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【改稿版】最強最悪の魔女に転生してしまったので巻きで呪いを回収いたします  作者: マダム良子
第二部 賢者と砦のドノヴァッテン魔法王国編

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星移歴動






その”約束” は ときを超え

幾度、生まれ変わろうと

死を迎え、蘇ろうと

出会い、果たされるまで


すべてが悪夢だったとしても

目覚めるたびに

後悔と褪せた思いを引きずりながら

連綿と続く。






噛んだ唇が

少しだけ開いていつのまにか震え出す。

「っうっーっ〜〜〜っっ

 (ダメだ、泣くなっ泣くなっ)」

魔女は動かせる目だけで、その声の主を見た。

そこにいたのは ー


白銀獅子シャルラッハロート金鼠ラース


聖獣バロンの姿のシャルラッハロートと、

いつものおネズミさまのラース。

目からこぼれ落ちる、涙だけが魔女の目尻を通った。


「っ(シャル!!ラース!!)」


声にならない。ー

声が出ない代わりに涙があふれた。

泣きたくないのに、鼻の奥が痛くて

結んだ口から息が漏れた。


「魔女っっ!!どこだっっ」

出窓から大きくはみ出ている聖獣バロンの頭に乗るラース。

低い唸り声を上げる聖獣バロンの爪は塔の壁を握りつぶして

半身は塔の外に出たままだ。


魔女は、ここでようやく、目一杯、目を閉じた。

涙が目尻を伝って、耳の穴に入った。

不快な感覚は

不安な気持ちは

「助けに来たぞっっっ!!!」

知った声に

全部、吹っ飛んだ。






でっけえ犬とネズミに

先を越されたようだぞ、勇者アムラン。


それはそもそもが

このイロモノパーティ自体に問題があったからなのか?

粘液(ジョセフィーヌ)きゅうり(アグリッパ)だけじゃ

勢い(インパクト)に欠けたか?

おっと、失敬。

本領発揮もしてないイロモノパーティ、違った

魔女奪還パーティだったな。

何をしているのだ!

魔女は見知らぬ男との”子作り”を提案され

男の金的コカンにまで攻撃を仕掛けるほどの

勇気をもって戦い

魔女だって瞬間接着剤を太ももに塗るがごとくの完全防備だ。

だが、貞操をめぐる攻防はそこに留まらず

物理的な守備はもはや、砂の牙城といっていい。

破れかぶれの老賢者のローブの下のご様子は

目を細めればもうなんとなく、そう。

くっきりとした姿が見えてるわけではないけど

おぼろげながら、浮かんで見えるという

空間周波数でセクシーな脳内補正によって

”もう見えてんじゃん!”を意識できるほどだが

だが、残念だな、絶対見せん!!

ああ!もう見せちゃえよ!!

でもダメっ!まだ見せないんだから!

乙女のおパンツをなんだと思ってんのよ!

脳内補正だって見せないんだから!!!

って、戦っているというのに、ー?


何?それどころじゃないだと?

乙女のおパンツ見える以上に大変なことなんて

この世に存在しないと思うのだが

まぁまぁ乙女いうても、魔女だからな。

百五十三歳の魔女のおパンツに神秘もロマンもない。

先を越されはしたが

イロモノパーティーの言い分として

乗り遅れるのも致し方ない、やむ得ぬ事情、とやらが

何なのか ー


どれどれ、のぞかせてもらおうか ー。



「お、おい、これはちょっと・・・」

勇者アムランこと、アルファイはまた息を切らせている。

しかし、今回はちょっと事情が違うようだ ー。


アルファイは額に汗し、眉間にしわを寄せー、

「ーっはぁ、・・・」

もはや“なす術なし”とでもいうように汗を拭った。

汗をかくに至り、かれこれ三十分だ。


「・・・無理があるな。」

「そ、そうだね、アルファイルスくんっ

 少しっ、休んでてっ!

 えっとジョセフィーヌ先輩あの〜

 ちょっとおっきいっていうか

 も、もうちょっとだけ、えっと

 ち、縮めませんか・・・ねえ?」

アグリッパは自分が縮こまった。

それまで揺れていたジョセフィーヌの触覚が

ドヴィシッッッ(スパンキンっっ)!!!

「ぃでぇっ!!」

アグリッパのケツをしばく。

「いだっ、いや、ふっ太ってるからじゃなくて

 太ってないってっ!

 あの!そういう意味じゃなくって!

 太ってないですって!!

 ジョセフィーヌ先輩は

 おっおっきいってっいでっ!!!」

ケツをベシベシ往復叩かれている。


なぜ、アグリッパがジョセフィーヌに折檻まがいにも

叩かれているのかと言えば ー。


ジョセフィーヌが太った?

いやいや、失礼じゃないか。

()()()なんて言葉は

発言する相手はデリカシーのかけらもないのはもちろんで

言われた方にしてみたら

AK-47(カラシニコフ)をぶっ放したくなるほどだろう。

褒め言葉じゃないから

命中精度も言うほどじゃないAK-47(カラシニコフ)

自慢のクソエイムで苦しめるつもり。うふふ。


クソエイムとは:照準が上下左右に荒ぶる事。

        主に下手。本人は至ってマジ。


ジョセフィーヌは(多分)傷付いたに違いない。

だが、ただただ()()()では芸がない。

言う方だって、ハイレベルな言語スキルが求められるのだ。

できれば、事実は事実として表現しつつ

どうすればその“肥えた”状況を、相手を悲しませずに

『ありのままの君がいいね!』

というような状況へ持っていけるか ー。


一言で痛い目を見るような世知辛い世の中での

処世術をお教えしよう。


”大きい” と言う言葉は

直接的な表現だが、やや抽象化されたもので

その程度を観測する側に委ねられた表現だ。

例)すごく・・・大きいです・・・。

(意:なんかもうすんごい)


“ふくよか”なら、柔らかそうだし

何となく幸せそうで好意的な表現である。

例)ふくよかな躯体だね、嫁に来ないか。

 (意:牛30頭分の価値あり)


“丸み”なら、若干人体を超えた曲線を思い浮かべる。

例)丸いね。

 (意:ボール。)


“グラマー”だとこれまたなんだか肉感が強い色香を思う。

例)グラマラスだね!

 (意:グラシアス(サンキュー)!!)


“ぽっちゃり(ぽちゃ)”は使い方が難しいところだ。

なぜなら、その意味合いには多分に情報量が増える。

言葉としては愛らしい表現ではあるが

自認“ぽっちゃり(もしくは“ぽちゃ”)”の場合

これは体型だけではく、内面的に柔和で包容力があることを指す。

“ぽっちゃり”は一般に共通する明確な基準がないことも

気をつけたい。

例)私、三桁のぽっちゃりなんだ〜。

 (意:それはもう才能なんだ)


“デヴ”?

いかん。

いかんよ。これは蔑称である。

こんなセンスのない言葉を吐きたくないものだ。

だが、世界は広い。

フランス語なら“開発者”という意味を持つ。

これは聞きようによっては

その体を新たな次元へと開発しせる者という偉大な功績をも思わせるが

その実、直接もう言っちゃってるじゃん。

フランス語?知んねーよ、と

言うなかれ。可能性の扉を開くのだ。

自分の話す言語とは違う言語の扉は

目の前にある。

開くのは諸君だ。


ー ()()に気を付けたまえよ。


“ヴ”だ。下唇を軽く噛みながら言うのだ。

人前でやると恥ずかしいぞ。

鏡の前でだけやるといい。

慣れたら自然に発音できるだろうが

慣れて、人前でやると

そのような言葉を発音良く言う蔑みの眼差しと

仇討ちの刑に処されるかもしれないから

やっぱり言わないでおけ。


だが、(デブって)思うのは自由だ。


君の心はいつでも自由だ、ということだ。

そして、肥えたジョセフィーヌに捧げる言葉は

その処世術として、誰も傷つけない方法は ー

『健康そうだね!!安心するよ!!』

だ。

次点で、

その姿を前にしても何も言わない、

が無難だろう。ー 大人はね。


ー 違う、その話ではないのだ、諸君。

ジョセフィーヌはまだアグリッパのケツをしばいてる。


”転送装置”だ。


転送装置の仕組みをこの辺でお話ししておかねばなるまい。


転送装置は

成人男性の腰ぐらいの高さおよそ90センチメートル、

幅30センチメートル

横80センチメートルぐらいの石板が直立したような形だ。

石板の中心部分はくり抜かれている。


ではどのようにして、転送するのか。

そして

冒頭、アルファイはなぜ、額に汗したのか ー。

それは

”真ん中部分をくぐり抜けられなければ 転送は不可”


デブに厳しいルールだった。

魔法の王国にしてはどこもファンタジーな仕掛けのない

物理的な仕組みの乗物いどう

ジョセフィーヌは重量・容積オーバーを言い渡されたも同然だった。



だがそこは勇者アムラン、

何とかして転送装置にジョセフィーヌを

グイグイ押し込めようとした。

途中までは行けそう(な気分)だったが

石板からするはずもない

ミシミシという変な音がした ー、止めたのはミケラだ。


『あっっっかぁぁぁあんんっ!!つぶれるぅぅ〜!』

(意訳:らめぇっ!そんなおっきいの壊れちゃうぅっ!)


入ったのは先っちょだけだった。


さあ、困った。

額の汗を拭いながら、アルファイはジョセフィーヌを見た。


「ージョセフィーヌが段々と大きくなっている。

 なぜだ。

 わかるか?アグリッパ」

「え、えとそ、それが ー」

『ジョセはん!

 あんさん何食べたらそんなんなりますのん!?

 えっらい膨れてまっせ?!』

ペチペチとミケラはジョセフィーヌの腹部分を叩く。

ジョセフィーヌはそのボヨンとした腹を揺らした。

ムチムチバディである。



魔女と一緒にいた時は、超大型犬ほどの大きさだったのが

今やなんとなく大型車ほどに大きくなっていた。


「あの、それがジョセフィーヌ先輩もその、

 わからないって。ただ

 なんか止められないそうです。」

「?アグリッパ、お前、ジョセフィーヌに何か与えたか?」

アルファイはジョセフィーヌからほのかにかほる草っぽいような

ハーブのような香りに気付いていたが

確認のために、聞いた。

「?ぼ、僕は特に何も ー、あ、魔女さまが

 あの、クッキーとこ、この飴を」

アグリッパはポケットから包みを取り出して見せて広げた。

あの緑色の飴玉と、クッキー。

それ以外はない。


だが、ジョセフィーヌは

アグリッパの広げた包みを触覚でヒョイと

持って行ってしまった。

「っあ!ジョセフィーヌ先輩!」

あれよあれよと包みだけポイっと投げ捨て

一気に口に放り込み、ボリボリと音を立てて飲み込んだ。


アグリッパは戦慄する。

「(ーそ、その口がもう、なんていうか

 ー 何回見てもゾワゾワするっ

 ()()()()()()なんだよぅ)」

アグリッパの心の声が聞こえたのかもしれない。

ジョセフィーヌの触覚がアグリッパの尻を引っ叩いた。

「っっ嘘です!!素敵です!お口閉じると、キュってなって

 おちょぼ口で可愛いです!!!最強ですっっ!

 世界、れますってー、ー?」


スナップが効いた触覚の鋭い痛みで、自分が思いもしないことを

並べ立てたアグリッパは気配を感じ、言葉を止めた。

「(なんだろう、ー 何か ー)」



空を見上げる。



星見塔の空は雨が小ぶりになって

相変わらずの霧の中から、小さな光が瞬く。

不定期に光る点滅は、だんだん強くなり ー


「(雷?ー・・・じゃない。)なんだ?」

アルファイもつられて空を見上げた。

どんどん大きくなる。

「なんか、雲を割って・・・」

ミケラはアグリッパの周りを回り出し

興奮したようにはしゃいだ。


『!!!!来たでッッッ!!

 来た来た来たぁッッッ!!

 来たでぇぇぇぇッッッッッ!!!』

ほぼ叫んでる。

『ほれ!!見てえな!!

 さぶいぼ、立っとるっっ!!

 ひょーーーーっっ!!』

誰もミケラのさぶいぼ(鳥肌)を見てないが

異常を感じた。さっきまで

おっきいだの、ふくよかだの

議論の的だったジョセフィーヌは

もっともっと膨らんでいた。

・・・ジョセフィーヌは風船なの?

地面に触覚が触れるのではないかというほどに揺らしている。


光は空を横切って進む。

「何だー、 ー 星?」

アルファイは目を凝らしてその迫り来る光を見た。

降る雨に混じった光が反射して

「流れ星みたいだ・・・」

アグリッパはつぶやいた。


光は蒼き光の筋となる。

数多の光の筋の中に

蒼く光る強い光は三つ。

アルファイたちに向かってきて

光は膨らみ、まばゆくあたりを照らす。


眩しさで目が眩んだー それは 星 ー


「わああああああッッッっ!

 ちょ、ちょっ!

 押さないでっっ」

「ヒャッホ〜ォォィ!!」

「これ無事に降りれるんでしょうね?!」

「魔女はどこだ」

「あぁぁぁ〜〜〜っっ!下、下にひ、人が

 人いるっっ!あ、あぶっっ」

「人じゃない感じのもいますよ」

ヒュルルルル〜〜〜っ

「すげーーっ!

 俺今飛んでるーーっっ!!」

「ディオさま、訛り、なくなってますね。」

「あ、ほんとだ。」

「ちょっっと!!何あれ!ブヨブヨの足いっぱいのが

 いるじゃない!?ちょっとキッッッッショイ!!!!

 きもっ!やだもうっ帰る!なんなのアレ!

 ゾイ!あんたアレ何とかしなさい!ほら見てよ!

 体中ブツブツ出てきた〜〜〜ぁ!!」

「ギーズル様、それ、鳥肌っていうんですよ」


ヒュルルル〜〜〜


「魔女は どこだ」

「シャルラッハロート、もうすぐだ、

 もうすぐ会えるさ ー

 ラースを迎えに行き

 魔女の元に向かうんだ。」


光の中、降ってきたのは ー、






愛の農業剣士 勇者 ディオ。

祭祀王 ギーズル。

従者 ゾイ。

元聖獣バロン、現シャルラッハロート。

そして最後に ー。

光の中を銀髪をはためかせながら優雅に降りる男ー、

ケトルことアイスクラピウス。

「あ、やべ。

 お前たち、着地は各次

 うまくやれ」

「は?」

「え」

「ひゃっっほ〜〜〜ぃ!!」


使い魔(ラース)はあそこにいる、

 ー 俺は先に行くぞ。」


男たちは 

魔法王国ドノヴァッテンに 降る。










ディオ情報:やっほーーーーぃ!!


ギーズル情報:え、この国って禁煙なの?!


ゾイ情報:大丈夫です。喫煙所、調べときました。


アイスクラピウス情報:やれやれ。


シャルラッハロート情報:うおおおおおおおおっっ


ジョセフィーヌ情報:ぼよ〜〜ん。出番ね。

          







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