《エピソード06》身の丈の会話
ちゃんとした会話は...
翌日も、馬車に乗って出発をしていたわ。私は、荷台で冒険者パーティ達と、話をしていたわ。
すると、剣士の兄グリディアスが、ロイドに言っていた。
「え、なんだってロイド、話がよく聞こえないよ。うん、セリーナに、助手席からの風景も、違って見えるから。って言ってんのかな?」
私は、これが一人芝居だと、すぐに気付きました。だって、グリディアスの演技が、ヘタ過ぎるからね。
馬車はちょうど、いいところなのか? 止まりました。(さて、またロイドが、あの返事をするようなら、もう口も聞いてやらない!!)
(ロイドはこの時に、自分に言い聞かせていました。自分の欲しい結果は、どっちだ? 手に入れたいものは、なんだ!!)
(答えは決まっているじゃないか!! 欲しいものを、手に入れるための行動をしろ!! これしかないだろう!!)
助手席に、セリーナが座って来ました。
助手席からの風景は、違って見えるのかしらね?
うん、違うよ。見える範囲が広いから、それだけでも、違って見えると思うよ。いや...、僕には違って見えているからね。
そこから、馬車は走り出しました。
(また、聞いてみようかな?)
前にも聞いたけど、王都に住んでいるんでしょう。どんなところなの?
(僕には、また身構えるような、イメージが走った!! いや、旦那の言葉を思い出せ。商談で相手と交渉するなら、自分を大きく見せろ。相手と距離を縮めたいなら、なるべく身の丈で会話しろ!!)
(次に、思い浮かんだのは、ヘタにカッコを良くしようと思うな。無理が見え過ぎるものだよ =^_^=)
うん、じつは、旦那様と同じ屋敷なんだ。
質問に答えてるのに、質問をして悪いけど、まだ貴族って嫌っているよね。僕の実家も貴族が大っ嫌いなんだよ。
え! そんな質問なの? ええ、そうね。いま思い出したわ。昔に聞いてもらったわよね。貴族何て大っ嫌いって、話したわよね。
あれはね、マナー講習会へ薬局の娘が行ってどうするのかね! ってご近所から言われていたのよ。だからね、嫌いだったの。
それと、普通は、良くあることだと思うけど、マナー講習の先生って指摘が、キツイ言い方なんだよね。それも嫌いだったの。
でもね、薬局に来る人で農業の場合は、税の取り立てがなんか、理不尽だなって言っているわ。そういう人は、本当に嫌うんでしょうね。
ロイドの実家もそうだったりしてね。
ああ、そうだね。貴族に関わって、酷い目にあった人は、みんなそうなるよね。うちの実家も同じようなことを言っていたよ。
そうでしょう。うちは薬局でも、キチンと私が伝票や数の整理をしているから、それほど、嫌な思いもしていないからね。
ああ、そうなのね。ロイドは私をまだ、あの小さい頃のままだと思っているんでしょう? それって、怒ってやろうかな?
次回は、《エピソード06》弾む会話が始まった




