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現代日本プレッパーズ~北海道各地に現れたダンジョンを利用して終末に備えろ~  作者: 256進法
第三部:駆け抜けろ 燃え尽きたろか シンデレラ
112/117

地獄警官四十万妖子


──私が居なくなってしまったら、一体誰がクリスティナを救うんですか?

私は罪を地獄で裁かれるその時まで、私の闘いを続けなければならない。


鑑賞用BGM:https://www.youtube.com/watch?v=-tG-hTmbNU4&list=RDRQ7BD0ELAco&index=7


~艦内・艦橋から120m地点~


青白い閃光に包まれ、ラロシェルの姿は消滅した。


【……消えたようですね】

【逮捕は出来ませんでしたが、これで事態収拾の目途が──】


四十万は片膝を付きながら、立ち上がろうとした。


【ここで覚醒するとは……】

【非常に素晴らしい兆候です】

【【セムヤザの仮面】三段階起動】

【《情報浸食》】


直後、四十万の全身を激痛が襲う。


【ぁぐ──っ!?】


彼女は倒れ、胸を抱えながらのたうち回る。


【貴女の身体は私が仕掛けたウィルス攻撃によって、崩壊が始まっています】

【情報量からして、あと4分意識が持てば良い方でしょうか】

【心臓が苦しいのはそこにウィルスが集まるからですよ】


【……どうやって……!】

【確かに消えたハズ……!】


ラロシェルは指を鳴らす。

彼の隣に、彼そっくりそのままの分身が現れた。


【ここは私の仮想実験室です】

【情報空間である以上、コピペも出来る……】

【そして、それは自分自身ですら例外ではありません】


ラロシェルは温くなった紅茶の入ったカップを取る。


【四十万妖子……私は貴女に二つの選択肢を与えたい】

【ここで崩壊して情報の海に消えるか、私に従い新たな世界の建設に協力するか……】

【後者を選択するのであれば、即刻クレイエル達へ攻撃中止命令を出しましょう】

【色好い返事を期待していますよ】


彼はカップを逆さまにし、四十万の前で中身を垂らして行く。

床に落ちた茶色い液体が広がって行く。

まさに首都圏を包む戦火のように。


(【……や、ヤキが回りましたねぇ……!】)

(【人生の最期が、こんな不気味なIT長者の前で藻掻き死ぬなんて……】)

(【ああ……後悔……私は後悔しかありませんよ、クリスティナ……!】)


四十万は隠しナイフを取り出し、自分の首筋に刃を当てる。


【わ……私を殺して良いのはクリスティナだけです……】

【彼女にだけ……その権利がある……】

【か……彼女以外に殺されるぐらいなら、私は自らで自分の命を──】


突如、彼女の脳内に言葉が響く。


《【自殺は地獄の最下層にも行けない】》

《【命を全うした者だけが六道の上へと至れる】》

《【今自ら死ねば、儂はお前に厳しい判決を下さざるを得ない】》


それは地獄の底から響くような声でありながら、同時に慈悲深さと厳粛さを感じさせる女の声だった。


(【……誰だか分かりませんが……】)

(【私は自分で死ぬ事も許されない、そういう事ですか……?】)


()

【四十万。貴様にはやらねばならない仕事が山積している】

【そして罪も、だ】


(【……罪……クリスティナ……】)

(【いや、それだけじゃない……】)

(【一番の罪は……】)


《【自分の本当の感情から目を背け続けて来た】》

《【立場を言い訳にし……自分に嘘をついて来た】》

《【地獄の最下層、無間地獄に相応しい罪である】》

《【異存は無いな?】》


(【ありません……あるワケがない……】)

(【洗脳された部下を殺した時も……クリスティナと会えなくなった時も……】)

(【本当は泣きたかった。でも、私には許されない事だと……】)


《【許す】》

《【感情を正直に表さない事、それこそが最も大きな罪である】》

《【四十万、お前の今感じている事を素直に言え】》


(【後悔……】)

(【虚無……】)

(【そして果てしない重荷の辛さ……】)


彼女の頭の中で、槌が叩かれる音が聞こえた。


《【──判決を下す】》

《【被告人:四十万妖子】》

《【被告は閻魔見習いとして今後の人生を捧げよ】》


(【え──】)


《【裁判は以上だ】》

《【今後の職務精励に期待する】》

《【そして……最初の仕事だ四十万】》

《【命を弄ぶ堕天使に対し、然るべき罰を与えよ】》


四十万の目が大きく開く。

そして彼女は激痛が走る胸を抑えながら立ち上がった。

ラロシェルは思わずカップを落とす。


【……!!】


カップの割れる音が通路に響く。

四十万は青ざめた唇を震わせながら言う。


【私はその選択肢を受け入れない】

【……私の全てを賭けて、ここは踏み止まらないといけないんです】

【闘わないといけないんですよ】

【でないと、クリスティナは間違い無く凄惨な実験の材料にされる……】

【クリスティナの能力と性格に目を付け始めて、それで終わるワケがない……!】


【──彼女は最高の実験動物です】

【ビジネスを始めとして何にでも使える、余す所が無い……】

【その癖、搦手に対しては無防備に近い】


【……っ!!】


四十万は壁によろけながら手をつき、血を吐きながら膝を抑える。

そして余裕綽々のラロシェルを睨み、肩で息をしながら言う。


【どうやってそこまで……】

【──まさか……!もう既に……!】


【ええ、お察しの通りです】

【香坂・クリスティナ・一夏は既にレナとクリチカという少女を通して、私の監視下にあります】

【ただ、彼女達は自分が情報を送ってしまっている事には気付いてないようですが】


【……その悪辣さには脱帽しましたよ】

【いや……電子機器のある所、【神の目】から逃れられる者は居ない……】

【まさに《エグレゴール》という社名に相応しい所業……】


ラロシェルは四十万の言葉に対し、軽くお辞儀をした。

四十万は眼を閉じる。


【最早邪魔なのはあの【魔女】……そして私だけですか……】

【死ぬ前に聞いておきたいんですが、クリスティナを何に使う積もりなんです……?】


仮面の4つ目が紫色に光る。


【《万病の特効薬》】


【──!!】


【彼女の能力である《血》の操作……いや、《血》そのものに対する本質的能力……】

【私は製薬企業やバイオ企業も経営しているのですが、競争相手がかなりのモノでして……】

【彼等は《不老長寿》や《不死》を目指しているのですよ】


【……アメリカ人は何処までも強欲ですねぇ……】


ラロシェルは何処から椅子を取り出し、足を組みながら座る。


【しかし、欲を掻いたが故に彼等は旭川で失敗しました】

【私は彼等の一派を買収し、とあるアイテムを横取りしようとしていたのですが……】


【それも失敗した、と……】

【ふふっ……ザマァですねぇ……!】


【ですが、思わぬ所から活路が見つかった】

【それが貴女の最愛の人ですよ、ミス四十万】

【しかも、リスクは断然低い。なのに得られるリターンは無限大……】

【野心ある企業家なら狙って当然の目標です】


【しかし、まだクリスティナの能力は世に知られていない……】

【今なら【独占】出来る、と言う事ですか……クリスティナを……!】

【そして病気は貴方が造る……】

【世界の利益と主導権は永遠に貴方のモノになる……】


ラロシェルは四十万に向かって拍手する。


【素晴らしい。正に打てば響く】

【競合相手でなければ、東京支社長にスカウトしたいぐらいの人材です】

【しかし誠に残念ですが、コレも巡り合わせ……】

【私の提案を断った以上、ここで死んで頂く他ありません】


四十万は憔悴し切っては居たが、それでも何時も通りの、憎たらしい笑顔をラロシェルに向ける。


【──私が居なくなってしまったら、一体誰がクリスティナを救うんですか?】

【私は罪を地獄で清算するその時まで、私の闘いを続けなければならない】

【そして私は遂に今、自分の醜さと罪に正面から向かい合う……】

【【ぬらりひょんの巻物】三段階起動……】

【《閻魔借用》】


四十万の取り出した巻物が(しゃく)に変化していく。

ラロシェルはスッと立ち上がり、彼女に向けて乾いた拍手を向ける。


【なんと美しい……】

【正にこれこそ、愛の輝きというに相応しい……】

【感謝、それ以外に言葉がありません】


四十万はラロシェルに向かって笏を振り翳す。


【《地獄連行》】


たちまち古びた門が現れて開き、赤い鬼の手がラロシェルを掴む。


【……貴方相手では正直、地獄でも時間稼ぎにしかならない……】

【でも……今はそれで十分──】


仮面の4つ目が妖しく、紫色に光る。


【おやおやおや……地獄行きですか……】

【なんとも胸躍るフィールドワークになりそうです】


四十万はラロシェルの言葉を無視しながら、ずり落ちる様に壁にもたれ掛かる。

彼は門の奥の地獄へと引き込まれて行った。



~D30区画~


藤原達一行は傭兵達を拘束しながら通路と区画を突き進み、格納庫の一つに出る。


《なんじゃこら……》

《まるでガンダムの格納庫みたいだな》

《その割には一機も見当たらないが……》


藤原と部下達は開けっ放しのハッチと、その外に広がる東京湾の空を睨む。


《全員逃げやがったのか……!?》

《いや……これで良い》

《間違ってガキなんか殺したら、俺は人間として終わっちまうからな……》


周りの隊員達も、彼の言葉に同意するかのように頷く。


《ここで時間を少し休息(・・)を取る》

《……良いな?》


藤原の言葉に隊員達は敬礼を彼へ向ける。

隊員の一人が言う。


「流石に参りましたよ……今回の任務は……」

「間違って撃ったら、娘に顔向け出来ませんから」


《……俺もだ》

《銃口を向けて来た少女兵の顔が、妹と重なちまった》

《そして【平和の配当】はもう既に失われている、って事を実感したぜ》


「……服部一佐が言っていた事ですね」


《……ああ》

《平良の野郎は一足先にこの光景を見たんだろうな、恐らく……》

《俺等はアイツの経験した地獄より、まだマシな地獄に居る。まだ味方の支援を受けられるんだからな》

《そして、賢い司令官と頼りになる部隊指揮官が居る。アイテムもある。正直、俺等は恵まれてるぜ……》

《──!!》


何かに気付いた藤原は部下にサインを送る。

部下達は銃口をハッチに向けながら、藤原を残して通路の奥へと撤退して行く。


《出て来やがれ、クソ野郎》

《そのやり口……》

《テメェ……クレイエルの部下じゃねェな》


《『流石は日本が誇る最高の精鋭達……』》

《『下手な待ち伏せは通用しないか』》


若い男の声に対し、藤原の背から闘気が溢れ出す。

同時に、ハッチの外から灰色の戦闘ロボットが格納庫へ突入して来る。


《……ハッチの上に張り付いてやがったのか》

《手慣れてやがるな、テメェ》

《この手のやり方で殺したの、二人や三人じゃねぇだろ》


《日本語を勉強しておいて正解だったなぁ》

《お陰で相手の感情や思惑も理解し易い……》

《まぁ1500万ドルが掛かった仕事だから、当然なんだが》


《……フリーの傭兵か》

《金次第で何でもやるタイプか》


《如何にも》

《僕はクライヴ。雇い主に対する質問はNGで》

《守秘義務違反で違約金を取られたくないんでね》


藤原は鎧に覆われた拳を突き出して言う。


《知りたくもねェ!》

《こんなクソなやり方を仕掛けて来るヤツの名前なんてな!》


《ジッとしているだけの、簡単なお仕事のハズだったんだ》

《経費も雇い主持ちの美味しい仕事でもあったんけど……》

《やはりそう上手くは行かないかぁ》

《君を殺しても特別ボーナスは入らなそうだ》


《……なら今すぐ海の向こうへ帰れや》

《こっちもスッキリするからよ》


《正直、僕ももうステイツへ帰りたい所なんだけど……》


その時、クライヴの端末に通知が入る。

しかもかなり丁度良いタイミングで。


《……!》

《これはこれは……!!》

《たった今、君達の首に賞金が掛けられた》

《相変わらず上手いなぁ、やり方が……人を動かす術を心得すぎでしょ》


《……!!》


《ヒデヒラ・フジワラ……階級はSergeant Major(曹長)……アイテムは【蜈蚣切】、強化近接型……》

《生きて捕えれば2700万ドル……殺せば1800万ドル……》

《捕らえるのは非常に難しそうだが、このミッションに挑戦する価値はあるな》

《【ライフ・イン・アッシュ】第二段階起動。【ARSENICCANNON】リンケージ開始》


灰色の機体は藤原に向かって巨大なライフルを構える。

ライフルの薬室からは緑色の粒子が漏れ出していた。


《──!おい!!》

《ンなヤバそうなモン今撃ったら……!》


クライヴは笑う。


《ははは……この艦には高値が付くけど、乗ってる連中は安い》

《社会から弾き出された傭兵共に、困窮した孤児や戦災孤児達……》

《艦長ですら半年前まで、糊口を凌ぐ為に娼婦をやっていたと来た》

《死んでも誰も困りなどしないさ、あの【黒い鳥】を除いてね》


《なんだと……!》


《何故怒る?》

《君達の仲間は殺す手間が省ける、僕は君を捕らえてボーナスをゲットする》

《この国の経済被害も抑えられる》

《良い事しかないだろう?》

《【黒い鳥】に取っては悪い事しかないけど》


藤原は両拳が割れる程、力強く握り締める。


《この有様に何も感じねぇのかよ、テメェ……!》

《13歳かそこらのガキが、必死な顔で銃持って向かって来たんだぞ!!》


《感じないね》

《値段の付かない雑草共になんか……》

《僕はプロフェッショナルだ》

《自分の価値を最大限に高め……》

《大金持ちから、出来るだけ高額な仕事を請け負うのがポリシーさ》

《その仕事で価値の無い雑草がどれだけ燃えようが、知った話じゃない》


《……発言を撤回しやがれ》

《あのガキ共は泣いてたんだ!怒ってたんだ!!》

《言葉は分からねぇが、その想いが伝わって来た!!》

《異国のガキだろうと関係無い!!もう任務も関係無い!!》


藤原の外骨格が、彼の怒りに呼応するがの如く鈍色(にびいろ)に輝き出す。

鈍色に輝く兜に龍の角が生えて行く。


《【雑草なんて草は無い!!】》

《【例え雑草だとしても、その名も無き草達を俺は護る!!】》

《【【蜈蚣切】三段階起動!!《決戦外骨格龍神兜》!!】》


彼は正拳突きの構えを取り、拳を【ライフ・イン・アッシュ】へ向けた。



~航空自衛隊・入間基地上空~


【全機撃破完了】

【次の攻撃目標へ移る】


【レイヴンズマハト】は基地から飛び立ち、次の目標へと向かって行く。

クレイエルは母艦からの応答が無い事に気付く。


【……応答しろ】

【何があった……ルヴィアンカ】


しかし、【シュバルツ・シュトルヒ】からの応答は無かった。

代わりにF-16とF-35Bの大編隊から、ミサイルの嵐が放たれる。


【──母艦が危ない】

【【レイヴンズマハト】第二段階起動】

【《彗星の道(コメットレイル)》】


黒い機体は青い粒子を纏い、高速移動でジグザグにミサイルを避け、編隊へ接近して行く。

青い彗星が編隊の間を通り抜ける度、戦闘機が爆発した。


《クソッ!まるで歯が立たない!!》

《損害が拡大するだけだ!》

《もう首都圏に纏まった航空戦力は無いぞ!!》


【──私の翼を直に狙う気なら、もう加減は不要だ】

【【レイヴンズマハト】第三段階起動】

【《アサルトフィールド》】


黒い機体から球体状にエネルギーが放出され、戦闘機だけでなく、鳥の群れをも青い粒子が焼き尽くして行った。




四十万のターンが終わらねぇぞ。

なんて遠回りな愛情なんだろうか。

閻魔大王にも本音を言えるその覚悟、感服仕った。


閻魔大王についてですが、一応妖怪関連の書籍には載ってるんですよね。

地獄の鬼達の上司かつ、妖怪蔓延る地獄の管理者なので。

妖怪達との関係性はかなり密接です。


あと、閻魔大王の前身は菩薩地蔵(知ってる人は某ゲーム関連で知ってると思う)です。

菩薩の如き慈悲の心と、容赦も仮借も無い鬼の心を持った存在……

なんか誰かさんと被りませんか?誰かさんと。


閻魔様は四十万の事をいたく気に入っています。

でなければ、そもそも呼び出しに応じたりしないので。

しかも、相手が生命を弄ぶ堕天使となれば尚更です。

(この堕天使には地獄ですら、実験場にする力と知恵があるのが厄介ですけども)


ただ、四十万にはもっと色々な事を学んで貰いたいので、厳粛に対応しています。

こういう懐の深さと厳しさの両立が日本的世界観に特有だな、と。

これって後継者……いや、それ以上はよそう。

全てが終わった時、四十万は現世に居られるのでしょうか?


そして……藤原が余りにもアツすぎる。


藤原の格闘ベースは空手と日本拳法です。

勿論、黒帯と段位持ちです。

空手はヤンキー時代も継続してました。根はクソ真面目だな。

日拳は自衛隊に入ってから超努力して習得しました。

こういう人が実社会では一番活躍する。


イジメやカツアゲをするような奴には剛拳をくれてやってました。

絵に描いたような、硬派の純情ヤンキーです。無論、同級生達の番長的な存在だった。

少女時代のイチカに一番必要な人だったかも。四十万にも。


因みに勉強は苦手です。

特技は裁縫。好き。

多分ゲオルグとウマが合う。


上杉ちゃんのしでかした光景を、藤原が見た時が怖い。

ただ、彼女は自分の殺戮現場を見られるような間抜けじゃない。

隠蔽の為に必ず何かやらかします。


それ以上に問題なのが、四十万と上杉ちゃんのイチカに対するスタンスの違いです。

前者はとやかく言いながらも、骨の髄までイチカを愛しちゃってるので、必ず近くに置きたがる。

対して上杉ちゃんは恋の相手を誑かす夷狄との混血、殺すべしという認識です。


更に問題なのが、互いにその事を知る機会がこれからも無さそう、という事です。

知った時が怖い。

が、知ってる仮面が一人居るんだなこれが。何時でも爆弾爆発させられる。

マジでラロシェルは良い空気吸ってやがる……


これはレイカに対しても、両者は真逆のスタンスをとっています。

地雷しかねぇ。

こっちは何となくお互いに気づいているフシがある。


山金は四十万と上杉ちゃんどちらを支持するか、と迫られたら後者しか選択出来ない。

彼の愛国者というスタンスを捨てられない以上、超やんごとなき血を引いてる上杉ちゃん側に立たざるを得ない。(彼とラロシェル、宮内庁の上層部だけが上杉ちゃんの正体を知っています)

心情的には四十万ですが、立場的には上杉ちゃん側って感じ。

難しい商売だなぁ、政治は。


ラロシェルはマルファお姉さん以上に多彩な技持ってますね。

しかもエグかったり反則級のばかりです。

地獄送りになりましたが、恐らくツアーを堪能して帰って来ると思います。

地獄からの日本旅行とはたまげたなぁ。


上杉ちゃんが人間として終わってる?それはそう。

けど、現人神に下々民の理屈が通用するワケないだろ。

そして、アイカやマルティーニですら超えてないラインをあっさり越えてくれました。

これ以上はラロシェルか、まだ監獄に入ってる例の人物しかいません。


その刃が、味方や無辜の民に向かない事を祈りましょう。

彼女の忠誠心が四十万や現政府に無い、という事だけは確かです。当然、警察にも無い。

そして、四十万もイチカに上杉ちゃんの刃が及ぶのなら、彼女に対しても容赦のない対応をすると思われます。


そして、やはり別口で手練れの傭兵雇ってましたね、仮面野郎。

クレイエル達にも言っていない目的と仕事がある。普通に。

クライヴはラロシェルが直で雇った、という所から実力をお察し下さい。

コイツは金次第でどんな仕事も引き受ける、かなりダーティな部類の個人傭兵兼探索者です。


クライヴは戦場だけでなく、ダンジョンでの競合相手の始末も生業にしています。

なので、顧客は当然政府機関や大企業、犯罪組織等です。

一度、アーデルハイド達もデトロイトのダンジョンで彼に襲われています。

悪魔姉妹の反撃に遭って生きている時点で、クライヴは相当な強者です。

襲撃依頼を出したのは誰か、言わなくても分かるよな?


彼としてもラロシェルは超大口の顧客なので、報酬に見合った働きを見せてくれるでしょう。

ただし、金を出せば身分信条思想問わず、その仕事を引き受けるヤツです。

全てが金と能力評価次第なので。


そして、クレイエルが母艦の危機に気付いてしまいました。

超本気の黒い鳥が四十万達一行に襲い掛かって来ます。

立つ鳥の痕には何も残らない。燃え尽きた灰だけだ。


読者の皆様、お読み頂き有難うございました。

別府地獄巡りなら大歓迎です。


「面白かった」「次回が楽しみ」

「ラロシェルの攻撃がエグすぎる」「ラロシェルの能力が怖すぎる」「死んでも働かないといけないのか……」「四十万優しすぎるな(マジ)」「いい加減にしろよ、この仮面」「イチカが実験動物は流石に草」「あまりに度し難過ぎる事業戦略」

「閻魔様女なのか」「なんと美しい……」「正にこれこそ、愛の輝きというに相応しい……」「余裕だな、この仮面……」「四十万カッコ良いぜ!」

「藤原が本当にマトモでイイ奴過ぎる……」「そしてアツい!」「外骨格カッコ良いな!」「雑草なんて草は無い!!」「金次第で地獄の沙汰」「クライヴ、嫌いにはなれない」「何をぶっ放そうしてんだ、オイ!」「金で悪魔姉妹襲ったのはマジのプロ」

「あわわ……もう気づいちゃった……」


と、どれか1つでも思って頂けたら、ブクマ・評価・感想頂けると励みになります。

宜しくお願い致します。




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