イギリス功利主義。快楽のSUM(サム)を重視する「量的功利主義」のベンサムと質を見る「質的功利主義」のJ.S.ミル
ベンサムは快楽を計算できるとする立場の「量的功利主義」
ジョン=スチュアート=ミルは「質的功利主義」
コントの実証主義。スペンサーの社会有機体説。
倫「イギリスでは産業革命を背景に、ベンサムが功利主義を確立したわ」
学「功利とは功績と利益のことで、功利主義は苦痛の回避と快楽の追求をするという立場です」
倫「ベンサムは「最大多数の最大幸福」という言葉で、多くの人が幸せになることが善だとしたわ」
学「個人間に差を認めず平等に扱うという意味で、民主主義的な考え方と言えます」
倫「ベンサムは快苦の源泉を「制裁」であるとしたわ」
哲「ようするに、個人の幸福追求が社会に反したとき、何らかの制裁を受けるってことだよな」
学「制裁を物理的・政治的・道徳的・宗教的の四つに分けられます」
倫「快楽計算によって快楽の量を算出できるという立場から、量的功利主義と呼ばれるわ」
哲「質より量で勝負するタイプってわけだ」
倫「覚え方行くわよ。ベンSUMだから快楽を合計するって覚えればいいわ」
哲「まあ、覚えやすいところだよな」
倫「量的功利主義のところは、小売の量販店では計算間違いで制裁を受けると覚えればいいわ」
哲「快楽計算のイメージとはほど遠いな」
倫「ジョン=スチュアート=ミルは「質的功利主義」の立場をとるわ」
哲「こっちは量よりも質を重視したわけだな」
学「ジョン=スチュアート=ミルはJ.S. ミルと表記されることもあります」
倫「質の高さとして、ミルは精神的快楽が肉体的快楽よりも勝るとしたわ」
学「満足した豚よりも不満足な人間、満足した愚者よりも不満足なソクラテスである方がいい。です」
倫「制裁についてもベンサムの外的制裁とは異なり内的制裁を重視したわ」
学「内的制裁とは良心の呵責のような心の苦痛のことです」
理「ミルは『自由論』を著して思想と討論の自由が重要だとしたわ」
学「自由を重視することで個性の発展させ、質を高めるということですね」
倫「覚え方行くわよ。小売店でも満足を得るために質を重視する。質をミルって覚えるのね」
哲「目利きの鑑定士みたいな感じだな」
倫「高い店でも見るのは自由。J.S.ミルだけに自由にしてみるってね」
哲「自由にしてみるの略でJ.S.ミルじゃねーよ」
倫「フランスで科学による実証の必要性から生まれたのがコントによる実証主義よ」
学「実証とは事実や証拠によって確認できることという意味ですね」
倫「コントによれば「神学的段階」「形而上学的段階」を経て「実証的段階」に至るとしたわ」
哲「形而上学ってのは形がないものを思考によって明らかにしていこうって学問だったな」
倫「コントは学問を分類して「社会学」を創始したことから社会学の祖とも呼ばれるわ」
学「学問の分類はコントによれば、数学、天文学、物理学、化学、生物学、社会学の六つです」
倫「覚え方行くわよ。科学者と助手のコントで実験しようとしているところを社会科見学よ」
哲「実験しようってのが実証か。しかし、複雑な図を想像させるんじゃねーよ」
倫「スペンサーは社会をひとつの有機体であると考える社会有機体説を唱えたわ」
学「ダーウィンが『種の起源』で進化論を発表する前に社会が進化すると考えたんですよね」
倫「社会の中で「適者生存」の原理が働くとする進化論的功利主義の立場であるといえるわ」
学「「適者生存」はスペンサーが提唱し、ダーウィンが「種の起源」の中で用いた言葉だそうです」
倫「覚え方行くわよ。サスペンス小説の新刊の紹介言う期待」
哲「サスペンスがスペンサー、新刊が進化、紹介言う期待が社会有機体説か。覚え方に進歩がない」