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だから理音は麻雀が憎い


 彼女のインタビュー記事が載った雑誌を買ってみた。

 勉強だけでなく、体調管理も大事と書いてある。体調が乱れては、思考もままならない。

 それからというもの、寿人は荒れた生活を辞めた。

 何度か裏の雀荘・高レート卓を廻るうち、彼女と同卓する機会も増えた。

 連絡先も交換して、自分は雀荘業見習いだと名乗った。

 同卓すると、寿人はその打ち筋を盗もうとした。

 牌の理論も勉強し、どんな状況にも対応できる独自の考えを見て取った。 

 食事にも誘ってみた。


 2ハンチャン目、東三局の七萬打ちはなんだ? 明らかに俺のテンパイブラフが見えていたとしか思えない。 

 あなたこそ、なんで私の親リーチに一発で五索が切れるの? 打ち込みが怖くないの?

 打ち込みなんて恐れてたら手が曲がる。あそこは押すべき場面だ。

 競技やってたら、そんな発想は考えもつかないわね。やっぱり裏の人の考えは面白い。

 

 そんな話。

 

 いつのまにか、寿人は彼女のことが好きになっていた。

 ふさわしい人間として――彼女のそばにいる人間が定職も持っていないなんてばからしいと寿人は考えた。

 だから実家の仕事に、積極的にかかわるようになった。

 

 しばらくして。

 二人は付き合い、同棲し、籍を入れた。

 愛すべき命が宿り、生まれた。


 二人が親となって数か月。 

 妻と子供のために頑張ろう、と寿人は思っていた。

 その日、寿人は店の掃除をしながら、たまには一人で出かけたいという妻を見送った。

 産休をとり、プロ活動を停止していた妻。

 競技団体の事務所へと。復帰のための手続きに行きたい。そう彼女は言った。


 行ってらっしゃい、といった寿人。少したって、店の電話が鳴る。

 はい、『宝石』です。セットのご予約でしょうか?


 相手は、警察の人間と名乗った。


 妻はもう、この世にいなかった。


 飲酒運転だそうだ。事務所そばの横断歩道で、トラックに……。

 手には復会届を大事そうに抱えてたって……。

 かわいそうに、まだ子供も小さいのに……。

付き合いだす前後の話は、そのうち詳しく

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