24 決勝
観衆がうるさい……。
「いよいよ決勝だな。早くティタルの戦いぶりが見たいぜ」
「だけどその決勝にゃ、新人も出るんだとよ」
「新人が? そりゃ、ティタルにソッコーでブッ潰されるな」
「今大会の決勝、あっさり終わっちまうのかぁ~」
「そうさ、もちろんティタルの圧勝に決まってる」
対戦者の名はティタルというのか。
「黙れぇーーーー」
観衆に大声をあげたのはヘスナートだ。彼はこう続ける。
「やってみなけりゃわからないだろ! 試合にゃ奇跡はつきものだ」
奇跡って。ヘスナートもオレをあまり評価していないらしい。
「そうよ。ロフェイは一戦一戦強くなってるの。善戦するかもしれないわ」
善戦……。リムネにいたっては奇跡的勝利もないと考えているようだ。
「ロフェイ、応援してますけど、絶対無理しないでください。もしマズいと感じましたら、ケガしないうちにギブアップしてください。決して恥ずかしいことではありません!」
おい、ミーンミア。善戦すらできないと思ってるだろ?
まあ、普通だったらそうだよな。未熟な新人に何ができようか。もしオレがヘスナートたちだったら、同じように予想するだろう。実際、オレ自身ですら勝つ自信があまりあるわけではない。それでもワクワクしている。できれば勝ちたい……。
とにかく仲間たちよ、応援してくれる気持ちは伝わったぜ。
よしっ、ベテランに勝ってびっくりさせてやる。
試合開始となった――。
まずは飛びあがった。次は相手の様子を確認すべく静止……。うーん、きっちりとは安定できていない。やはり、ちゃんとしたホバリングはまだ無理のようだ。
とりあえずこのまま突き進もう。
エアーブレイド!!
ティタルという名の対戦者が待ち構えている。しかも腹立たしいことに、空中でピタッと静止しやがっている。さすがは熟練者ってところだ。
「さあ来い。新人くん!!」
「おう、いくぜっ」
オレの体が加速する。ティタルとすれ違った。
「な、何ぃ?」
驚愕するティタルの背中には真っ赤な一筋。
観衆からもざわめきが起きた。
「いまの……ティタルが負傷したのか?」
「新人が、あのティタルを?」
「嘘だろ!? どうなってやがる」
ティタルに笑顔を送る。
「これがオレの挨拶だ」
「いまのは……見慣れない剣さばきだな」
オレはそのまま距離をとった。
ティタルの目つきが変わる。
いよいよ本気モード突入ってところか?
そうこなくちゃ。
ふたたびティタルのもとへ飛び込もうとする。
しかし彼は魔法の弾丸を連発してきた。それはもはや弾幕と言っていい。
危ない。やられるっ。
慌てて上昇した。
これじゃ近づけやしない。このまま遠距離での戦いとなれば、単純な魔法対決になってしまう。とんでもなく不利だな。
不利なことは初めから明らかだったが……。
オレのミニファイヤ、どこまで通用するだろうか。
ふと、ポケットに魔石と光石があるのを思いだした。
新しい魔法かぁ。さっきはルーシャに急かされて、習得に挑戦する暇がなかったんだよな。
いや、待て待て。対戦中だぞ。ここでやるかよ。さっきよりもさらに暇がないんだ。
魔石や光石から魔法の種への加工は、一般に失敗する確率が高いとされている。オレは神官でもないし、ここは神殿でもないのだ。失敗して砕け散ったら、もったいない。
仮に成功したとしても、習得済みの魔法の種になったら無意味だ。それだけは避けたい。だが、光石ならば魔法の種類が被らないか……。オレはまだ光石から魔法を習得したことないからな。
光石ねえ。
もし成功すれば、どんな魔法が得られるのだろう? 攻撃には向かないんだったか。だけど何かに役立つんじゃないのか。あっ、マズいぞ。試したくなってきた。我慢できない。そうさ、失敗したっていいじゃないか!
ポケットから光石を取りだした。
しかし相手の攻撃が続く中で、光石の加工は難しい。ならば、こうしよう。足裏から噴きだす風量を最大限まであげた。ぐーんと上昇する。今度は光石に意識を集中。上昇の勢いが止まらぬうちに……。
光石が輝いた。魔石のときよりもずっと眩しかった。
魔法の種への加工は成功したようだ。これって奇跡的なことじゃないのか。いままで魔石の加工に失敗したことが一度もないのだ! すべて成功なんて、なかなかできるもんじゃなかろう。オレってヘンな才能があるのかもしれない。
しかしまだ続きがある。魔法の種になったとしても、習得しなければ新しい魔法が使えない。そろそろ上昇の勢いが止まってしまう。一発で成功したい。
手を下に伸ばす。
それっ!
パリーーーーン
魔法の種は砕け散り、手の先に魔法陣が浮き出た。
おいおい、なんてことだよ。
また成功してしまったじゃないか。
魔法の種からの習得も、成功率十割だ!
だけど、いまなんの魔法を習得したのだろう?
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