がよう出んのう。

なんでわし、自分の馬に話しかけとるんじゃろな ぶつぶつ


「よっしゃ!」

わしはそう叫び、サルにまたがったんじゃ。


明治の役人に目を光らせられとるけぇ、村から村への移動は簡単じゃないんじゃ。

でも、仕方ないんじゃ。やるしかないんじゃけぇ。


ため息

さて、白川郷に戻ろうかのう。雪が止むのをずいぶん待ったんじゃけぇの。


…わしは斎藤ジンコ。

西洋の人ならジンコ・サイトウと呼ぶんじゃろうな、まあどうでもええわい。

16歳じゃ。

これまでの人生、見てきたんは悲観か、楽観の影に潜む後悔ばかりじゃったんじゃ。


幸い、親も兄弟もまだ生きとるんじゃ。

でも、こう言わにゃならんこと自体、色々を物語っとるんじゃけぇ。

子供の頃、徳川幕府が倒れ、明治維新が訪れるのを目の当たりにしたことを、もし生き延びて子供に話すなら…まあ、面白い話にはなるかもしれんのう。


最近は、自分の心の中だけで思いを表すようになったんじゃ。

どうやら、自分の信念を口にすることは、世間の価値観にそぐわんらしいんじゃ。

…でも、わしは一体何を信じればええんじゃろかのう?


あ、サル、どうしたんじゃ?

馬を降りる

ああ、また蹄鉄か…まあ、ちょっとだけ我慢してくれよ。すぐに着くけぇのう。


馬にまたがる


で、話を戻すけど、わしは何を信じるべきなんじゃ?

個人的には、みんな従えばええと思うんじゃ。来るものに従い、過去を忘れ、新しい自分になればええんじゃ。

…簡単なことじゃろう?

でも、口に出すのは難しいんじゃ。言うたら追放されるかもしれんのう。


多分、わしがこう考えとるんは、疲れとるからじゃ。

体も、長い旅と移動でくたくたじゃ。

家というものをちゃんと知らんまま、白川郷だけがわしの帰る場所なんじゃ。

そして心は…もう誰にも繋がりとうないんじゃ。


誤解せんでくれよ。周りの人たちは愛しとるし、彼らの意思はわしの中で生き続けとるんじゃ。

でも、疲れたんじゃ。

わしくらいの年で、築いたつながりや愛情が消え去ったのに、どこかでまだ残っとる…そんな感覚に疲れたんじゃ。


もし、誰にも愛情を持たんかったら、失う恐怖もなくなるかもしれんのう。

でも、そうすると自分はどうなるんじゃ?

本当に人間として生きとる価値があるんじゃろうか?

人間は、つながり、愛し合い、それを糧に生きるもんじゃないんかのう?


…もしかしたら、わしはそれをやりとうないだけかもしれんのう。

育った環境が違ったせいで、声も見た目も他の人と違うせいで心の中が葛藤だらけなんかもしれんのう。

あるいは、ただの考えすぎかもしれんの。

でも、ひとつだけは確かじゃ。


怖い。

ほんまに怖いんじゃ。

だからこれから先、わしは自分の存在を認めさせるためなら、なんでもするんじゃよ。



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個人的には、ジンコの「逃げ出して軽やかになりたい」という気持ちに共感しました。

読者の皆さんも、彼の葛藤に共感していただければ幸いです。



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