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みにくい顔だと思い込んでいるお姫様のおはなし  作者: 星野 満


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1. わたしはみにくいと思い込むお姫様

☆「冬の童話祭2026」テーマは「きらきら」参加作品です。

※自分のことを醜いと思い込んでいるお姫様のお話です。

※2026/4/18 修正済み

 ✧ ✧ ✧ ✧



 むかしある王国に、自分が誰よりもみにくいと思いこんでいるお姫様がおりました。


 お姫様の名前はデイジー姫と申します。



 デイジー姫は末のお姫様で、すぐ上にそれはそれは美しい姉君が、二人いらっしゃいました。



 長女は赤薔薇(あかばら)のように、華やかなお顔立ちのローズ姫。


 次女は白百合(しらゆり)のように、たおやかなお顔立ちのリリアン姫です。



 デイジー姫も幼い頃は自分がみにくいなどと、これっぽっちも思わず、キラキラと光り輝く笑顔がまぶしい、それはそれは愛らしい姫君でした。


 デイジー姫はとてもお転婆で、乳母の目を盗んでは城内をちょこまかと動きまわり、誰にでも分けへだてなく、にこにことかわいい笑顔をお見せになったので、城の従者たちからも、とても慕われておりました。


 いつしか城の従者たちは、口々にデイジー姫を“可愛いおちびちゃん”と、密かに愛称(あだな)をつけるくらい、お城の人気者になりました。



 ✧ ✧



 それがどうしたことでしょう。


 デイジー姫が十三歳になった途端、突然、姫は変わりました。


 そのきっかけとなったのは、大人が主催する舞踏会に初めてデイジー姫が参加した日でした。


 舞踏会から戻ってきたデイジー姫は、乳母たちの前で大きな声で(なげ)きました。


「自分は二人の姉君と、ぜんぜん似てないし美しくもない!それどころか、誰よりもみにくい(むすめ)だ!」

 と着ていた檸檬(れもん)色のドレスを叩きつけて、ベッドに突っ伏して、わあっと泣きだしたのです。


 乳母たちは一体ぜんたい、姫様はどうなさったのかとオロオロするばかりです。



 ✧ ✧



 その日からデイジー姫はガラリと変わりました。

 

 毎日毎日『私はみにくい娘だ』とつぶやいては、しくしくと泣いてばかりいます。


 そのせいから彼女の目は泣きすぎて、真っ赤に腫れあがり、食事もあまり食べず、どんどんやせ細っていきます。


 困り果てた乳母たちは『わたしはみにくい!』というデイジー姫の、思い込みを変えようとオウムのようにくり返します。


「いいえ、姫様はちっともみにくいなどございません。それはもう姉君様たちに劣らずお可愛いし、とてもお綺麗ですよ」


 といくら乳母やメイドたちが励ましても、デイジー姫はうなずきません。


 逆に乳母たちが可愛いと言うたびに、もっと悪態(あくたい)をつくのです。  


「はん、お前たちは、私がかわいそうだから、そんな見え透いたウソをつくのね、あっちへおいき!」と。


 デイジー姫は、乳母たちの言葉をピシャリとはねつけました。


 ✧


 その内、デイジー姫は気分が(すぐ)れないからと、王族の日々の晩餐どころか、国のお祝いからお(とむら)いの行事まで、一切のイベントに参列しなくなりました。


 いつも同じ理由で断り、自分の部屋に引きこもるようになってしまいました。


 乳母が心配して、王族の主治医にみせましょうか、といっても、「うるさい!」と断ってしまいました。



 ✧ ✧



「おかしなことね、なぜデイジーはそんなに変ってしまったの?」


 ある日、母親の王妃様が乳母からの、末娘の報告をきいて驚きを隠せませんでした。


「本当よねお母様、あんなに天真爛漫(てんしんらんまん)な明るい素直な子だったのに」


「本当ですわ、ローズお姉さま。私たちの可愛いおちびちゃんが、なぜこうも、ひねくれてしまったのかしら?」


 王妃様も二人の姉君も、デイジー姫がなぜ自分がみにくいと思い込んでいるのか、さっぱり見当がつきません。


 二人の姉たちはデイジーが、自分たちの美しさにひがんで、引きこもっているなどとは、夢にも思いませんでした。


 なぜならデイジー姫の顔立ちは二人が見ても、いえ、誰が見てもみにくくないからです。



 確かにデイジー姫は姉君たちとは、お顔立ちは余り似ていませんでした。


 姉君たちのように、王族特有の黄金色(こがねいろ)の波打つ髪と、宝石のようにきらきらしい(あお)(ひとみ)ではありません。



 而して、デイジー姫の小麦色の肌はハリがあってとてもみずみずしく、はしばみ色のつぶらな瞳は、デイジー姫の明るいマロンクリーム色の豊かな髪に、とてもよく似合っていました。



「「デイジーったら、どこからどう見ても可愛らしいのに、一体どうしちゃったのかしら?」」


 ローズ姫とリリアン姫は、お互い首をかしげて、妹をただただ心配するばかりでした。









※ 連載投稿チャレンジ参加作品です。連載は週1回とゆっくり投稿です。

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― 新着の感想 ―
タイトルは異世界恋愛かと思ってしまいましたが、可愛い始まりだなぁと読んでおりまして…………童話なんだと気づきました。Σʕ•ᴥ•ʔ童話の連載チャレンジ頑張って下さい! デイジーの思い込みは何か理由がある…
お姉さんが美し過ぎて、それと比較してしまって、落ち込んでしまっているんですね、デイジーちゃん。なんとか元気になってくれる方法はないのかな〜?
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