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どうでもいい話 脱力エッセー  作者: カキヒト・シラズ


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シリーズ世界文学最高峰② 君は「白鯨」の面白さがわかるか?

初出:令和6年3月11日


 さて、シリーズ世界文学最高峰第二弾は「白鯨」のトリビアである。

 ハーマン・メルヴィル「白鯨」の読書感想文は『メルヴィル「白鯨」はなぜ世界十大小説か』に書いた。併せてお読みいただきたい。


 学生時代、英文科大学院の先輩から面白いことを教えてもらった。

 彼は「白鯨」こそ、アメリカ文学の最高傑作だとしながらも、マニアしか知らない下ネタもあるとのこと。

 「白鯨」の主人公は小生はイシマエルだと思うが、エイハブ船長だと言う評論家もいる。いずれにせよエイハブ船長が同作品の重要人物であることには小生も同意する。

 エイハブ船長のエイハブは音からすると「I have」に近い。

 一方、「白鯨」の原題は「モービーディック(Moby-Dick)」だが、これは音からすると「Moving Dick」に近い。

 二つ合わせるとこうなる。


「I have Moving Dick」 

(筆者訳:「おれのイチモツがうずくぜ」)


 メルヴィルは確信犯だと思う。メルヴィルならやりかねない。


 文学作品の中には冒頭の文章が有名なものも少なくないが、「白鯨」もそうだ。プロローグを除く、本編の最初の文章はこれだ。


「Call me Ishmael」

(筆者訳:「私をイシマエルとでも呼んでくれたまえ」)


 イシマエルというのは主人公の本名でなく、この作品中での仮名かもしれない。

 この一文が作品全体のトーンを決定づけている。

 旧約聖書に登場するイシマエル。自称イシマエルは、自分は悪くないのに世間から疎まれる悲劇のヒーローという意味にもとれるし、異端者、変わり者、周囲から浮いた人のようにもとれる。

 イシマエルが書いた文章だから、これから鯨オタクのトンデモワールドが始まるのを覚悟せよ、という読者へのメッセージでもあるだろう。

 

 イシマエルは中学校の教師から転職し、捕鯨船の乗組員になった。

 学校の先生から肉体労働者へのデューダはきつい。そんなイシマエルの泣き言が物語の冒頭に一言書いてある。

 この泣き言が全編通じたイシマエルの唯一の本音だと思う。


 メルヴィルはどちらかと言えば、死後、評価された作家に分類されると思う。

 生前、本は出版していたが、いわゆる兼業作家で生計は別の仕事で立てていたようだ。

 代表作「白鯨」も世間の注目を集めたのは発表から半世紀後とのこと。

 だとしたら、われわれ「なろう」作家の作品も、100年後、200年後くらいには日の目を浴びることがあるのではないか。

 そんな幻想を抱かせてくれるのも、「白鯨」が好きになる要素ではある。


(つづく)

 

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