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第99話 死神

再びシュウヤ 目線の話でこの章は終わりです。

気付けば問い詰めるためだけに振りかざしたナイフはケヤキ ミノルの首を傷付けて尻もちを付かせていた。


そして首を抑えて

「あ、アレ?濡れて・・い、い、痛い!!」

あっという間に溢れ出る血液がアスファルトを赤くビチャビチャに染めていく。


「ち、ちがう!!違うんだ!!俺、お、おお、俺は!!」

傷口を咄嗟に抑えていた左手が脱力し、バタンと倒れてそこから動かなくなるミノル。


「誰か!誰か!!」

血が出る場所を押さえて周りを呼んでいた気がする。

その後からの記憶は曖昧で警察に捕まった俺は、その何日か後に7TFの制作者であるミノルの父と面会室でアクリル板越しに対面した。


「何の、何の恨みがあって!!息子を!!!ミノルを傷付けたんだ!!!!」


「・・・。」


「頸動脈からの出血から来る低酸素脳症でもう戻らない。植物状態だ。」

全身から汗が噴き出て、血の気が引いた。助からなかったんだ。


「これから死ぬよりも残酷な時間がミノルを待っている。まだ若いんだ、10年や20年生きるケースもあるらしい、自分で動くことすらできないあのままでずっとだ。どう償う?なぁ!!!どう償うつもりなんだよ!!!」



「俺は、殺すつもりは無かっ」


「返せよ!返してくれよぉ!!!!」

父親の泣き崩れる姿を最後に面会は終了した。



アレから更に何日経ったのか?弁護士が来たりしたが何も考える気が起きない。

とうとう頭が狂い出した。何か月か経った頃だった。


【死神】を妄想する様になったのは。


「あの時、無駄に血を止めなければすぐに逝けたのにな。」


姿は見えないが、背筋が冷たくなる様な声で囁かれている。いや、気が狂った自分が見せる幻聴・幻覚だ。


「死神の邪魔をするとはいい度胸だよなぁ。」


「うるせーよ。殺すなら殺せよ。」

半ば自暴自棄になっていたのか、返事をする対象が何かすら解らないのにぶっきらぼうに返事をする。


「殺して良いんだな?ラッキーだなぁ。まぁお預け喰らって可哀そうな俺には当然か。」

「好きに言っとけ。」


「ブツブツうるさいぞ!!」

看守に注意される。


「最後に、望みはあるか?」


生憎考える時間だけは無限にあった。


望みか・・・俺は心酔していたゲームに想いを馳せて口に出してしまう。

「7TFの世界に行かせろ。」

「あー、お前のキチガイのようにやってたゲームな?あーそりゃラッキーだったな!」


「は?」


「最近さ、付喪神が毎日お祈りに来る奴のお願いを聞いて7TFの世界に命が宿ったって話だぜ!そんなもんにまで命が宿るなんて時代も進んだもんだよなぁ?」


「言ってる事がさっぱりわかんねーよ!!どうすりゃいいんだ俺は!!」


「その世界に送ってやるから、ズボンを脱いでそれで首を吊れ。」


「こんなんで死ねるかよ。クソが。」


そう言いながら夜に考えを改める。

死んでいいか。

既にもう身体は抵抗しなかった。何の未練もない。どの道、無期懲役か死刑の人生。


俺はスムーズにズボンを脱いだ後、首に巻いて鉄格子の一部に引っかける。

最後に生唾を飲み込む。

怖い。まあ死ねないだろ。


俺は迷いを払い足を脱力させ、滑るように重力に身を任せる。






「はい。     おつかれさん。」









もうすぐ100話。


いつも読んでいただいております皆様のご厚意に感謝です。



お話しには直接出て来てはいませんが、

ピスタの前の世界で、植物人間となってしまった息子に対して、せめて好きなゲームの中で生きられる様に、

生まれ変われるなら楽しい世界であってほしいと願っていたのはピスタの前世

ケヤキ ミノル の父でした。


後味の悪い終わり方でこの章は終わりとなりますが、

次の章からはまた新しい冒険が始まります。


ご指導的観点でも応援でも

不明点でも、誤字脱字のご指摘でも、考察でもなんでも良いのでコメントいただけるともっと嬉しいです。



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