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聖騎士団長、猫型妖精の王に諭される  作者: 書庫裏真朱麻呂


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3/3

おまけ〜Happy Halloween〜

ハロウィン仕様なので微ホラーかもしれません。ご注意下さい。

――人間たちが暮らす世界とは別の世界にある猫型妖精(ケット・シー)の国。その国の王オシアンは、ゆったりと七色の森を歩いていた。

 七色の森は、その名の通り、クリスタルの木が枝葉を広げ、日の光を浴びて七色に輝く美しい森だ。

 オシアンは、その森の少し開けたところで、小さな黒い猫型妖精(ケット・シー)が三匹、小さな焚き火を囲みながらダンスを踊っているのを見た。

 そのうちの一匹が、何やらタールの塊のようなものを左右の前足にそれぞれ一つずつ持ち、他の二匹に差し出した。

「見てみなよ、穢れた魂が二つ。悪霊たちに痛めつけられて、もう転生することも出来ない魂だよ」

「煉獄の火で炙って、齧ってみようか」

「うん、いいね。じゃあ、みんなで一口ずつ齧ろうね」

 そう言いながらはしゃぐ幼い猫型妖精(ケット・シー)たちは、どこまでも無邪気で愛らしい。

 ――猫型妖精(ケット・シー)。彼らは美しい魂を持つ人間に永遠の忠誠を近い、その人間のために力を貸す善なる妖精たちだ。だが、一方で世界の均衡を守るために、穢れ過ぎた人間の魂が転生しないよう「処分」するという役目を担っている。

 穢れ過ぎた魂を人間の世界から大人の猫型妖精(ケット・シー)たちが回収し、幼い猫型妖精(ケット・シー)に間食として与えるのだ。

 人間たちの中にもそれを知る者がいるのか、死者に猫を近づけまいとする国が幾つかあるらしい。だが、それは愚かしい試みだとオシアンは思う。猫が皆猫型妖精(ケット・シー)という訳でもないし、こちらとて一般的な善人の魂になど用はない。それに、どうしても回収しなければならない魂がある時は、姿を変えて近づくだけのことなのだから。


 オシアンには、幼い猫型妖精(ケット・シー)たちが持っている二つの魂のうち、一方に心当たりがあった。水妖(ウンディーネ)の魔力を帯びていながら真っ黒に穢れ爛れた魂の持ち主など、そうそういるものではない。そこでもう一つの魂の持ち主の見当もついたのだが、黙って幼い猫型妖精(ケット・シー)たちのするがままにさせておいた。

「聖騎士団に属する者は、あの二人には決して関わらない。そうハワード卿が決めたのだからね」

 私もそれに従うまでさ、とひとりごち、彼は歩いて行った。

 そして目的の妖精の輪(フェアリーリング)の前に来ると、輪に入る前に、人間の姿に変身した。

 歳の頃は五十代後半。すらりと背が高く、しなやかに鍛えられた体つきで、彫りの深い美しい顔立ちをした、高雅な雰囲気を纏う男性の姿に。

 これから彼は、最愛の女性が好むボンボンショコラを買いに行くのだ。

 そのボンボンショコラを作っているチョコレート専門店(ショコラトリー)の主人は、夢にも思わないことだろう。華美ではないが仕立ての良い衣服に身を包んだ常連の紳士が、まさか猫型妖精(ケット・シー)の王だとは。

 なんかちいさくてかわいい黒猫たちに登場してもらいました。

 ボンボンショコラ公はノルウェージャンフォレストキャットのイメージなのですが、人間姿は北欧繋がりで「北欧の至宝」をイメージしております。しかし筆力が足らず、どちらも上手く描写出来ないのが残念です。

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― 新着の感想 ―
嫌ぁぁ! チビちゃんたち! そんなばっちいのを食べたらお腹をこわすからポイしなさい! と言いたくなりました……。
楽しくお話を読ませていただきました! ボンボンショコラ公はノルウェージャンフォレストキャットと言うことで、検索してみたところ、想像通りでした!!また派生作品が出来るといいなぁと淡い期待を胸に秘めており…
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