第63話 月兎流
あああああ・・・・投稿します
俺が神威に来てから一ヶ月が経った日のこと。
「お疲れ様、お兄さん。」
「おぅえ・・・。」
俺は桜花流の門の前で四つん這いになって吐きそうになっていた。
というのもこの少女―こころがナイフを持って、こちらの全力ギリギリのペースで追っかけてくるからだ。
彼女がそんなことをするのは、俺に月兎流の後継者として申し分ない脚力を身につけさせる必要があるからだそうだ。
おじいちゃんのためと言われ少しはやる気はある。だが、やり方が強引すぎる。
問答無用で追っかけてくる。
しかも、彼女が本気を出すと瞬間移動かと思うくらいの速度が出るので、絶対逃げられない。
要は俺に拒否権はなく、走るしかない。
「ぇぅあ・・もう、ちょっとペース・・・いや、速さ考えてくれねぇか・・・?」
「え?考えてるよ?」
「ほぼ全力で走らされてんだけど?」
「大丈夫、死にはしないから!」
小さな胸を張って自信満々にそう言った。
毎日かかさずこれだ。
死ぬが?
神様どうですか?結構頑張ってますよ俺。
まあ辛いけど、こんなのでも続けているおかげで、足が少しだけ速くなったし、体力もついた。
「そうそう、お兄さんっ。今日はもう一つやってほしいことがあって」
「は?!嫌だ!そう言ってさらっとメニューを増やす気だろ!やめてくれこれ以上は死ぬ!」
言い切る前に拒絶した。
絶対嫌だ。全身から拒否反応が出た。
後ろから小刀持った子が追いかけてくるのはストレスでしかない。
その上でまだ何かさせられるとかもう俺は耐えられない。
「いやそんな大したことじゃないから」
「無理無理無理、絶対嘘だねぜった・・・。」
彼女が小刀を抜き出した。
そして満面の笑顔でこちらを向いた。
「行こっか。お兄さん。」
「・・・はい。」
再度言う、拒否権はない。
「ここって、月兎流じゃん。」
「そう、今日はついにおじいちゃんに会ってもらうから。」
「え?早くない?」
まだ俺『月兎流』の刀術を教えてもらってないんだが。
その状況でおじいちゃんに会うのはどうなんだ?
当たり前だけど後継者として認めてくれるわけがない。
「早くないよ。」
「いや早いだろ。刀術はどうすんだよ。何も教えてもらってないぞ。」
そう言われた彼女は呆れた顔をしてきた。
「はぁ~?雑魚のお兄さんが月兎流の刀術なんて使ったら、最悪足が吹っ飛んでっちゃうよ?」
「雑魚って言うなよ。てか怖・・・。」
「とにかく、刀術は後。まずはおじいちゃんに会って、知り合いになること。いい?」
「顔合わせみたいなもんか。確かに急に来た若者にいきなり、『流派継がせてください』とか言われても不安だろうしな。」
「ううん。違うの。」
すると彼女は困った顔をして月兎流の門を見つめた。
「おじいちゃんね、私のこと大好きなせいか、私に近づいた男を皆・・・。」
「男を皆?何?」
「ちょっと言えないことをして、追い返すの。」
「帰っていいか?」
怖すぎる。
内容を伏せたせいでより一層怖い。
第一この子の育ての親って時点で相当怖い。
「ここまで来たんだから覚悟決めてよ。」
「・・・嫌だと言ったら?」
「代わりに私が同じようなことをするけど。」
そう言って小刀を構える少女。
これ詰んでないか?行っても行かなくてもアウトだ。
明らかに嫌そうな顔をしてしまったせいか、それに気づいた彼女は「もう!」と頬を膨らませた。
「私だってお兄さんに協力してもらってるんだから、お兄さんが大変な目に合わないようできる範囲で善処するに決まってるでしょ!」
「善処じゃなくて完璧に守ってくれ。」
「大丈夫!一応策はあるから!はい、入って入って。」
「策ってなんだよ。本当にあるんだろうな、おい・・・?」
俺は彼女に促され不安を抱えつつ、門の扉を開けた。
月兎流の門の内側は、桜花流とほぼ同じで、広い庭に、木造の屋敷が建っていた。
ただ、異様に庭の池が広い。
その池には丸太がたくさん間隔を開けて立ててあった。
その近くで、竹ぼうきを使って掃除をしている老人がいた。
老人は俺達に気づいた。
「おーい、こころちゃん!おかえりなさ・・・なっ?!」
驚いている。
十中八九俺の存在に驚いてんだろうな。
「貴様何者だ。」
しわがれた男の低い声がしたかと思うと、俺の隣にさっきの老人がいた。
速すぎる。しかも風すらなかったから全く接近に気づけなかった。
老人は持っている竹ぼうきの持ち手の先を俺の喉元に当てていた。
「もう一度言う。きさ・・・ゲホッゲホッ、ン・・・ゲホッ」
「おじいちゃん大丈夫?無理するから。」
「ここ・・・ゲホッ・・・こころは黙っゲホッゴホッ。」
おじいさんはずっと咳をしていた。
大丈夫かこれ。
「おじいちゃん。先に言うけど、この人は悪い人じゃないよ。」
「・・・ハァ・・・じゃ、じゃあ誰だと、いうんじゃ。」
「私の婚約者。」
「は?」
思わずこころの方を振り向いた。
なんて?
「ングホッ!!!ゲホッウゲホッ!!グホッゴホッ!!!」
途端におじいさんの咳が超悪化した。
「ちょっ?!おじいちゃん死ぬぞ。お前馬鹿なのか!?冗談にうぐっ」
こころが脇腹に肘打ちをしてきた。
そして小声で囁いてきた。
「合・わ・せ・て。」
「やだよ・・・。」
その返事を聞いたこころはおじいさんに見えない角度で小刀をちらつかせた。
・・・。
「おじいさん初めまして。こころの婚約者の渡将斗といいます。」
「ゥゲホッ!!!許さ・・・グッ!ンンンゲホッ!ゲホッ!」
より咳がひどくなった。
駄目だろこれ。
おじいさんは咳を何とか堪えながら竹ぼうきを向けてきた。
「んごごろは、ハッ・・・ンン・・・わだざん。」
涙目で顔を赤くさせていた。
本当に申し訳ない気持ちになってくる。
「おじいちゃん・・・。私の幸せ、応援してくれないの?」
「ングッ?!」
あざとっ?!
俺の隣の少女はその台詞を、甘い声で、上目遣いで、しかも涙目で言った。
孫大好きおじいちゃんに効かないわけもなく・・・。
「ングホッ!!!ゲホッ!!!!ンウゲホッ!!!!」
咳が悪化した。
君おじいちゃん助ける気ゼロなのでは?
ようやく落ち着いたおじいさんと俺は縁側に座って、庭の池で稽古に励む少女を見ていた。
池に等間隔で置かれた丸太の上を軽々と飛び移って小刀を振っている。
超人的パフォーマンスでしかないが、ぱっと見では少女がぴょんぴょん跳ねている絵になるので癒される。
こころは性格に難あり過ぎるが、外見は良い。
将来ド級の美人になると見た。
「かわいいじゃろ。こころは。」
「そうですね・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
困った。
過去最大級に困った。
会話が思いつかん。
このおじいさんは今、丹精込めて育て上げた孫を盗られる側にいる。
そして俺は盗る側。
不快にさせないようないいい感じの話題・・・話題・・・。
「今日天気い」
「時にお主とこころはどうやって出会ったんじゃ?」
「えっあ、え。」
「何じゃ?」
「い、いえなんでも。出会いですか・・・。」
危ねぇ・・・。
天気の話とかいう最後の手段を使ってしまうところだった。
「毎朝のそこの道場通りを走ってたら、ある日あの子が急に現れて話しかけてきたんですよ。それが出会いですね。」
「あの子から・・・?そうか・・・。」
そう言うと、おじいさんは飛び回るこころを見つめていた。
横から見ると、優しい目をしていた。
「あの子はああ見えて意外と繊細でな。それでいて、人見知りでもあるから、人と関わることが少なかったんじゃ。そういうところを心配していたが、そうか・・・自分から・・・。」
おじいちゃんは俺の方を見た。
俺の眼をまっすぐに見据え、何か覚悟を決めたような真剣な目をしていた。
「あの子が自分から話しかけたというのなら、それなりの覚悟があってのことだろう。」
あまりにもあちらが真剣で、返事ができない。
「毎朝楽しそうに出かけていくんじゃ。前までは元気がなかったようで心配していたんじゃが・・・。お主のおかげなのかもな・・・。」
そう言っておじいさんは俺の肩を掴んだ。
細く、軽い腕だったが、力強く掴んでいた。
「あの子が幸せというのなら止めはせん。あの子の幸せがわしの幸せじゃからな。・・・あの子を・・・頼んだぞ。将斗。」
おじいさんの眼から涙が一粒流れて行った。
孫の幸せをただひたすらに願う育ての親がそこにいた。
・・・。
・・・無理。
罪悪感で心が苦しい。
もう無理。だめだ。
「おじいさん、驚かないで欲しいんですけど。」
「・・・なんじゃ。」
「結婚の話は嘘なんです。」
「・・・。」
おじいさんは前を向いた。
なんか雰囲気が変わった気がする。
目がすごく鋭くなっている。
これはヤバイと、全身の細胞が言っている。
「おじいさん、この嘘を考えたのはあいつなんです。こころが。」
「・・・なんのために。」
低い声だった。
相手は老人なのにキャリアの違いって奴なのか、雰囲気だけで暑くもないのに汗が出てきた。
「おじいさんのために・・・です。」
「わしの・・・?」
おじいさんはそう言うとこちらを向いた。
その時おじいさんから漂っていた重い空気が晴れた気がした。
助かった。
俺はこころの話を全て教えた。
医者の近くに引っ越して欲しいと思っていること、俺を後継者にすればおじいさんが安心するだろうと考えていること。
「そうか・・・。わしのために・・・。」
そう言って、こころを見つめた。
そして一口お茶を飲むと、口を開いた。
「老人の、たわごとを聞いてくれるか?」
「・・・はい。」
おじいさんはゆっくり語りだした。
「歳を取るとな、時間が長く感じる。そうなるとひとり物思いに耽ることが多くなる。そして次第に、自分の存在している理由とは何かと思うことがあるんじゃ。」
そう言うと縁側を手で撫でた。
「あの子の両親が死に、わしの元にあの子が来た時、わしの存在理由は『あの子を育てること』になった。しかしわしにはこの刀術とこの場所しかなかった。何を思ったかわしは、女心など分からんからと、ひたすらにあの子に刀術を教え込んだ。しかし、あの子は女じゃ。本当はもっと違うことがしたいんじゃないかと思った。どう思っているのか聞きたかったが、もしかしたらもう嫌われているんじゃないかと思って怖くて聞けんかった。」
下を向き、地面を見つめていた。
「だから、わしは自分の存在している理由を妻との思い出があるこの場所を守ることで補おうとした。もしあの子に嫌われていて、いずれあの子が離れて行ったとしても、わしにはここを守る役目があるから大丈夫だと。」
少し黙った後、おじいさんは笑っていた。
「しかし、あの子はわしのことを大切に思ってくれていたんじゃな。それをわしは・・・。」
おじいさんは俺の方を見ると「ありがとう。」と言って再度笑った。
老いているからこそできる優しい笑い方だった。
こころが一通り稽古を終えて戻ってくるとおじいさんはこころの前に立って「話がある。」と言った。
「こころ、前言っていた医者の近くに住むという話じゃが、賛成だ。引っ越そう。」
「え?!な、なんで?!」
こころは驚いていた。
無理もない、願ってたことだったから。
「いいの?でも、ここ、おばあちゃんとの大切な思い出の場所なんじゃないの・・・?」
「確かに惜しいものがあるが・・・今わしが大切にするべきなのは、もっと別のところにあったからな。」
「どういうこと?」
おじいさんはこころを見ていた。
大切なものってのは―まあ、そういうことだろうな。
「手放す覚悟は決めた。大丈夫じゃ。」
「で、でも、月兎流の伝統とか・・・。」
「こころ?わしに引っ越して欲しいんじゃなかったのか?」
「そうだけど。うー、どうなってるの?お兄さん」
「さあ?」
こころがこっちを見るが、しらを切っておいた。
「月兎流は、こころに受け継がれている。お前がよければ、大きくなった時に新しく建て直せばいい。大丈夫じゃよ。」
「おじいちゃん・・・。」
こころは嬉しいのか泣いていた。
俺は後は二人で話せばいいだろうと思い、月兎流の門を出た。
「将斗よ。ありがとう。」
「そんな全然。別に大したことはしてないですよ。」
俺は首を振った。
その時屋敷が見えたので気になることを聞くことにした。
「引っ越したらこの屋敷はどうなっちゃうんですか?」
「屋敷か?そうじゃな、町から借りてる物じゃから・・・とりあえず町が預かって、別の者のもとにわたるんじゃろうな。」
「・・・そうですか。」
「そんな顔をするな。わしは大丈夫じゃよ。」
今思うと俺のせいで思い出の場所を手放させることになってるんだよな・・・。
そういう思いが顔に出てしまっていたのかおじいさんに気を遣わせてしまった。
何かできないもんかな・・・。
あ、そうだ。
「もしかしたら、返さずに残せるかもしれません。」
「・・・ほう。」
「奉行所に知り合いがいるんですけど、そいつに聞いてみます。なんとかなるかを。」
「いいんじゃよ。そんな。」
「いや、させてください。この場所は二人の大切な思い出の場所なんですから。」
「・・・なら頼もうかの。」
おじいさんの顔が柔らかくなった。やっぱこの場所も大切なんだろう。
「じゃあ明日、結果を言いに来ます。」
「ああ。ありがとう。」
俺は走って桜花流へ戻った。
「見たか今の。」
「ああ、あそこジジイとガキだけかと思ってたが、なんだまだ道場として動いてるじゃねぇか。」
「じゃあ次はあそこだな。」
「ああ、これで銀の兄貴もまた喜ぶだろうよ。」
「―ということがあったんですよ。」
「素敵なお話・・・。」
「泣けるなぁ!じいちゃん・・・!じいちゃん!!」
俺は、聖さんと武と一緒に団子を食べに来ていた。
朝あった話を聞いて、武は号泣していた。
「で、僕の出番ってわけッスね。」
「そういうこと。」
俺の隣に九兵衛がいた。
一か月も経ったからなのか敬語もなくなり、いい関係になっていた。
にしても大抵団子屋でサボっているので、すぐ見つけられるから便利だ。
「結論から言うなら、余裕でス。」
「おお、珍しく頼もしい。」
「珍しくは余計ッス。」
そう言って団子を口に頬りこむと九兵衛は続けた。
「桜花流の隣に狼牙流ってとこがあるじゃないッスか。あれと同じで人がいなくても流派と場所を残すことができるんスよ。ま、ちょっと金がかかるんですけど。」
「へぇ、便利。」
「ちょっと待てよ。んだそれ。俺でも聞いたことねぇぞ?」
武はこんな脳筋パワータイプに見えて結構情報持ってるというギャップがあるんだが・・・。知らないのか意外だ。
「・・・知りませんでした。」
うん、聖さんは知らんだろうな・・・。
九兵衛は「あれっす」と広場に団子の櫛を向けた。
その先には前に見た大海流の銀が違う人と戦っていた。
しかし、この前と同じで銀が圧倒的に強い。
「大海流のやり方が狡猾かつ強引で逃げる道場が多かったんス。昔『狼牙流』にお世話になってた奉行所の方がいたんでその時は特別措置をとったんスけど、今の大海流の動きを考えるとちょうどいい制度になるんで導入されたんス。」
大海流よほど嫌われてんだなぁ。
「あ、将斗サン再三いいますけど気を付けてくださいよ。大海流は貴方が思ってる以上に危ない奴らなんで。」
「俺からも念を押しとくぜ。あいつらには関わるな。」
マジで嫌われてんな大海流。
「ちなみに聞いとくけど、何されるんだ?」
「例えば・・・無理やり敷地に入ってこようとするんスよね。」
「ああ。どこの流派か忘れたがちょっと開いていた門の隙間から入ってきて・・・。」
そう言って武は黙った。
「入ってきてなんだよ。」
俺はたまらず聞いた。
「複数人で師範代をタコ殴りにしたんだよ。傘下に入ると言うまでずっとな。」
「・・・こわいですね。」
聖さんが表情を変えずに言った。
「それ、奉行所的にはどうなんだ?」
「残念ながら私有地で起こる暴力行為に関しては手出しできないんス。道に出てさえくれればなんとかするんスけど・・・まあとりあえず、あいつらには本当に気を付けてくださいね。」
「お、覚えとくわ。」
九兵衛がいつになく真剣になるので覚えておくことにした。
団子屋から帰っている途中のことだった。
「聖さん、なんで今日は珍しくお昼寝しなかったんですか?」
「・・・将斗さんの帰りが遅かったので・・・。」
「・・・?」
どういうことだ。
やっぱわからんなこの人は・・・。
「あン?あそこにいんのは・・・。」
武がそういうので見ると、前方にこころがいた。
こころはこちらを見つけると、目の前に現れた。
マジでこの子の速さどうなってんの?
「お兄さん、今日桜花流に泊めてくれない?」
「どうした急に。」
「おじいちゃんが、引っ越す前に一人で思い出を振り返りたいって。」
「そうか・・・。」
まあ、こころだけじゃなく、お嫁さんとの思い出もあるだろうから一人になりたくもなるか。
「・・・・いいですよ。」
聖さんはこころに目線を合わせてそう言った。
「では今日はお鍋にしましょう。」
そう言って歩き出した。
って速い。
すごく速い。競歩の速さだ。
やる気に満ち満ちているようだ。
追いかける前に、俺はこころに九兵衛から聞いた話を言った。
「やった!おじいちゃん、喜ぶね!」
「だな。今から言いに行くか?」
「ううん。明日言って驚かせてあげようよ。」
こころは小悪魔みたいな顔をしてそう言った。
無邪気なやつだ。
その夜、こころのおじいさんは一人庭を歩いていた。
彼が思い浮かべているのは、こころと、そして亡き妻とのここで過ごした楽しい日々。
「覚悟は決めたが、希望を持ってしまうものだな。」
師範代、師範のいない流派は原則、削除される。
昔の規則を覚えていて、かつ彼は新しくできた制度を知らない。
そのため、この流派が無くなると思っていた。
しかし、今日来た青年の訴えに少し希望を持っていた。
もしかしたら、残せるのではないかと。
「どうなるか・・・。」
その時、門を叩く音がした。
「まさか。」
おじいさんには青年の顔が思い浮かんでいた。
一縷の望みを胸に抱き、無理をするなと言われていたのにもかかわらず、素早く門に近づき、扉を開けた。
「こーんにちは、おじいさん。」
知らない男十数人の集団がそこにいた。
彼らはおじいさんを押して中に入ってきた。
「誰だ、貴様ら。」
勝手に敷地に入ってきた男たちに、おじいさんは敵意を露わにし、問いかけた。
彼らの真ん中に立つ男が口を開いた。
「『大海流』だよ。『月兎流』には傘下に入ってもらう。いいな?これは決定事項だ。」
大海流の銀はそう言って、不敵に笑った。
深夜投稿たまらねぇ~(深夜ハイ