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それでも憎いといえない

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さもないとアレの最中にトイレットペーパーが切れる呪いをかけます

 思い出した。そして心のうちに湧きあがらせた。否定できない感情に過去。

 少し気圧された様子の紗耶香。

 振り返ると、心配そうな様子の遼子。

 気づくと、理音は佳という少女に詰め寄っていた。

「誰? こっちは取り込み中なんだけど」

 問いかけには答えずに、理音は必要事項を言った。

「入部届の紙をください」

 理音はそういっていた。

「はあ?」

 佳はそう返した。

「あなた、正気? 麻雀なんてものに手を出して……挙句の果てに、そんなものを部活に? この紗耶香って子は、おかしいことをしてるって自覚はある?」

「おかしくないでしょう」

「言ってはなんだけど、麻雀部は実績がないのよ。ものすごく、ものすごくお勧めできないわよ」

「知ってます、それでも入ります」

 はあ、と佳はため息をついた。

「これだから、麻雀なんて嫌いなのよ。ただの運ゲーなのに、なまじ賭博っぽいからハマりやすくて……あーあー、久しぶりについてないな。まさかこのタイミングで麻雀好きな子が」

「麻雀、僕は嫌いですけどね」

「なにがいいんだろ、ただ牌をめくるだけなのに……えっ?」

 カバンからペンを出して、理音は答えた。

「嫌いですよ、僕も。麻雀は」

「じゃあ、なんで入ろうと?」

 答える義理はない、と思ったが。理音は声に出さずに言った。

 それを否定したら、自分がなくなる。

 自分はいなかった。

 暗いところだってある。だけど、だからといって切り捨てるのは違う。

 そういえば、とまた思い出した。

 『宝石』常連の、大学を留年してしまった金髪の男。入学後に入った部活でそうとうイジメられたといっていたな。

 この間、四万円負けたと騒いでいた爺さん。ずっと夜勤の仕事をしていて、子供を五人も大学まで出したなんていってたっけ。自分は大学に行けなかったから、ひたすら働くしかなかった、と笑いながら言うこともあったっけ。


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