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To be continued  作者: 綾瀬大和
国際線編
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49/50

最終話 To be continued

最終話 To be continued


成田の空は、春の光を孕んで穏やかだった。

監査フライトの最終便、バンクーバー往復から戻ってきた桐谷隼人は、着陸後の冷たいブレーキの感触と共に、すべてを終えた実感を噛みしめていた。


管制との交信も、クルーとの連携も、航行判断も、すべてが完璧だった。

それでも、自分の中では「結果」よりも大切なものが、この日を待っていた。


最終報告を終えて、監査官からの一言を受け取った瞬間、桐谷の胸に小さな灯がともった。


「おめでとうございます。これで、正式に教官資格も含め、すべての認定が終了です」


ありがとう、と短く頭を下げると、その足で彼は前回と同じ場所へ向かった。


——成田空港第2サテライト、深夜便の谷間。

出発の波が引いた静かなゲート横の待合スペース。

前回と同じ、自販機の灯りが、淡く足元を照らしている。


待っていたのは、小机アンナだった。

白いブラウスの上に紺のカーディガンを羽織り、髪をゆるくまとめていた。


「……来てくれて、ありがとう」


「こっちこそ。約束だったからな」


言葉を交わしながら、ふたりは並んで腰を下ろす。


一瞬だけ、空港の天井を見上げる。

あの時と同じように、なにか大切なことが、ここからまた始まる気がしていた。


「報告があるんだ」

「……うん」

「さっき、監査官から正式に言われた。合格だった。教官資格も、更新通ったよ」


アンナの顔がぱっと明るくなる。


「すごい……本当に、おめでとうございます」


「ありがとう。でも、それだけじゃない」


桐谷は、そっと右手をポケットに忍ばせ、小さなケースを取り出した。

手のひらの中、黒いベルベットに包まれた小箱が、わずかに震えているのが自分でもわかった。


「アンナ。……前に言ったよな。話したいことがあるって」


彼女が息を飲んだのが、空気の動きからわかった。


「俺さ……あの日、君が“またあなたの機に乗りたい”って言ってくれた時、本気で嬉しかった。あんな風に誰かに必要とされたの、初めてだった」


「……うん」


「だから、今度は俺から言わせてほしい。——これから先も、ずっと隣にいてほしい。俺の飛ぶ空を、君と一緒に見上げていきたい。……結婚してほしい」


小机アンナは、しばらく何も言わなかった。

けれど、その瞳には、ためらいはなかった。


涙が浮かび、そして彼女は、ふわりと微笑んだ。


「……はい。よろしくお願いします」


その答えが、桐谷の胸に静かに、けれど確かに届いた。


空港の静寂の中、誰もいないその空間で、ふたりはゆっくりと抱き合った。

制服の袖越しに感じた体温が、どこまでも優しかった。


——人生の空を、これからはふたりで飛ぶ。

そんな未来が、確かに始まろうとしていた。


空の仕事に人生を捧げた男と、

空に寄り添うように歩んできた女。


ふたりが出会い、言葉を重ね、すれ違いを越えたその先に、

小さな約束が生まれた。


それは「ただいま」と「おかえり」を交わすための、最初の一歩。


夜明け前の成田。

空に溶けていくような未来の色を、ふたりは確かに見ていた。 

 


1年後……2025年1月 

アンナは微笑みながら言う 

「あなたいってらっしゃい♪」 

 

 娘のミミカが微笑みながら言う

「おとうたんいってらたい♪」 

桐谷は靴を履き 

「あぁ…行ってくるまた明日!」 

The rust episode! 


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