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ライズライズ-ワールズ  作者: 田野実こむこ
【起】承転結
10/11

ティアラとカンムリについて(コジロー談


「単刀直入に申し上げますと、あなたたちは今説明したシステムでは無いのです」


「はい?」


「あなたたちは、道が1本しか無い」


カンムリが返す。

「まっすぐすすんでるもん」


ティアラはカンムリに小石を投げた。

「つまりこういうことね、爆発的に増える可能性が、同じ道を歩いちゃう」


ツバメが現れた。

「大正解ー」

ひとりでぱちぱちと拍手した。


コジローは話を続ける。

「あなたたちにパラレルワールドは無い、しかし暗黒世界はある 」


ティアラは頭をフル回転させた。

答えは単純だった。

「えーと、言い方が変わるだけなんだけど、道が1本なのに可能性が増えてる?」


「正解です」


「そう、大問題に大正解」

いつの間にかコジローの横にいたツバメはまたぱちぱちと拍手をした。


ティアラは訊ねた。

「えーと、それだと、私たちが一瞬で大量にどわーっと暗黒世界に出るわよね」


「はい、そうです、しかし受け止めてくれました」


「じゃあ問題ないじゃない」


「問題ないことが大問題」


「世界が満ちてしまうかもしれないのです、あくまでもこの世界だけですが、不安要素は少ない方が良いのです」


「はぁ?」


「暗黒世界が無限なのか有限なのか、そこが確定していない。だから怖いのです。すべからく、あなた達が産まれる前に手は打たれていました」


「時止めと、無間殺」


「えーと、時間が止まってて、ムゲンサツ……?」


「時が止まった空間の中で、可能性が生じる前にそのアナタは断片(ピース)に殺されていまふ」


ほか3名は思った。

大事なとこ、かんだな……。


「で、その怖い表現なんなのよ、殺されてるって」


「言葉通りです、全くの同時に可能性が無限大に広がるのです。あなた達の世界に関しては。あなた達が産まれる前、いえ、まだ受精すらしていない時、すでに特異な存在が産まれることがわかっていました。あなた達がどこで産まれ、そしていつなのか、目星はついていました。だから……」


「だから?」


カンムリも何となく気付き始めた。

「だから……って」


「だから、そのあたり一帯を封鎖して、女性は赤子から老婆まで全て隔離しました」


「隔離?隔離……嘘つくなよ」


「そこは私にもわかりません……」


「コノヤロー!!」

カンムリはコジローにこぶしほどの石を投げようとしたが、すでに石は粉みじんになっていた。


「殺されているかもしれません」


コジローは正直に答えた。


ティアラは冷静だった。

「全ては可能性が?」


「そうです。女性達が殺されている道か隔離されている道か、その選択は無情にも、どちらに転ぶかわからない、増えゆくあなた達のどれが消されているのかもわからない」


「じゃあ何であたし達はここにいて、それこそ、なんで産まれたのよ」


ツバメがまた瞬時に移動していた。


「無限の可能性……」


「そう、産まれてくる可能性」


「死ぬものは消せないが、万に一つ生きるものならば……」


そしてコジローは言い放った。

「私はすでに何万回とあなた達を殺そうと『思った』」


その目は哀しみを宿していた。





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