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第二十話 闇の市で金稼ぎ

 我の名前はアルルン・ボットン。フェアリーなのであーる。

 同時に、闇の市の支配人でもあるのであーる。


 昔は魔人向けに開かれていた闇の市だが、今はその対象を人間に変えたのが良かったのか、ネット販売にも手をつけたのが良かったのか、ともかく売上は右肩あがりである。


 うはうはであーる。左うちわであーる。

 特に、人類解放軍とかいう連中はお得意様で、めっちゃふっかけても文句一つ言わないのであーる。


 カランカラン♪

 

「いらっしゃいませ、なのであーる」


「あ、どうも。コガネです」


 噂をすれば人類解放軍のコガネさん……こりゃまた一儲けさせて貰えそうなのだ。


「おっと、コガネ様であーるか。今日は何の御用で?

 武器も防具も、新しいものを沢山仕入れたのであーるよ」


「あの、今日はちょっと売りたいものがあって……店内に運んでも?」


「もちろんであーる。【誰にでも売る、なんでも買う】がわが店の売りであるからな」


 我がそう言うと、彼女の手下が店の中にドシドシとダンボールを運んできた。

 中身はコラ・コーラの瓶に入った翡翠色の液体……それが百本ほど。


「これは、なんであーるか? 色からしてコーラでは無いようであるが」


「器はコーラですけど、中身は最上級汎用薬です」


「最上級汎用薬? ……疑うわけではないであ~るが、検査しても?」


「もちろん」


 この人は正直者なので、多分嘘ということもないであるが……これだけの量となると信じがたいのである。


 しかし、ナビに確認(鑑定)させると、

 <間違いなく、最上級汎用薬相当の効能を持つ液体です>

 という答えが返ってきたのであーる。


 一体どうやって手に入れ入れたのか、まったく想像がつかないのである。


 普通に考えて可能性が高いのは強盗であろうが、これだけの量の最上級汎用薬が盗まれたなら、我の耳に入らないわけがない。

 

 ……謎である。わからないのである。


「どうですか? いくらほどになります?」


「むむむ、少し計算するのであーる」


 これは嘘であーる。我は天才なので、既に計算は終わっているのだ。


 1瓶あたり200mlの最上級汎用薬が入っていて、それが百本。つまり、総量は20000mlである。


 そして、最上級汎用薬は本来なら1瓶50mlで販売価格が10万円なのである。


 ということは、20000ml = 4000万円相当であーる。


 しかし、コラ・コーラの瓶に入ってること、これだけ大量に用意できた事を考えると、何か訳あり品なのは間違いないのである。よって、ここは少し思い切りふっかけてもいけそうなのであーる。


「う~む、コガネさんはお得意様であーるからな……全部で1000万でどうであるか?」


「1000万円? 良いんですか?」


「もちろんであーる。闇の市は客を大事にする店なのであるからな」


 ふっふっふ。


 回復薬は魔人界攻略のおかげで需要があるから、定価でもじゃんじゃん売れる。


 こりゃあラッキーなのであーる!


 社会的弱者から搾取するのは気持ちいいのであーる!


「それじゃあ、もっと沢山あったら、同じ値段で買ってもらえますか?」


「え?……まあ、いいであるよ。どのくらいであるか?」


「必要なら、いくらでも」


 え? ……いくらでも? 聞き間違いであるか?


 ☆


 闇の市から帰ってきたコガネは開口一番。

「黒木さん! 追加をよろしくお願いします!」

 と、俺の部屋に入って叫んだ。

 

「あ、ポーション売れたんだな。いくらだった?」


「全部で1千万円です。これなら、すぐにみんなの装備を新調できますよ!」

 1千万。まじか、結構な金になったな。

 

「えっと、100本生産するのに2時間掛かったから、寝ずにやればだいたい1日1億2千万円の稼ぎになるのか」


 ……え? そう考えるとヤバイな。


 毎日1億2000万の稼ぎとなると、年間で……?


 だめだ、金額が大きすぎて考えられない……


「でも、あんまり沢山生産すると、値崩れするだろ?

 需要と供給のバランスってものがある」


 そうだ。希少だからこその値段。俺が無限に市場に供給したら、値段が崩れるのは分かりきっている。


「いえ、回復薬は常に供給不足ですから、値崩れの心配はほとんどないそうです。

 あればあるだけ買ってくれるそうですよ。

 ということで、早速浴場に向かいましょ! レッツゴー!」


 ニコニコ顔のコガネは、金に目がくらんでいるのか、俺がこれからやらなきゃいけない重労働も気にしてない様子だ。


「……しかたない。やるよ」


 そして、俺は再びポーション生成作業に務める事になった。


 労働基準法も真っ青な、まさに24時間労働のデスマーチ。


 最初は右手だったけど、途中からは足を切り落とした方が血液の出が早いことに気づいて、そっちに切り替えた。(グロくてごめん。絵面は想像しないでくれ)

 

 疲れは感じないけど……楽しい仕事じゃあない。


 なんせ自分の血液を死ぬまで絞り出して、んで復活。また血液を絞り出すの無限ループだ。


 なんだか、ひどく倫理観に逆らった事をしているような気分になりながら、何とか俺は五億相当のポーションを3日で作り出した。

 

 そのポーションを再びコガネが闇の市で売り払い、現金ではなくて装備品をどっさりと持ち帰ってきた。


「はい、黒木さんにはこの『聖騎士(パラディン)シリーズ』一式をどうぞ~」

 

 そして、俺にもまるでお土産を渡すテンションで新しい装備品が支給された。

 白銀色の防具に、飾り気のない直剣。

 まさに主人公が着るような王道感のある装備品だった。


「聖騎士ねぇ……俺はそんな【光の戦士】って感じじゃないんだけどな」


「じゃあコッチの『ほねほねシリーズ』にします? 性能的には大差ありませんけど」


「……いや、パラディンでいい」


 俺はパラディン装備一式を受け取った。


 何にせよ、これで二度目の西日本侵略に向けての準備は整った。

 あとは、戦うだけだな。

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