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現代日本プレッパーズ~北海道各地に現れたダンジョンを利用して終末に備えろ~  作者: 256進法
第二部:黙示録コンプレックス・in・北海道

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ヴェルミーナ喜びのススキノ

これが……武器……

いや、もしかして全身が……


~札幌市~

~ススキノ・ジンギスカーン~


『ぐぐっ……!』

『なんてパワーしてやがる……!』


『ヒャハハハハ……!!』

『テメェこそな、赤目女!!』


アーデルハイドは二人の横を通り抜け、乳酸菌カルピスサワー(※1)を飲みながら、肉にがっつくハルカに近づいて言う。


『それ、《おおかわ》のキーホルダーでしょ?』

『私も持ってるわ!さっぽろテレビ塔版を!』


「オオカワ……《おおかわ》の事!?」

「霊降ろして擬態型撃退してるシーンとか好き!」


『《おおかわ》があのヤハ・カンターレしているシーン、良いわよねぇ……』

『でも私はガチワレが好きだわ』


「ガチワレ!?わかる~~!」

「あの好奇心が暴走して、発売前のゲームを違法ダウンロードサイトにアップする所とか……」


(何普通に会話が成り立ってるんでしょうか、こいつら)

(ていうか私じゃなくて、いきなりタヌキの所へ来た時点で相当陰ですね、このゴスロリ)

(ただ、いきなり見知らぬ人間に話しかける所は流石アメリカ人ですね)


レイカは紙幣が大量に入ったボウルを持って、アイカの隣に座る。


「アイちゃんも中身は相当陰側やから心配せんでええで」

「そんなに二人が気になるなら、間に入って通訳してやれや(ニヤニヤ)」


「……うるさいですね、私はああいうの卒業してるんですよ」

「ハイパーキャリアウーマンであるイチカさんを補佐するハイパー美人秘書兼愛人……それが私ですから」


「ほ~~ん……」

「なら、ガンケースに付いとったウサギのキーホルダーはなんや」


「!!」


「ワイはしっかり見てるでぇ~~アイちゃん」

「ホンマは会話に混ざりたくてしゃあないんやろ、ん?」


「うっっざ……!この絡み方、完全に酒の入った中年オヤジ……!」


「カオ、赤いでぇ~~?」

「も~ぅ捻くれとるなぁ、あいちゃんは」


「~~~っ!」


アイカはビールを一気飲みし、レイカの肩をペシペシと叩く。

一方、イチカはヴェルミーナに押され始めて居た。


『ク、クソ……!』

『ターミネーターかよこの女……!!』

『どれだけ血魂(ブラッドソウル)飲んだんだ、コイツ……!!』


『ガロン単位で飲んでるぜェ!!』

『デトロイトのダンジョンでディセプティコン(※2)みたいなロボ軍団倒した時に、しこたま出たからな!』


『加減知らないのかこいつ』

『てかそんなのが居るのかよ……!行ってみたいな、アメリカ!!』


『来いよアメリカ!!』

『お前名前は!?』


ヴェルミーナの力が更に強くなり、イチカの拳は水平に近づいていく。


『……ッ!イチカだ!!』


『その名前、覚えたぜ!!』

『私相手にこれだけ粘れるたァ、大したモンだぜ!!ヒャハハハハハハァ!!』


「タヌキ!!イチカさんがあのヒャッハー女に負けそうです!!」

「何とかしなさい!!」


「出来るワケないじゃん!あんなの!!」

「ゴジラ vs メカゴジラじゃん!!」

「一介のたぬきが入っていけるワケないでしょ!?酔っぱらってるの!?」


「あったり前じゃないですかアホタヌキ」

「ここ、焼き肉屋ですよ?」


「完全に酔っ払ってるよこのお嬢様系」


アーデルハイドはハルカのデカパイを下から持ち上げる。


「ぉひゃっ!?」


コレ(・・)、使えば良いじゃない❤️』

『二人に掛けた簡単な暗示を解くには、視覚的なショックがあれば十分よ❤️』


『……一体何を考えてんですか、ゴスロリ女』


『べっっつにぃ~~?』

『貴女達とは仲良くした方が、程良く世の中が乱れて面白くなりそう、と思っただけよ?』

『だからヴェルミーナに勝てる方法を教えてあげてる、ってワケ』


『……テロリスト……なんてチャチなモンじゃなさそうですね』

『富良野で見たイスラム原理主義者達とは、まるでレベル(・・・)が違う』

『ネオナチ……いや、右派政党の一派でしょう、アナタ達』


『ざぁんねぇん❤️』

一派(・・)じゃ無いわ。西側における極右(きょくう)勢力のリーダーよ』

『リーダーはこのわ・た・し❤️』


『……しかもタダの政党じゃない』

『大規模な実力部隊か準軍事組織を持った右派セクターですね』


『イエス。アゾフ連隊(※3)が壊滅して、行き場を失ったカネと人間が私達の所へ流れ込んで来ている、ってワケ❤️』

『ロシア人にやられて泡食ったアメリカ政府やEU各国が遂に私達を頼り始めた、って事でもあるわ』

『私達の《目標》も知らずに……ふふふっ❤️』


「何の話をしているか言語レベルで分からん」

「説明プリーズ、レイやん」


「ワイも分からん」

「専門外だから専門外や!」


「進次郎構文だけは身に付いてて草」

「6年間の英語教育は無意味だったってハッキリわかんだね」


「貴女達が無意味に時を過ごしただけでは??」


「「はうっ」」


「……帰ったら英会話の勉強ですね」

「レイk……やん貴女もです」


レイカとハルカは目を見合わせる。


「……今の聴いたか?タヌキ」


「聞いた。『レイk……やん』だってさ」

「遂に来ましたぜ~~!デレ期が!おぅぇ~~い!」


「貴女達から先に殺して良いですかね?(真顔)」


アーデルハイドは頬を軽く膨らませ、三人の方を見ながら拗ねる。


『ふんっ!な、なによ、3人だけで夢中になって……!』


レイカはニヤケながら彼女の肩に手を回し、耳元で囁くように言う。


「寂しいか?」

「ワイとワンナイトラブしたくなったか?ん?」


『なっ……』

『なにこの軽さ……有り得ない程にチャラい……』

『私と寝たら次の日には別の女と寝てそうだわ……』


「アイちゃん」

「コイツなんて言っとん?」


「有り得ないぐらいチャラくて軽いぞ、この女って言ってますね」


「全くの事実やから反論せぇへんで」


「開き直ると人生マジで強いなぁ……」


アーデルハイドはレイカの腕をすり抜けると、ハルカに向かって《おおかわ》のキーホルダーを見せながら言う。


『ふふふ……❤️』

『あの吸血鬼さん、負けちゃうわよ?』

『貴女はどうするのかしら』


アイカは焦って背後を振り返り、二人も釣られて振り返る。

イチカの手の甲は、既に机の表面に着けられそうになっていた。


「おっぱい……」


イチカはヴェルミーナの押し込みに耐えている!


「これが……武器……」

「いや、もしかして全身が……」


何を思ったか、ハルカはいきなりズボンを脱ぎ出した。


「遂に気が狂ったんですか!?たぬき!!」

「ここ飲食店ですよ!?」


「ええぞぉ~~!!脱げー!脱げー!」

「わはははー!」


『……!!』


一方、イチカは踏ん張りが限界に達していた。


『あー畜生~~……!!ヤバいヤバいヤバい……!!』

『久々に負けちまうぞ、これ!!』


『ヒャハハハハ!!』

『今日は思う存分暴れてやるぜぇ!!このススキノでよォ!!』


イチカは歯を食い縛り、必死でヴェルミーナの押し込みにギリギリで耐えていた。

その時だった。


「おい!こっち見ろ!デカギザパイ!!」

「まっぱだカーニバル!!」


ヴェルミーナの目の前には生まれたままの姿のハルカが、堂々と仁王立ちしていた。


『ヒャフッ!?』


ヴェルミーナは思わず噴き出して、力を抜いてしまった。


『──今だ!!!』


イチカは全身のバネと筋肉を使い、ヴェルミーナの手を机へ思い切り叩き付けた。

机は粉々に叩き砕かれ、床には大きなクレーターが出来た。


「うぉっしゃあぁぁぁぁっ!!!」

「勝ったぁぁぁぁぁ!!!」


店内へ一斉に歓声が響き渡る。

それだけでは無く、外から見物していた通行人達も一斉に歓喜の声を上げた。


「いっちゃぁぁん!!流石やぁぁぁ!!!」

「たぬき!!!超ファインプレーやったでぇ!!!」


「いちかさぁぁぁぁん!!凄すぎますよぉぉぉぉ!!!」

「タヌキ!!今日だけは褒めてあげますよ!!」


ハルカは全裸のまま、イチカの青くなりかけた腕を持ち上げて宣言する。


「勝者!!香坂・クリスティナ・一夏!!!」


ヴェルミーナは呆気に取られ、アーデルハイドの方を見て抗議する。


『あのタヌキに何か入れ知恵しやがったな、アーデルハイド……!』


『ふふっ❤️何の事かしら?』

『……私、あの人達は生かしておいた方が面白いと思うの』

『彼女達はきっとこの業界を大いにかき回してくれるわ』


『……チッ』

『分かったよ。オマエの予想は毎回当たるからな』

『探索者ならどうせ何処かで殺し合うんだ、今じゃ無くても良いか』


『ふふっ。そういう聞き分けの良いトコロ、大好きよ❤️』


『ハッ、言ってろ』

『……それより外も騒がしいな』

『サイレンが鳴ってる。見物客にしては物々しいぜ』


『この国の民警(ポリス)ね』

『……私達は店を出なきゃいけないけど、どうしたい?ヴェルミーナ』


『決まってんだろ』

『挨拶代わりに戦争やるんだよ』

『ヴィットマンとアルグゥを呼べ!どうせ挨拶ならハデにやるぞ!!』


『クラリスは?』


ヴェルミーナは上着を羽織り、サングラスを掛けながら言う。


『アイツは呼ばなくて良い』

『性格クッッソ悪くてムカつくからな』

『《紅い重機関銃(ロート・ヴァッフェ)》起動!!これから北海道を戦場にしてやるぜぇ!!』


ヴェルミーナの両手に真紅の重機関銃が展開していく。

アーデルハイドは全裸のハルカに自分の上着を着せて言う。


『完敗よ、貴女の意外性に』

『また何処かで会えると良いわね❤️』


アーデルハイドはハルカの頬に軽くキスをすると、ヴェルミーナの後に付いて店を出て行った。


「……アイツ等、遠く無い内に騒ぎ起こすぞ……」

「レイやん、赤髪の腕を見たか?」


「……見たで」

「ルーン文字でナチス親衛隊の刺青が入っとったわ」

「あんな連中《魔女》のオバハ……いや、お姉さんが放っておくワケないやんけ」


「家に帰ったらまた居るかもよ、マルファお姉さん」


「お願いだから休ませてくれよ……」

コレ(・・)の後にマルファの仕事はマジでキッツいって……」


「イチカさん!私の胸で休んで下さい!」


「休むトコ何処や」


「私の胸も空いてるよ?」


「先生は取り敢えず服を着てくれないかな」

「自分を解放する事に目覚めちゃった?」


「実はちょっと……」


「参ったなぁ先生は、もう……」


イチカは笑いながら、自分の上着をハルカに掛けてやった。



※1 そんなメニューはジンギスカーンにはありません。暗示を掛けた店員を近くの店までパシリに行かせてます。


※2 通称、デストロン。英語圏ではこの言い方をする。

トランスフォーマーに出て来る種族(勢力)で、サイバトロンと対立している。コンボイ司令官は後者。


※3 長々と言い訳がwikiに書いてありますが、どう見ても右派セクターの軍事組織です。ありがとうございました。大体、ナチスの突撃隊や親衛隊と結成メカニズムがほぼ同じだし。

ヘイリー達は秘密裏とは言えCIAや統合参謀本部の指揮下で動いてましたが、アーデルハイドは独自にカネや兵隊を集めて私兵部隊を編制し、堂々と動いています。ヴェルミーナの軍時代のコネも兵隊集めの役に立ってる。


しかし、マルファお姉さんが何時までもこの連中をそのままにしておく理由もありません。

ただ、堕天使は本当の意味で魔女の対極かつ天敵です。政治的にも思想的にも戦略的にも、ダンジョン的にも全ての面において。

それだけ精神操作系アイテムと、このアーデルハイドという女、そして部下達は強力な存在です。


もしかしたら、北海道で独ソ戦が再現されるかもしれません。

コイツ等は気合いが入りまくってますので、きっと色んな場所で問題を起こしてくれる事でしょう。


話は変わりますが、ランボー程救いが無い主人公は居ない気がする

ロッキーは人生を通して得たものがデカいけど、ランボーは失うばかりなんだよなぁ……


ヴェルミーナはもう通常の社会に適応出来なくなってます(元からだけど)

駐車場係には一番向いてない人材です。


ヴェルミーナの髪型はドルウェブの暮無夕離に近いイメージです。

おっぱいも大きいです。身長も大きいです。筋肉も大きいです。

大好きだろ?


暮無夕離はドンキだけど、ヴェルミーナはウォルマートのイメージ。

アーデルハイドと彼女はドイツ系アメリカ人で、アメリカでは最大の民族グループです。

この世界でもヒスパニック系が猛追してますが、同時に不法移民対策で強制送還が始まっています。


ちいかわ → おおかわ → おおかわりゅうほう


あはっあはっ、この作品こんなになっちゃった……たはは

なっちゃったからにはもう…ネ...


お読みくださりありがとうございます。


「面白かった」「続きが気になる」「更新頑張れ!」

「陰キャは陰キャを知る」「おおかわはマズいって!」「ネタがギリギリすぎる……」「あはっあはっ」「アイカ可愛い」「レイやんはさぁ……大好き」「この世界のデトロイトどうなってんだ」「ヴェルミーナが終始強くて良かった」「先生は意外性ナンバーワン」「まっぱだカーニバル!!」「上着を掛けてあげるイチカ優しい」「次回は大変なコトになりそうだ」


と一つでも思っていただけましたら、ブクマ・評価いただけると励みになります。

よろしくお願いいたします

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