表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青い縁の話――韓国宮廷で燃え上がる恋  作者: Kentarou Tou / Kentarou Theater


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/10

第十話「青い縁(あおいえにし)」


秋になった。


宮殿の木々は、少しずつ色を変えていた。

赤と橙と黄色が混ざり合い、風が吹くたびに葉が舞った。


ミナは文書の間で、いつものように記録を整えていた。


ただ、以前とは少し違っていた。


時折、窓の外を見る。

廊下の足音に、わずかに耳を澄ませる。


その日も、ハルは文書の間に来た。


「記録を調べに参りました」


「何の記録ですか」


「前回の続きです」


ハルは穏やかに言った。


「返事を、まだいただいておりませんので」


ミナは、手にしていた記録を棚へ戻した。

それから、ハルを見た。


「一つだけ、聞かせてください」


「どうぞ」


「身分の差があります」


ミナは静かに言った。


「私は宮女(クンニョ)です。あなたは堂上官(とうじょうかん)です。簡単なことではありません」


「分かっています」


「それでも、ですか」


「それでも、です」


ハルは答えた。


「記録は、長い時間をかけて積み重なります。急がなくていい。私は、そう思っています」


ミナは、ハルを見た。


「また記録に例えましたか」


「癖になってしまいました」


ハルは少し笑った。


「あなたといると」


「変わっています」


「それだけですか」


ミナは黙った。


長い沈黙ではなかった。

けれど、二人にとっては、十分に長い時間だった。


やがて、ミナは小さく言った。


「私も」


ハルが息を止めた。


「私も、好きです」


ハルはミナを見つめた。


「直接、言いましたね」


「記録管理のように回りくどくするより、直接の方が正確です」


「真似しましたね、また」


「あなたの言い方が、便利なので」


二人はしばらく見つめ合った。


それから、どちらからともなく笑った。


窓の外では、木の葉が舞っていた。

赤と橙が、秋の空へ散っていく。


記録は、積み重なる。

縁もまた、積み重なる。


青い縁は、静かに、けれど確かに、二人のあいだに重なっていた。


(第十話 了)


青い縁の話――韓国宮廷で燃え上がる恋


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ