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みにくい顔だと思い込んでいるお姫様のおはなし  作者: 星野 満


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1. わたしはみにくいと思い込むお姫様

※「冬の童話祭2026」テーマは「きらきら」参加作品です。

※自分の/ことを醜いと思い込んでいるお姫様のお話です。


 ✧ ✧ ✧ ✧



 むかしある王国に、自分が誰よりもみにくいと思いこんでいる、風変わりなお姫様がおりました。


 お姫様の名前はデイジー姫と申します。



 デイジー姫は一番末のお姫様で、すぐ上に、それはそれは美しい姉君が、二人いらっしゃいました。


 長女は赤薔薇(あかばら)のように、華やかなお顔立ちのローズ姫様。


 次女は白百合(しらゆり)のように、たおやかなお顔立ちのリリアン姫様です。



 デイジー姫も幼き頃は自分がみにくいなどと、これっぽっちも思わず、キラキラと光り輝く笑顔がまぶしい、それはそれは愛らしい姫君でした。


 デイジー姫はとってもお転婆で、乳母の目を盗んでは、城内をちょこまかと動きまわり、誰にでも分けへだてなく、にこにことかわいい笑顔をお見せになったので、城の従者たちからも、それはそれは慕われておりました。


 いつしか城の従者たちは、口々にデイジー姫を “可愛いおちびちゃん” と、密かに愛称(あだな)をつけるくらい、お城の人気者になりました。


 それがどうしたことでしょう。

 デイジー姫が十三歳になったある日、突然、人が変ってしまいました。


 そのきっかけとなったのは、大人が主催する舞踏会に初めてデイジー姫が参加してからでした。


 華やかな舞踏会から戻ってきたデイジー姫は、乳母たちの前で大きな声で嘆(なげ)きます。


「自分は二人の姉君と、ぜんぜん似てないし美しくもない! それどころか、誰よりもみにくいわ!」

 

 と、着ていた檸檬(れもん)色のドレスを叩きつけて、ベッドに突っ伏して、わあっと泣きだしたのです。


 乳母たちは一体全体、デイジー姫様はどうされた?とオロオロするばかりです。



 ✧ ✧



 その日からデイジー姫はガラリと変わりました。

 毎日毎日『私はみにくい娘だ』とブツブツつぶやいては、シクシク泣いてばかりいます。


 そのせいから彼女の目は泣きすぎて、うさぎの眼のように真っ赤に腫れあがり、食事もおろそかになり、どんどん痩せていきました。

 

 おお、どうしたものか……と困り果てた乳母たちは『わたしはみにくい!』というデイジー姫の、思い込みを変えようと


「姫様はちっともみにくくなどございません。それはもう姉君様たちに劣らずお可愛いですよ」


 とオウムのように毎日毎日くり返します。

 いくら乳母やメイドたちが励ましても、デイジー姫はうなずきません。


 逆に乳母たちが可愛いといえばいうほど、余計に悪態(あくたい)をつきました。  


「やめてよ! お前たちは私がかわいそうだから、そんな見え透いたウソをつくのね! いいからあっちへおいき!」と。


 こうしてデイジー姫は、乳母たちの言葉をピシャリとはねつけました。


 ✧ ✧


 その内、デイジー姫は気分が優(すぐ)れないからと、王族の日々の晩餐どころか、国のお祝いからお弔(とむら)いの行事、はては令嬢たちのお茶会まで、一切のイベントに参列しなくなりました。


 いつも同じ理由で断り、自分の部屋に引きこもってばかりです。


 乳母が心配してお医者様にみせましょうか、といっても「うるさい!」と一言で、はね付けてしまいました。



 ✧ ✧



「おかしなことね、なぜデイジーはそんなに変ったのかしら?」


 ある日母親の王妃様が、乳母からの末娘の報告を聞いて呆気にとられました。


「ほんとうね、お母様、あんなに天真爛漫(てんしんらんまん)な明るくて素直な子だったのに」


「ほんとうですわ、ローズお姉さま。私たちの可(・)愛(・)い(・)お(・)ち(・)び(・)ち(・)ゃ(・)ん(・)が、なぜこうも捻(ひね)くれてしまったのかしら?」


 王妃様も二人の姉君様も、デイジー姫がどうして自分をみにくいと思い込んでいるのか、さっぱり見当がつきません。


 まさかデイジー姫が、姉たちの美しさにひがんで、引きこもっているなんて夢にも思いません。


 なぜならデイジー姫の顔立ちは二人が見ても、いえ誰が見てもみにくくないからです。


 ただ一点。

 三姉妹を順に見ていくと、デイジー姫は上の姉君様たちとは、お顔立ちは似ていませんでした。


 姉君様のように、王族特有の黄金色(こがねいろ)の波打つ髪と、サファイア宝石のようなキラキラしい蒼(あお)き瞳(ひとみ)ではありませんでした。


 とはいえデイジー姫の小麦色の肌は、とってもハリがあるし瑞々(みずみず)しく、はしばみ色のつぶらな瞳は、デイジー姫の明るいマロンクリーム色の豊かな髪にとっても似合っていました。



「「デイジーはどこからどう見ても可愛らしいのに、一体どうしちゃったのかしら?」」


 ローズ姫とリリアン姫は、お互い首をかしげて妹をただただ心配するばかりでした。




※ 連載投稿チャレンジ参加作品です。

※ 2026/9/2 修正済み

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― 新着の感想 ―
タイトルは異世界恋愛かと思ってしまいましたが、可愛い始まりだなぁと読んでおりまして…………童話なんだと気づきました。Σʕ•ᴥ•ʔ童話の連載チャレンジ頑張って下さい! デイジーの思い込みは何か理由がある…
お姉さんが美し過ぎて、それと比較してしまって、落ち込んでしまっているんですね、デイジーちゃん。なんとか元気になってくれる方法はないのかな〜?
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