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魔女と美食の島4

「ぐあっ!」

「っ!? 大丈夫かフレイ!」

魔物の突進を受けたフレイにグランが叫んだ。

「……平気だよ……っ! グラン、後ろ!」

フレイが叫んだ。

「あっぶね!」

グランは背後からの魔物の攻撃をかわした。

「サンキュー、助かったぜ」

「いいって、それよりも」

「ああ、この魔物、随分と厄介な奴だ。攻撃をしかけてきては地中に隠れるの繰り返しで、攻撃の隙がねぇ」

「その上、向こうの攻撃の正確さはかなりのものだ。これじゃあ一方的にやられるばっかりだよ」

「ちくしょう、時間がねぇっていってんのによ。なんでこんなふざけた奴の相手しなくちゃいけないんだ」

「焦ったってしょうがないよ。確実にこいつを倒して果実を手に入れる。それが仕事達成への最短ルートさ!」

「フレイ……そうだな。しかしその、こいつを確実に倒す方法とやらはどうする?」

「んー、要は地面に潜られなきゃいいんだろ。だとすれば……そうだ!」

フレイはグランに耳打ちをした。

「どうかな?」

フレイが尋ねた。

「……ふっ、はは! 相変わらずのスケールのでかさだな!」

グランは高笑いをしながら言った。

「いいじゃねぇか。その作戦でとっとと終わらせようぜ!」

そう言うとグランはハンマーを構え直した。

「よし! 行こう!」

フレイも同じく剣を構え直した。


一方そのころ、大会の選手控室では。

「お願いコロ! もう少しだけ待ってもらえない?」

ウォルタが言った。彼女の目の前には頭を抱えたコロの姿があった。

「私もそうして差し上げたいのは山々なのですが、如何せんもうお時間の方が迫っていまして。他の選手の方々も既に準備を終えていることですし」

コロが言った。

「それはそうだけど……私達はあの二人を!」

「それぐらいにしておきましょうウォルタさん」

ウォルタの言葉をフウが遮った。

「フウ……」

ウォルタが言った。

「他の皆さんに迷惑をおかけする訳には行きません。コロさん、申し訳ございませんでした。直ちにわたくし達も準備に取り掛かります」

「わ、分かりました! ごゆっくりでいいのでお願いしますね!」

「はい、ありがとうございます」

フウの言葉にお辞儀で答えると、コロは部屋を後にした。

「……」

「そう気を落とさないで下さいウォルタさん。あの二人なら必ず果実を手にして戻って来てくれますよ」

「それは分かってるけど、もう時間が!」

「ウォルタさん、考えてみてもください、あの二人がお行儀よく時間前に行動するタイプだとお思いですか?」

「それは……思わないけど」

「でしょう。あの二人の事です、きっと大会開始ギリギリに滑り込みで登場してくれますよ。だから、今はわたくし達がやるべきことを済ませてしまいましょう!」

「そうね……そうよね。 ありがとう、フウ」

「いいえ、礼には及びません。さて、準備に取り掛かりましょう!」

「ええ!」


「それじゃあ……」

「行くぜ!」

『アブソーブ』

フレイの言葉を引き継いだグランは、構えたハンマーに魔導石をスキャンした。

「しゃっあ! 頼むぜフレイ!」

「おう!」

『マキシマム』

剣に魔導石をスキャンしたフレイは、その構えた巨大な剣を地面に向けて振り下ろした。すると、その衝撃を嗅ぎ付けた魔物は地中から姿を表した。

「かかったな! お前を地面から出せばこっちのもんだ!」

フレイが言った。

「ああ、なぜなら……」

グランが言った。そして、自らが地中から誘き出された事に感づいた魔物は目にも止まらぬ速さで、再び地中に戻ろうとした。しかし、次の瞬間、魔物は目を疑った。それもそのはず本来、自身が隠れるはずの地面が丸ごとえぐられて消えていたからである。

「アタシのこのアブソーブハンマーで、お前が自由に動ける地面の柔らかい部分の土を全部吸引しちまったからな!」

グランが言った。そして不意を突かれた魔物は、自身の体では潜ることのできない硬い土の地面に衝突した。

「動きが止まった! グラン!」

「おうよ!」

次の瞬間、巨大な炎の斬撃と巨大な土塊の衝撃が魔物を光の粒子へと変えた。


そして数分後、ハベス島本島ではついに大会の開会式が始まっていた。

「……」

「……」

「……ウォルタさん?」

会場の調理場に着いたフウが言った。

「大丈夫よ。二人は必ず果実を採って戻って来る。私はそう信じているわ」

ウォルタが笑顔で答えた。

「……ええ!」

「それにまだ開会式中だもの、時間はまだ残っているわ……なーんて、自分でも何言ってんだかって感じだけど」

「ははは、そうですね時間はまだあります。気長に待ちましょう」

「ふふ、そうよ」

そして数分後、開会式も終わりを迎えようとしていた。

「えー、せ、僭越ながら! 私、新米実行委員であるコロがこの大会の開始の宣言をさせて頂こうと思います! それでは! 第100回 ハベス島新人料理人決定戦! 開……!」

『ちょっと待ったぁあああああ!!』

コロの言葉を遮って、怒号と共に何者かが会場に現れた。

「……あれって!」

「やれやれ、予言した通りですね」

ウォルタとフウは顔に笑みを浮かべながら言った。会場に乗り込んで来たのは妖精の果実を抱えたフレイとグランだった。

「ウォルタ! フウ! 妖精の果実のお届けだぁ!!」

フレイが果実を掲げながら言った。そして、妖精の果実という単語に会場は一気にどよめいた。

「妖精の果実だって? よく採ってきたな」

「すごいわぁ、本物見るの私初めて!」

「どんな料理を作るのか楽しみだ!」

会場のあちこちからそう言った声が上がった。

「全く、派手なパフォーマンスかましてくれるわね。一気に注目の的になっちゃったじゃないの」

ウォルタが笑顔で言った。

「ははは、やりがいがあっていいじゃないですか」

フウが笑顔で言った。そして、フレイとグランは二人のもとへと駆け寄って来た。

「わりぃ、遅くなっちまった」

グランが言った。

「いいえ、そんなことないわ。それより、果実を持って来てくれてありがとう、二人とも」

ウォルタが言った。

「ええ、後はわたくし達に任せて、お二人は控え室でごゆっくり休んで……」

「何言ってんのさ。苦労して手に入れた果実がどんな風に料理されるのか見させてよ」

フウの言葉を遮ってフレイが言った。

「そういうことだ。フレイ、観客席に行くぞ」

「おう! ウォルタ! フウ! 頑張れよ!」

そう言うと二人は調理場を後にした。

「相変わらず、底無しのスタミナね。なんて感心している場合じゃないけど」

ウォルタが言った。

「ええ、ここからはわたくし達の戦場です。お二人の頑張りを糧に、最高の料理を作りましょう!」

フウが言った。

そして、二人の作った料理は見事、審査員達のハートをつかみ、四人はミラストーン製のトロフィーを手に入れたのだった。

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