9. 王女付侍女の振りをするお姫様
※随分長い期間、更新せずに申し訳ありませんでした。
ようやく更新できました。ここからは急ピッチで10月までに完結を目指します。
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突然、デイジー姫の前に現れて自分を助けてくれた美青年ダルタニアン。
デイジー姫は少し胸が高鳴りました。
だけど、一つだけ彼の行動に不信な点があった事も見逃せませんでした。
「──ダルタニアン殿、先ほどは恥ずべき輩から、私を助けていただいた礼をいうが……ええっと、ひとつだけ質問してもよろしいか?」
とデイジー姫は、自分では侍女らしい言葉を選んだつもりでしたが、なぜか妙に威張って堅苦しくなってしまいました。
「え、はい、どうぞ!」
とダルタニアンは一瞬ギョッとしました。
なぜって、ダルタニアンはデイジー姫を王女付の侍女とはいえ、この若い侍女が不遜な態度で、自分に話しかけるのが意外だったからです。
なおかつ、さきほど自分が助けた時の、可憐な乙女らしい印象とは違うチグハグさも感じました。
同時にダルタニアンはニヤニヤと顔がほころびます。
なぜってダルタニアンはこうも思ったんです。
ふむ、この侍女様はとんと面白い娘だ。
まだ少女とみまごうほど若いのに、随分と王女みたいな言い回しをするもんだ。
もちろんダルタニアンは、この幼い侍女が、まさか本物の王女だと知る由もありません。
王女が城から追い出されたなんて、夢にも思わないでしょうから。
王女様お付きの侍女だし、得てして城内で働く侍女なんて、気位が高い高慢チキばかりだろうと。
そんなダルタニアンの思案などおかまいなしに、デイジー姫はツンとすまして言いました。
「さきほどそなたは『俺が目を離したすきに……』と申したが、もしかして城からずっと私を付けてたの?」
「ああ、はいはいそうですよ。実は依頼されたのはアンヌ様の護衛と、夕食まで間に合うように屋敷にお連れしろ、と兄からの命だったので……」
──やっぱり!
デイジー姫の勘は当たりました。
多分これは、王様(お父様)が密かに私に護衛を付けていたのだと理解しました。
──でも、この者は私がアンヌ(侍女)だと思っているわ。
もしかして王様は、私が王女という事を隠して護衛をつけたのかも。
デイジー姫は必死で頭を廻らせます。
だけど──それもそうよね。
このまま身分を隠して護衛騎士の家に身を寄せて、侍女のアンヌの振りをしろ! という王様の命だろう。
だけど、果たしてこの私が侍女の仕事などできるかしら?
デイジー姫は首をプンと横に振りました。
──いやいや、私は追い出されたとはいえ王女なのだ。
侍女の振りくらい、なんとかなるだろう。
王様の意図は読めないが、とりあえず今は侍女の振りをしよう。
とデイジー姫は決心しました。
一方、ダルタニアンはデイジー姫が思案している姿を黙って見守っていましたが、彼女の決意ならぬ顔が余りにも必死過ぎて、なんだか気の毒に見えたのです。
──よし、それなら侍女の不安を取り除いてあげよう。
と、すっとデイジー姫に近づき囁きました。
「恐れ入りますがアンヌ様。あまり心配なさらずとも大丈夫ですよ」
「ヒッ?」と驚くデイジー姫。
いつのまにかダルタニアンが横にいるのでビクッとしました。
「あ、失礼しました。まあ突然、俺みたいな若い護衛がひとり来たら不安でしょうけど」
「あ、いえ……そんな事はないわ」
デイジー姫は、どぎまぎしながら首を振りました。
「それなら良いのですが──。これからお連れする俺の実家ですけど。一応、代々王宮を警護する騎士の家系です。当主も国王から子爵の位を承っておりますし、近衛騎士団に所属しているれっきとした武人です」
「まあまあ、騎士団も貴族の家系だったのね。失礼だけど騎士って剣技の才がある平民出身ばかりと思ってたわ。それにしても親はともかく、子息である貴方もその若さで、近衛騎士団なんてたいしたものだわ!」
「あ、申し訳ありませんが、俺はまだ騎士見習いなんです」
「え、見習い?」
「ええ中等貴族学院を卒業して、そのまま騎士団の見習い生になったばかりでして……」
「え、中等……って、貴方そんなに若いの?」
「はい、十六になりました」
「あらまあ……」
デイジー姫は呆気にとられました。
確かにダルタニアンの風貌は若いが、背丈もあるし落ち着いた雰囲気だったので、まさか自分より三つしか離れていないとは思いませんでした。
──驚いた、てっきり成人しているのかと思ったわ。
デイジー姫の胸の鼓動は、またしてもドキドキとはやります。
それでも、敢えてその鼓動を意識したくないデイジー姫は、彼の普段着の身なりに目を向けます。
「ああ、だから貴方の姿は王宮では見慣れない恰好なのね」
「え、あ……」とダルタニアンも自分の服装に気付きます。
ダルタニアンの姿は、城にいる近衛騎士団のキッチリした制服ではなく、白いシャツに紺色のベスト、下は黒いキュロットで皮の茶ブーツを履いていました。
多分、貴公子の普段着はダルタニアンのような出で立ちなのだろうと、デイジー姫は察しました。
なにせデイジー姫はこれまで殆どお城から出た事がなく、公共の場でも正装姿の貴公子か衛兵、市井の民との対面でも、身なりのきちっとした者しか見たことが有りませんでした。
パッと見てダルタニアンの姿は、城の庭園で働く従者とたいして変りません。
そう、エプロンをしているかいないかの違いでした。
「あ、これは失礼、実は平民服でと、これまた兄から指示されまして。多分あまり人目につかぬようにと察しました」
「──そうでしょうね」デイジー姫も同意します。
「あの~アンヌ様、申し訳ありませんが、ご質問は道中でお答え致します。多分、実家の主が心配しています。そろそろ参りましょう」
ダルタニアンは時計台の針が3時半を示してるのを見て慌てていった。
「そうだったわね、屋敷は近いの?」
「はい、ここからだと徒歩で半刻はかかります。すぐ先に馬を繋いでるのでお乗りください」
「分かりました」とデイジー姫は腰かけていたベンチから立ち上がろうとしたが、ガクッと下半身に力が入らずバランスを崩しました。
「キャッ!」
「危ない!」
とっさにダルタニアンは、デイジー姫を抱きとめます。
「痛っ……足が……」
「え? どうされました」
どうやらデイジー姫は足をケガしてたようです。
※ 申し訳ありません。ダルタニアンの言葉遣いを少々荒っぽく変えました。
※ 半年たつとキャラクターのイメージが変化してしまったので、言葉遣いも「僕」→「俺」に変えました。
(≧Д≦)




