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第96話 世界の仕組み

福音教会最高司祭フレイ。転生前の名 シュウヤ視点の話です。

赤いオーブを振り上げるディスポを見てすぐさま殺そうと考える。


俺から逃げる?させるか!!


インベントリからレアリティの高いドラゴンの牙を選択、ディスポの頭を目掛けて手持ちで着弾最速のスキルを放つ。


「遠投!」

続けてリュースのラピッドスラッシュが同じくディスポを襲う!!


しかしナーガの邪魔により攻撃が塞がれた。

ブチブチと肉を切り裂く音が耳障りであり、かつ、俺の攻撃を邪魔する爬虫類風情が目障りだったが、今はそれどころではない。


パリンと音を立てたその瞬間、

その場にいる全員が足元から赤い粒子に変わっていく。


「ディスポォォォ!!!!やってくれたなぁぁぁ!!」


いつぶりだろう?こんな負け犬の遠吠えの様な叫びをするのは。

赤い光が収束し瞼を開けた俺は、気付けば福音教会内部の白い部屋で立っていた。


「フッ!フレイ様?!!」

「フレイ様がお帰りになられたわ!!!」

勢いで近くにいた一人の教徒を殺そうとインベントリからウルヘッジホッグの堅針を出した時、何かが引っかかって手を止め息を吐きながら針を大理石の床に刺す。

ザンッ!という音と共に「ヒィッ!」という声が聞えた。


「黙れ。」


シン、と即座に静かになる。

俺はその場で胡座を描き頭を抑える。

なぜディスポがアレを持っている?どこで手に入れた?


「!!!!」

そうか!!

【スティール】盗みのスキル。


相手の一番レアリティの低いものの中から1つを確率で盗める。


対人戦におけるこのスキルの対策はゴミでも小石でも何でもいい、無駄なモノをインベントリに入れておく事。


「失念していた。未対策だった。」

まさか自分がスティールを受けるとは考えていなかった。

冒険者の誰しもが初期装備で必ず得られるリスポーンオーブ。それが手持ちの中で1番レアリティが低かったのだ。

いやそもそも【成功の宝具ファラ】を気まぐれでディスポに使った時から運命が変わってしまったのか?

でないと奴が俺からモノを奪うなんて考えないだろう。


歴代のディスポ(使い捨て要員)でこんな事は一度もなかった。忠実に皆が皆、俺に尽くして死んでいったのに!!


いや、落ち着け、血が昇った時の行動はよく考えろ。 頭をリセットして考え直せ。


俺は天井を見上げて、深呼吸をする。


今回の宝具集めはどこで計算を誤った?

これまでのワールドオーダーに落ち度があったのか?いや、ちょっとした計算ミスだ。取り留めもない乱数のイタズラだ。


じゃあ誰がミスを引き起こした?ディスポか?いや違う。やつ程度がプランに影響するとは考えていなかった。

ではナーガか?

元々の俺を知る大きなヘビはかつて仲間だったナーガ。


傲慢にも2度得る事が出来たワールドオーダーで不老と不死を得たバケモノだ。

いつもならもう少し宝具が揃った後で来るはずだったナーガ大森林だが、今回は予定が狂った。


だったらその予定を狂わせたのはグラスのせいじゃ無いか?


幾度となく繰り返す七宝具集めをコンビニに出かける程度の気持ちで楽しみ、お目当ての希望を叶えてもらう。最近の七宝具集めはそんな感じだった筈だ。


なぜならば宝具を独占する為にワールドオーダーを使って世界に飛び散る際のランダム性を排除したから。


七宝具が散らばるたびに決まった位置に再生成される様、座標の指定をした。

これに5周回も要したが、これこそが世界の仕組みを作る一歩だった。


初めは同じ場所を指定して隠せば良いかと考えたが七宝具はまるで生き物の如く魔力を欲して所有者を探し多方に散らばる性質があった。


何周目かで座標から動くことに気付いたが幸いMPのある生き物がいればほんの少しのMPで事足りるみたいで位置は落ち着きを見せる。何とも奇妙なワールドアイテムだ。


俺は宝具を必ず手中に収める為、その近くにMPを供給できる守護者を置く事にした。


与奪の宝具ドーナルンパはアルフ神聖国の教皇を。

祖霊の宝具プレータはナーガ大森林ナーガを。

富の宝具ラクシュミーはガルマン帝国皇帝を。

成功の宝具ファラには商業国家オムグ王を。

そして

純粋の宝具ソダシは始まりの猫リアルを当てがった。


そんな適当な5人の守護者のうちの1人オムグ王、グラス。

奴は次の王へと引き継ごうと動いていた、ただの世代交代と同じだ、盟約を守るモノならば問題無い。


あいつ自身は鑑定のユニークスキルを死ぬ際に【鑑定スキルオーブ】としてドロップ化させる約束で王様にしようとしたが、親が猛反対したのを記憶している。裕福になれるのに残念なバカ親だった。


が、そんなものは洗脳で何とかなる。

両親を魂の束縛によって洗脳しグラスを本物の王にしてやった。


「あいつが元凶か。いや、まだいたな、犬と猿とキジ。」



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