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みにくい顔だと思い込んでいるお姫様のおはなし  作者: 星野 満


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3/3

3. いつも床を見て歩くお姫様

※デイジー姫の奇行はどんどんエスカレートしていきます。

✧ ✧ ✧ ✧


 


 『デイジー姫は夜ごと花園で呪文をする魔女』と悪噂(デマ)が広まってから、姫は自分の外見にも無頓着になっていきました。


 同時に食も細くなり、どんどん痩せていきます。

 

 それまで愛らしかったデイジー姫のぷにぷにした二の腕は、()()()のように細くなり、髪の毛もバサバサで伸び放題です。


 その有様をみた城の者たちは、“デイジー姫はまるで案山子(かかし)だ”とヒソヒソ噂されました。

 


✧ ✧



 城内の廊下でも、デイジー姫はいつも(うつむ)いてフラフラと歩きます。

 そのせいで向こうから来る人や、廊下の脇にある柱や置き物によくぶつかります。



 ある日のこと──。

 珍しく散歩をしていたデイジー姫が部屋に戻った時、彼女は体中びっしょりでスリ傷だらけでした。


「きゃあ!──デイジー様、どうなさったのです!!」

 

 その姿を見た乳母が悲鳴をあげました。


 デイジー姫はびしょぬれでした。

 おまけにお顔も、べったりと泥がついているし、ドレスも泥まみれです。

 擦りむいた手足は、あちこちキズだらけで血もにじんでいました。


「乳母様、申し訳ありません。姫様は雨上りの中庭に出たのですが、下ばかり向いて歩くので、人にぶつかって転んで泥に汚れた池に落ちてしまいました。姫さまの後ろで歩いている私共は、間に合わずお助けできませんでした」


 デイジー姫のお付のメイドたちがひらに謝ります。


「おおげさね。ちょっと()りむいただけよ。乳母が調合したいつもの蜂蜜(はちみつ)を塗れば治るわ」

 

 デイジー姫の発言に呆気にとられるメイドや従者たちでしが、当のデイジー姫はいたって元気です。


「ああ姫様……なんとおいたわしい……」


 赤子の頃から可愛がっていた乳母は姫のあまりの変り果てように、涙がこぼれて仕方がありません。 



 ──これはもう、私の手にはおえない。


 乳母はとうとう(さじ)を投げて王妃様に報告をしました。



✧ ✧


 

 そんなデイジー姫の悲惨な姿を遠くから見つめる城の従者や官僚たち。

 みなヒソヒソと噂し始めます。


「デイジー姫は、頭がおかしくなったのでは?」

「わたしら下々の者にも、にこやかに微笑んでくれた“可愛いおちびちゃん!”」

「なぜ髪を切らない、あれではまるで畑の案山子(かかし)だろう」

「あの姿が我が国の王女だなんて。恥ずべきことだ!」


 たまにデイジー姫が出歩けば、城内のあちらこちらでデイジー姫を憐れみ、時には侮蔑(ぶべつ)をする者もいました。



✧ ✧ 



 デイジー姫の奇行に一番怒ったのは父親の国王様でした。


「ワシは許さん、絶対に許さんぞ!」


 城内のデイジー姫にカンカンに怒っています。


「なんたる事だ!三女とはいえ、王国の王女ともあろうものが、行事には一切顔をださないで、部屋に引きこもって、なおかつおかしな噂がたっているとは!」


 すると慌てた王妃様と上の二人の姉君様が、王様の怒りを(なだ)めようとしました。


「王様、どうかどうか、どうかお気をお静めくださいませ」


「そうですわ王様、デイジーは一時(いっとき)だけ心が病んでるだけです。すぐ元の素直なデイジーに戻りますわ」とローズ様。


「そうですわ王様、わたしたちもデイジーを支えますから、どうかお怒りをお(おさ)めください」

 とリリアン様も加勢します。

 

 しかし、王様は首をたてに振りませんでした。

 それどころか王様の怒りはますます収まりませんでした。


「ならん! 既に家臣の報告ではデイジーは何か月も部屋に引き籠ってると聞いた!」


 王様の怒号(どごう)が王族の部屋中に(ひび)かせました。


「ローズとリリアン、お前たちが何度もデイジーを気遣ったのに、デイジーはお前たちにも、門前払いをくわせたというではないか!」


「まあ、そこまで知っておいででしたの」


「王妃、知ってるもなにもワシの目を節穴だとでも思っておるのか!」


「「ああ王様、どうかお許しを……」」


 王妃様も姉君様たちも、王様がデイジーの素行の酷さについて全てお見通しだと知り、おろおろします。


「お前たちも、甘やかしてばかりでは、デイジーのためにならん! 王女なら王女としての役目を果たさなければならない。それができないなら、ワシはあのような怠慢(たいまん)な者を娘とは認めん!!」


 とうとう王様は家臣に命じます。


「即刻、城からデイジーを追い出せ!」



「「ええ、王様!それは、さすがに酷い仕打ちですわ!」」


 王妃様も、姉君さまたちも必死に止めましたが、王様の怒りは最後まで収まりませんでした。



✧ ✧



 翌朝、デイジー姫は使用人の服と替えの下着を二枚。少しの食物と水。

 そして少々の貨幣が入っている袋を渡されて、お供も誰もつけず城から追い出してしまいました。




※ デイジー姫はとうとうお城から追い出されてしましました。

※ ここまでお読みいただきありがとうございます。次回は2/3の予定です。

m(__)m

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― 新着の感想 ―
ええっ!あんなに可愛かったデイジーちゃんがそんなことに…(ToT) ついに追放まで…これからどうなっちゃうのデイジーちゃん。 でも、でも…王様もホントは心配してるんだよね?だって可愛い娘なんだもんね…
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