席替え
「よし、皆席に着け、席替えするぞ」
ようやく来た、待ちに待ったこの時間が。
席が廊下側に近い順からくじを引いていく。
私は窓側の一番後ろの席なため一番最後だ。
まぁ残り物には福があるというし不満はない。
だが最初の席順には不満がありまくりだ。
普通の学校なら最初の席は名前順になるはずなのだが。
この学校は何故か教室に来た順に席が決まってしまう。
そのせいで私はこころちゃんと離れ離れになってしまったのだ。
読眼、百合神、どうして。
それでもよかったこともある、手温井さんと友達になれたのもこの席のおかげでもある、だから半分は感謝している、だがもう半分お前はだめだ。
それも今日で終わり、私の新しい学校生活が始まるのよ。
私がくじの前に男達は皆静まり返り、女の子たちはどこの席か騒ぎ合っている。
「何番だった?」
「私三十六番」
「私十六番だから別々になちゃったね」
「寂しいよ」
「清美何番だった?」
「えっと、私は」
私は全神経を指に集中し手拭いさんの会話を聞こえないようにする。
聞いちゃったら一緒になれない気がする、引いてから聞きに行こう。
私は一つしかないくじを必死に探り、強く握りしめ天高く引き抜いた。
理想は私を真ん中にした横並び、ただこれだと一人班からあぶれちゃう。
究極の理想、私の席は変わらず横と前に二人が来る、そうこれだこれこそが私の求める物さあ来い、我が手が届くもとに。
私はくじを開き番号を確認する。
三十八番。
よし、まずは良し、後は。
「手温井さん心ちゃん何番だった?」
心ちゃんが私の顔を見て笑みを浮かべた。
「私は十八番だったよ」
嘘だろ、心ちゃんは遠い席、くそーーー、だが幸いかわいい横顔を眺めることはできる。
「私は二十四番、心と隣になれたんだよ」
「奈々子は何番だった?二十三番、それとも十七番?」
「さ、さ、さ、三十」
せめて三十番なら隣になれたのにくそクソ。
「もしかして三十番、三人近いね」
やめてくれ手拭いさん、私は私は、席替えの敗北者なの、皆と一緒にはなれないんだよ。
「違う、三十八番」
「え、あそこの人数合わせで飛び出てる席」
「そう、その人数合わせで飛び出してる席」
「そうなの、少し遠くて残念だね、でもすごく遠いいわけじゃないし大丈夫だよ」
手温井さんの優しい言葉に私は自分を戒めた。
何故もう諦めているんだ私は、肝試しの時もごねて心ちゃんと一緒になれたじゃないか。
こうなったら直談判だ、絶対にあきらめない私は必ず二人の元に行くんだ。
職員室。
「先生、私を十七番か二十三番にしてください」
「普通にダメだろ、くじの意味がなくなる」
「先生いいんですか、私、男に襲われちゃうかもしれませんよ」
「いや、教室で堂々と犯す男はいねぇよ」
「ダメですか?」
「ああ」
「わかりました、なら妥協して三十番で我慢します」
「おう、そうしろ」
「三十番に変わってもいいんですか!!」
「おい、ちょっと待て、お前は何番なんだ」
「三十八番ですけど、何か?」
「はぁ席替えは認めん、ちゃんとくじの番号に従え」
「何が欲しいんですか?」
「何もいらねぇよ」
「わかりました、三十過ぎても結婚できてない先生のことです、男が欲しいんでしょ」
「私に任せてください、男の一人や二人あてがうのなんて簡単ですよ」
「お前、二度といい席になれると思うなよ」
私は席を変得ることはできなかった。




