勝てるわけがないよ
「はーい、また私の勝ち、それじゃあ午前のミルクティー買ってきてね」
「私はもうお腹いっぱいだから大丈夫だよ」
「うん、わかった」
私は学校で一番楽しい時間である昼休みを、自販機と教室に行き来する時間に奪われていた。
どうして、どうして一回も勝てないんだ。
三十分ほど遡る。
お昼ご飯を食べ終え、心ちゃんがバックから何かを取り出した。
「ねぇ、今日トランプ持ってきたからババ抜きしよう」
「いいね、やろう、やろう」
「ババ抜きか何年ぶりかな?」
「それじゃあ決まりね」
心ちゃんは珍しく私の隣に席を移動してきた。
「普通にやっても盛り上がらないからさ、負けた人はジュース買ってくることにしない」
「私はいいよ」
だが手温井さんはあまりいい顔をしていない。
「私はそういうのは嫌かな、そういう事無理やりやらせるのは好きじゃない」
「別に無理やりじゃないよ、ただゲームが少しでも面白くなるから罰ゲームみたいに言ってるだけ」
「そうだよね、百合神」
私はためらいなく首を縦に振った。
「そう、それなら、いいか」
そしてここから私の連敗劇が始まった。
「二分の一、あたり、私が二位」
「私はファンサグレープで」
「ほら清美も」
「じゃあ、いろうすのピーチ味で」
負けてしまったか、けど楽しいな。
二回目。
「はい、また私の勝ち、やっぱり私、運がいい」
「次はねっちゃんで」
「私はまだあるからいいよ」
二連続負けか、うーん顔に出てるのかな?一回もババが引かれない。
今度はポーカーフェイスを意識してみよう。
三回目
「よっわw、百合神顔に出やすいのよ」
「まぁ仕方ないわよ、私相手に勝てるわけがないんだから」
「次はババを引いてもらえるように努力しなさい、まっ百億年早いけどね」
そして今に至る
私は完璧なポーカーフェイスだったはず、どうして一回も引かれないんだ?
単に運が良かっただけ、それ以外考えられないよな。
そうだよ、二度あることは三度あるとことわざもあるぐらいだし運が良かっただけだ。
なら次こそは勝てる、三度あることは四度あるなんてことわざはないわしね。
そして絶対に、メスガキ化している心ちゃんをわからせてやる。
四回目、私は引かれる時に真上を向き、完全に顔で悟られないようにした。
完全なる運ゲイ、運を使い果たした心ちゃんに勝ち目はない。
だが一回もババを引かれることなくまた心ちゃんに敗れた。
自販機に頭をぶつける。
ふふ、私のスイッチを起動してしまたな心ちゃん、もう私を止められるものはいない。
私のすべての力を使って絶対にわからせてやる。




