逃げる①
さすがにフレッドとて3日間徹夜という訳にはいかないみたいで、逃げ出して2回目の夜が来た時に馬を止めて1時間だけ寝たわ。時計なんてないから、棒を立てて、影がこの位置に来たら起こしてくれと。日時計!なるほど!月明かりで影が出来るからこそ出来る技!
起こしたら少しふらついていたけれど、朦朧とする中で必死で水で顔を濡らして頑張ってた。
「このまま真っ直ぐでいいの?」
「はい…」
「じゃあ今度は私が手綱を持って緩めに走るから、フレッドは寝て」
「え…」
「ほら!」
さすがにこれだけ馬に乗ると乗り方はわかる。問題はお尻と内股!正直痛くて仕方がないけれど、皮がずるむけようと今やるしかない!
フレッドが寝て私にもたれかかると余計痛い。辛い。痛くて仕方がない。早く着けばいいのに。あと1日?ううん、早駆けで3日だから、今のペースだとあと追加で半日はかかる。
フレッドが起きてまた走り、馬を乗り替えてまた走り出した時、前方から馬車が!
この馬車は味方?敵?それとも第三者?
「やぁ、君たちどこへ行くんだ?」
「ああ、実は…駆け落ちなんだ。彼女の父親が彼女に酷い暴力を振るう上、親子程もある金持ちと結婚させて、更にそいつを殺して遺産を貰ってこいと彼女に命令してね。それはさすがに出来ないだろう?で、彼女の相談に乗っている内にその…ね」
「なるほど。それにしても酷い親だなぁ」
「だからこの後急いで追いかけてくる奴らには俺らのことは黙っていて欲しいんだ」
すらすらと話すフレッド。さすがだわ。
これを3回程繰り返して、最後の馬を交代させようとしたら…馬がいなかった…。厳密に言うと居たけれども狼に食い散らかされた残骸でしかなかった…。
テレビでヌーが襲われて食べられているシーンは見たことあるけど、まさか本物の馬が食べられた遺体を見るのは初めてで、息を飲んだ後黙ってしまったわ。
「馬には可哀想だがこのまま行くぞ」と素っ気なく言われ、木の上に予備として置いてあった餌と水をこれまで運んでくれた馬に与えてそのまま走り続けたの。勿論スピードを落として。でないと馬が弱っちゃうから。
ついに国境近くまで来たけど、さすがに馬は早歩きしか出来ない。ごめんね、馬さん、無理させて。
「まずい、後ろから何かが近づいて来る…」
追っ手?私達どうなるの?




