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2 学校での一日

 尚はあれからバス停まで走り、何とか始業時刻ギリギリに間に合った。


息も絶え絶えの尚に


「ギリギリだったね。なんかあったの?」


隣の席の尚の親友、三井恵里みついえりが優しく問いかけてきた。


「ううん、何でもないの。ちょっと寝坊しちゃって」


走って乱れた髪をてぐしで戻しながら恵里に向かってやや微笑んで答える。


「わぁー可愛い!そのカーデ。昨日着てくるて言ったやつ?」


「そう、キュールで買ったんだ。」


恵里がカーディガンに気付いてくれたので、尚は嬉しそうに答えた。


キュールとは今女子高生を中心に流行しているファストブランドである。低価格でありながら、高品質でカラーバリエーションに富んでいる。


「いーな、わたしもっ」


そう恵里が言いかけたところで一時限目始業のチャイムが鳴り、生物学の先生が入ってきた。


 この生物学の先生、名前は城山しろやまというのだが還暦手前でありゆったりとした口調で話すので寝る人が続出するのである。


なおかつ火曜日の一時限目にあるので余計眠くなる。


尚の隣の恵里は、授業開始5分で船をこいでいたが、尚は集中して黒板に見入っている。


尚は生物学が得意科目であり、好きな科目である。主に理系科目全般が好きな尚であるが、こと生物においてはその持ち前の集中力をいかんなく発揮する。


今日の授業内容は、生物発生の仕組み。城山は黒板に丁寧にその行程を記している。


尚はもちろん生物の発生行程は知っていたが、城山という先生は黒板に自身のスケッチとともに授業を行う。


尚はそれが好きだった。想像力が膨らみ、その想像は古代の生物がどうやって発生し進化したのかを仮定するまでに至る。



なので尚にとってはこの授業は一瞬でもあり、長い時間であるともいえる。気が付くと授業はもう終盤であった。


授業が終了し尚は溜息をついた。尚は理系科目が好きな反面、文系科目はさっぱりなのだ。


特に嫌いなのが古文であり、次の授業は古文である。


古文は尚以外の生徒には概ね好評である。さっきの定年手前のおじいさんではなく、若いさわやかなイケメンの先生だからである。女子受けは抜群である。


それだけではなく、ハキハキとした口調から要点を的確につく授業はわかりやすく退屈させない。


恵里なんかに至っては古文の先生にぞっこんである。


何がいいのか尚にはさっぱりわからない。それどころか尚は古文の先生の名前すら覚えていない。


古文は2年になってから始まった授業であるが退屈でしょうがない。


一度恵里に古文ってつまらないよねといったら烈火のごとく怒ったので恵里の前では言わないが。


古文の授業が始まり、さっきまで船をこいでいた恵里は食い入るように黒板を、先生を見つめ、対照的に尚は授業を聞くふりをしながら再び深い生物への想像の谷に吸い込まれていった。


その後の授業は、数学、英語と終わり三花女学院、通称三女はお昼を迎えた。

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