表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代日本プレッパーズ~北海道各地に現れたダンジョンを利用して終末に備えろ~  作者: 256進法
第三部:駆け抜けろ 燃え尽きたろか シンデレラ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

147/154

暗黒ファッションデザイナー(後編)

両腕無くなって、ヴィーナスは初めてヴィーナスなんや


鑑賞用BGM(√64階から):https://www.youtube.com/watch?v=XHxNm9x89J8


~ニューヨーク地下鉄8番出口ダンジョン~

~√64階~


レイカはスマホに送られて来た情報を見ると、高っちゃんに投げ渡した。

高っちゃんは画面を見ると、そのままパンツの中に仕舞いこんだ。


「なんかズルしてるみたいやが……」

【負ける方が遥かにダサいわ】

【フェアな戦いなんぞないんや】


近づいて来たマルタレータは、髪を搔き上げて言う。


【良く分かってるじゃないか、女サムライ】

【ビジネスも戦いも、グレーゾーンを攻めてこそだからねぇ】

【どんな綺麗事を言った所で、儲けられないのが一番恰好悪いのさ】


【ワイもオマエも真っ黒やんか】

【だから負けたら余計にダサいわ】

【ダサいのは一番嫌いやろ、互いにな】


【──ホントに頭がキレるねぇ!】

【中途半端に育ちが良い連中より、余程デザインの仕事が出来そうだ】

【これが面接だったら即合格にしているよ】


【生憎やが、ブラック企業で女盛り売り渡す気はないわ】


【フフ……お前を採用したら、直ぐに会社を乗っ取られそうだな】


レイカの火傷痕から炎が噴き出る。

彼女は刀を水平に構えながら俳句を詠む。


【死なんなら】

【燃やしてしまえ】

【クソババァ】


字余り字足らず無し。

相手にも不足無し。

足りないのは品だけだ。


【来な!】

【お前の腸を喉奥で味わってやるよ!】


マルタレータは刀よりも鋭い牙を見せ、レイカへ襲い掛かる。


【【加具土命】三段階起動】

【《他化自在天》】


【【サイバネ・ウェヌス】三段階起動】

【《バーサーク・ゴッデス》】


彼女の嵐の様なパンチとキックが襲い掛かる。

レイカは攻撃を寸前で見切り、合わせて身体を回転させ、刀で受け流していく。


【──!!】

【(コイツ!!)】


【攻撃を全て躱せるなら……】

【デカい筋肉は必要あらへんわ】

【(10秒で、【炉心】は身体の各部位を一個ずつ移動して行く……)】


床が攻撃で吹き飛び、レイカは壁を走りながら肩を斬り抜ける。

マルタレータが後ろを向いた、その一瞬だった。


【パワーーーーー!!!】


高っちゃんの正面タックルがマルタレータに直撃する。

彼女の足元が抉れ、瓦礫が吹き飛んでいく。


【ちょっ、調子に乗るんじゃないよ!!ビルダー!!!】


だが、高っちゃんの純粋培養天然筋肉はマルタレータを押して行く。

レイカは二人を追い掛ける。


【(そして各部位を一周したら、今度は反時計周りに【炉心】は移動して行く)】


マルタレータは高っちゃんの胴を抱え込み、勢いを乗せてスープレックスで投げ飛ばした。

壁が吹き飛び、高っちゃんは壁を突き抜けて行く。


【やっぱり、高っちゃんは頼りになるわ】


仰向けになったマルタレータに対し、レイカが上から襲い掛かって来た。


【──しまっ……!!】


【遅いわタコ】

【《連続十段突き》】


神速の刺突が一瞬かつ連続で、マルタレータの人工臓器と右手足を貫いて行く。


【ッ!?】


彼女は身体に起きた異常に、驚いて目を見開く。

しかし、レイカは容赦なく追撃を掛ける。


【《剣崎流一刀居合》】

【《流転双飛翼》】


【加具土命】の剣先がマルタレータの両脇を掠める。

レイカは勢いのまま跳んで回転し、着地して剣を仕舞う。


【やっぱワイ、センス有り余っとるわ】


マルタレータは倒れたが、即座に立ち上がってレイカを背後から抱き潰そうとする。


【今度はオマエが腕を捥がれる番やで】

【両腕無くなって、ヴィーナスは初めてヴィーナスなんや】


彼女の丸太の様な両手が地面にずり落ち、両肩から白い液体が噴き出る。


【……!!】


レイカは振り返り、マルタレータの顎に剣先を突き付けて言う。


【まだやるんか?】

【ワイは彫刻と戦う趣味は無いで】


【フフ……殺さないのかい?】


【オマエにトドメ刺して、私に得があるんかいな】

【私の次の敵は、オマエの弱点を教えて来たヤツや】

【アイツは私の恩人を泣かすのが趣味らしいわ】


【──ラロシェル……!!】

【やっぱりねぇ……!!今回もしてやられたよ……!!】


マルタレータは獰猛な笑みを浮かべながら、白い液体を吐いて仰向けに倒れた。



~同時刻~

~ニューヨーク市内~

~Stumptown Coffee Roasters~


ラロシェルはコーヒーを置いておもむろに立ち上がり、タブレットの向こうのレイカに向かって拍手した。


『素晴らしい……!!』

『そして……余りにも美しく鮮烈にして、苛烈な決着……!!』

『そう、それでこそ私が見込んだ人材です!』


周囲の客の注目が、一斉に彼へ集まる。


『たった今……』

『日本から来た女サムライがNYのダンジョンで、ナチの手先になっていた人狩りの怪物に勝利しました』

我々(・・)はアーデルハイドの牙を1つ折る事が出来たのです』

『これは単なる勝利はではない……』

『我々の価値観である【多様性】が勝利した瞬間でもあります』


ラロシェルは指を鳴らす。

レイカとダンジョンの映像がカフェの窓に映し出される。


『この勇敢なるサムライシンデレラに惜しみない拍手を』


店内が乾いた拍手に包まれた。

まるで独裁者の前で、独裁国家の英雄を称えるかのように。



~ニューヨーク地下鉄8番出口ダンジョン~

~√64階~


クエイドとキャクストンは互いに撃ちあいながら、並行に机と机の間を走り抜けて行く。

キャクストンは青黒いアサルトライフルの弾倉を素早く交換する。


『【AR-ネビロス-31】二段階起動』

『《カーブクイックバースト》』


連射された弾は屈曲し、クエイドの肩と防弾チョッキを削る。


『【M82ニヌルタライフル】二段階起動』

『《サンダーブレイクショット》』


轟音と共に電流を纏った弾が、キャクストンの大腿部を掠める。


『(──長くは続かないな)』

『(決着までは短い)』


『(俺は……俺は何の為に殺し合っている……)』

『(……一体誰の、何の為だ?)』


二人は机の裏に転がり込み、激しい銃撃戦を続ける。

遂にクエイドは左肩に弾を受け、倒れてしまった。


『(教えてくれ……アンナ……父さん……母さん……マーク……)』

『(幾ら時間が経っても……あの時の幸せは取り戻せないのか……)』


《【クエイド。相変わらずね】》

《【何時も昔の事ばかり……もうあんなに良い相手がいるのに】》


『(……アンナ!?)』


《【違うわ】》

《【あなたのライフルよ】》


『(……アンナそっくりの声だな)』


金髪の女性の幻が、倒れた彼の頬に触れる。

それは紛れもなくアンナの姿だった。


【そうか……何時も……】

【こんな近くに……!】


《【立って、そして走りなさい最高の狩人】》

《【狩人は常に獲物を狩る事だけ、未来の事だけを考えるのよ】》

《【そして……それが皆を護る事に繋がるの】》


【──目が覚めた】

【そうだ、俺は狩人……】

【全ては獲物を狩り終わった後だ】


クエイドは足に力を込め、ゆっくりと立ち上がる。

キャクストンは驚いて思わず動きを止めた。


『!?!』

『自殺行為だぞ!!クエイド!!』


クエイドはゆっくりと、幾何学模様の入った巨大な対物ライフルを構える。


【獲物に対し、臆するような狩人は居ない】

【妻子を弔いながら静かに生きろ、キャクストン】


『……ッ!』

『それが出来ればここには居ない!!』


銃声がと弾丸が交錯する。

クエイドの頬から血が出る。

そして──


『……俺の負けだよ、クエイド』

『ここのダンジョンは……お前達にくれてやる』


キャクストンは穴の開いた脇腹を押さえ、うつ伏せに倒れた。




今回は登場人物の経営・ビジネス・生活方面の諸々について。


……本作で出て来る経営者で一番ホワイトそうなのは、ヨハンお兄ちゃんかなぁ。

後はベルナルドとユンユン。

クレイエルに関しては言わずもがなの福利厚生です。

ソリタリウスも堅実に飲食業と護衛業で稼いで、妻子を養っています。


ミューゼさんは莫大な印税と収入を使って、業界を活性化させる様な事業の準備を始めています。

一番経営者らしい経営者はカヴァレリアだと思う。

彼女は資源やアイテム、果物や穀物を合法の範囲で扱う貿易をして、そこから利鞘と手数料を取る商売を取り仕切ってます。

災害や戦争が頻発し始めた世界で、彼女の存在は不可欠になって来てる。

ベルナルドの配下達はビジネスをホワイトにやれるやり手が多い。


以下、ブラック経営者(&個人事業主)共行きます。


イチカは自然にパワハラとモラハラかまして来るし、マルファお母さん将軍は束縛がヤバいし……

レイやんは金の流れが完全に怪しいし、ハルカは需要に応える気が無くて常に赤字だし、エリちは使途不明金多すぎるし、アインは人によってはとんでもない治療費を吹っ掛けるし、クライヴは死にかける程の仕事ばかりなのに人を雇う気が無いし、九子はマトモなやり方で営業してるとは思えないし、ヴェルナールに至っては騎士なのに非合法商売でカネを稼いでいる。


極めつけはマンハントを嗜む暗黒金持ち、マルタレータお姉様です。

ラロシェルはラロシェル、葵は葵なんで論外です。この二人は二極だと思う。

マルティーニに関しては完全にヤクと違法売買の元締めです。


あれれ?

ブラックな方が多いぞ?

しかも主人公側が多いじゃねーか。


自分基準の経営者や事業主って胃がもたれる人多いよな……

いや、最近マジでそう思うんだ。

大好きなミーナお従姉ちゃんの為、身体張ってネットでカネ稼いでいるクラリスはマジでエライよ。

おかりんもネットでカネ稼いでいるけど、多分まともな場所にカネは行っていない。


一番賢い稼ぎ方してるのはヴェルチカ&アルグゥのコンビだと思う。

信者ビジネスと軍事ビジネスはマジで際限がない。

映像や政治というコンテンツから、最大限金を引き出そうとしている。


そして、ミーナは恒常的に金を稼ぐ能力が皆無です。

だから、アーデルハイドとクラリスのヒモやってます。

素のスペックだけで生計立ててる。

コレはベルトランも大体同じ感じ。

ジュビアさんが有能&辣腕&甘すぎる。クソ甘ヒモ製造機です。


で、意外にも社会人力高いのがアイカです。

経歴さえ偽装すれば、色んな場所に溶け込めます。

現場のおばちゃんとかに一番可愛がられるタイプ。仕事も出来るし。

経歴を明らかにしたら、採用どころか四十万が飛んで来ます。

イチカのサポートが天職だと思う。


ヘイリーとエスティアも生活力高めです。

前者は明るく器用なので、すぐ重宝される。

だから、仕事が向こうから舞い込んで来て窮地を救われる。

後者はとにかく数学に強く、社会の仕組みを理解している。

こういう人達こそ、好きな事で食べている可能性が高い。


一番世の中から離れているのがクエイドかな……

というか浮世のアレコレに疲れ切ってる感がある。

それでも、彼の人生の中では比較的落ちついている状況なんだ。

エスティアは彼を無理には叱咤せず、いざという時には立ち直らせる良いパートナーです。

クエイドの能力自体は超一級品で、多分ラロシェルも目を付けている。


勤め人として一番有能なのはフェルゼンお嬢様です。

兎に角スペックがハンパない以上に、社会で上手くやれる才能が凄い。

料理もファッションもカネの管理も、果ては男の操縦にも長けている。

ママ友グループのリーダーにもなれる才能がある。


全裸バカ王子はもう運だけで生活が成り立つ。

本人の努力もあるけど、兎に角運を引き寄せる力が凄い。

ビジネスをやる気は全くなく、本人は自由に楽しく生きて行ければそれで良いと思って居る。

しかもそれが実現出来てしまうのが、この男の非凡な所だ。


逆にモーンケは全く運が無く、相続した牧場は破産し、土地は中国系のデベロッパーに持ってかれてしまいました。

しかも家畜は自分の手で全て殺処分しています。

彼の土地を取り戻す為の戦いは長そうだ。


エレナ、レナとクリチカ、ミレイアはまだ10代ですが、既に方向性は現れています。

レナはイチカとマルファお姉さんから、クリチカはクレイエルとヨハンから、エレナはレイやんとお姉さんから、ミレイアはベルナルドとレイやんから、それぞれかなりの影響を受けています。


レナはこのまま起業してしまうと、イチカのような無自覚パワハラかます様になる可能性大です。

クリチカはバランスの取れた仕事人生を歩むかもです。ヨハンの企業に就職するかも。

エレナはレイカの後ろ姿を追い過ぎているので、何処かで現実を思い知らされる。

ミレイアは一番堅実なタイプかつ、有望な商人になる気もする。


マルファ──イチカ──レナのラインはもうパワモラハラの系譜なんよ。

エレナは根っこがフェルゼンお嬢様以上に優しく育ちが良いお嬢様なので、パワハラをしている自分に耐えられなくなってしまう。

上の三人は自分にも他人にも厳しい所があるし、それが徹底出来る(特定の人物には甘いのがもうそっくりだ)。

エレナは関係無い他人でも、苦しんでいると途中でタオルとか水とか食べ物持って来て、世話を焼いてしまうような人間だからその系譜からは外れてる。


一番お勤めが長続きするのがヴァヴィロフです。

最強のマゾ奴隷なので、どんなブラックで理不尽で屈辱的な命令も喜んで絶頂してしまう。

組織人としては類稀なる才能をお持ちなんだ。

過酷な労働をすると、ヤツの凄さが分かる。


戦友は24時間闘えますか?って感じ。

頻繁に入院を繰り返すタイプです。

で、その度に復活して仕事してる。


で、フリスちゃん様ですが……

こんなクソ運営は中々見ない。

辞めたら?この仕事……

辞めませーん!



ここまで読んでくれて感謝や。

カップヌードルは何が好きや?ワイはシーフード味や!


「面白かった」「次回も楽しみにしている」「カレー味も捨て難い」

「確かに勝てない方がダサい」「互いに真っ黒なのは草」「マジで乗っ取れそう」

「良いハイクだ」「レイやんの戦いカッコよすぎ」「高っちゃんナイス!!」

「センスの塊やな、レイやん」「ラロシェルがご機嫌な様で何より」「隙あらばプロパガンダ」

「確かに独裁者と独裁国家みたいだ」「キャクストン強ぇー……」「悪魔はAR系が好みなのか」

「覚醒クエイドカッコ良すぎるだろ……」「メンタル安定するとクソ強いな……」

「フリスちゃん様、お前運営辞めろ」「労働止めたい」


と、どれか1つでも思って頂けたら、ブクマ・評価・感想頂けると励みになります。

よろしくお願い致します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ