1. わたしはみにくいと思い込むお姫様
※「冬の童話祭2026」テーマは「きらきら」参加作品です。
※自分の/ことを醜いと思い込んでいるお姫様のお話です。
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むかしある王国に、自分が誰よりもみにくいと思いこんでいる、風変わりなお姫様がおりました。
お姫様の名前はデイジー姫と申します。
デイジー姫は一番末のお姫様で、すぐ上に、それはそれは美しい姉君が、二人いらっしゃいました。
長女は赤薔薇のように、華やかなお顔立ちのローズ姫様。
次女は白百合のように、たおやかなお顔立ちのリリアン姫様です。
デイジー姫も幼き頃は自分がみにくいなどと、これっぽっちも思わず、キラキラと光り輝く笑顔がまぶしい、それはそれは愛らしい姫君でした。
デイジー姫はとってもお転婆で、乳母の目を盗んでは、城内をちょこまかと動きまわり、誰にでも分けへだてなく、にこにことかわいい笑顔をお見せになったので、城の従者たちからも、それはそれは慕われておりました。
いつしか城の従者たちは、口々にデイジー姫を “可愛いおちびちゃん” と、密かに愛称をつけるくらい、お城の人気者になりました。
それがどうしたことでしょう。
デイジー姫が十三歳になったある日、突然、人が変ってしまいました。
そのきっかけとなったのは、大人が主催する舞踏会に初めてデイジー姫が参加してからでした。
華やかな舞踏会から戻ってきたデイジー姫は、乳母たちの前で大きな声で嘆きます。
「自分は二人の姉君と、ぜんぜん似てないし美しくもない! それどころか、誰よりもみにくいわ!」
と、着ていた檸檬色のドレスを叩きつけて、ベッドに突っ伏して、わあっと泣きだしたのです。
乳母たちは一体全体、デイジー姫様はどうされた?とオロオロするばかりです。
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その日からデイジー姫はガラリと変わりました。
毎日毎日『私はみにくい娘だ』とブツブツつぶやいては、シクシク泣いてばかりいます。
そのせいから彼女の目は泣きすぎて、うさぎの眼のように真っ赤に腫れあがり、食事もおろそかになり、どんどん痩せていきました。
おお、どうしたものか……と困り果てた乳母たちは『わたしはみにくい!』というデイジー姫の、思い込みを変えようと
「姫様はちっともみにくくなどございません。それはもう姉君様たちに劣らずお可愛いですよ」
とオウムのように毎日毎日くり返します。
いくら乳母やメイドたちが励ましても、デイジー姫はうなずきません。
逆に乳母たちが可愛いといえばいうほど、余計に悪態をつきました。
「やめてよ! お前たちは私がかわいそうだから、そんな見え透いたウソをつくのね! いいからあっちへおいき!」と。
こうしてデイジー姫は、乳母たちの言葉をピシャリとはねつけました。
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その内、デイジー姫は気分が優れないからと、王族の日々の晩餐どころか、国のお祝いからお弔いの行事、はては令嬢たちのお茶会まで、一切のイベントに参列しなくなりました。
いつも同じ理由で断り、自分の部屋に引きこもってばかりです。
乳母が心配してお医者様にみせましょうか、といっても「うるさい!」と一言で、はね付けてしまいました。
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「おかしなことね、なぜデイジーはそんなに変ったのかしら?」
ある日母親の王妃様が、乳母からの末娘の報告を聞いて呆気にとられました。
「ほんとうね、お母様、あんなに天真爛漫な明るくて素直な子だったのに」
「ほんとうですわ、ローズお姉さま。私たちの可愛いおちびちゃんが、なぜこうも捻くれてしまったのかしら?」
王妃様も二人の姉君様も、デイジー姫がどうして自分をみにくいと思い込んでいるのか、さっぱり見当がつきません。
まさかデイジー姫が、姉たちの美しさにひがんで、引きこもっているなんて夢にも思いません。
なぜならデイジー姫の顔立ちは二人が見ても、いえ誰が見てもみにくくないからです。
ただ一点。
三姉妹を順に見ていくと、デイジー姫は上の姉君様たちとは、お顔立ちは似ていませんでした。
姉君様のように、王族特有の黄金色の波打つ髪と、サファイア宝石のようなキラキラしい蒼き瞳ではありませんでした。
とはいえデイジー姫の小麦色の肌は、とってもハリがあるし瑞々しく、はしばみ色のつぶらな瞳は、デイジー姫の明るいマロンクリーム色の豊かな髪にとっても似合っていました。
「「デイジーはどこからどう見ても可愛らしいのに、一体どうしちゃったのかしら?」」
ローズ姫とリリアン姫は、お互い首をかしげて妹をただただ心配するばかりでした。
※ 連載投稿チャレンジ参加作品です。
※ 2026/9/2 修正済み




