第47話 来年もこれからも
「大変だったらしいな~湊」
「聞いたわよぉ~日向ちゃんを命がけで守ったそうね」
「まあね。それよりもなんでいきなり帰ってきたの?」
「そりゃあ、仕事が落ち着いたからな。年末だし」
「そうよ。仕事の方もひと段落したし」
クリスマスイブから時は流れ年末。
十二月三十日。
後一日で今年が終わるという日に二人は帰ってきた。
「お久しぶりです。海斗さん。美波さん」
「久しぶりだな日向ちゃん。俺達がいない間、湊の面倒を見てくれてありがとう」
「本当にね。かなり心配してたんだけど。こうして湊の元気そうな顔を見れるのはあなたのおかげよ」
「いえいえ。私の方が湊くんに助けられてますから」
日向は少し畏まった感じで父さんと母さんに挨拶をしていた。付き合っていることはあらかじめ伝えていたけどこんな反応をされるとは思っていなかった。
「ふふっ、ならいいけど。湊も日向ちゃんを悲しませるようなことはしちゃだめよ?」
「しないって。そんなことをするくらいなら死んだほうがマシだから」
「簡単に死のうとしないの。湊が死んじゃったら一番悲しむのは日向ちゃんなんだから」
「それは確かに。命は粗末に粗末にするもんじゃないな」
◇
年末に母さんたちが帰って来たことで、僕たちの怪我が治るまでが家事を担当してくれることになった。
正直ありがたい。
「なんだか申し訳ないね」
「まあ、気持ちはわかるけど僕たちは怪我をしてるし小雪さんは家事ができないし。しょうがないよ」
「早く怪我を治さないと! ねっ湊くん」
「うん。でも、無理はしちゃだめだよ? 日向が一番傷が深いんだから」
僕の傷と違って、日向の傷はかなり深い。それに加えてほのかから逃げ回っているからその分かなり悪化しているらしい。
完治まではあと最低でも一ヶ月はかかるそうだ。
「わかってる。でも、せっかくのクリスマスとか年末年始なのに何もできなくてごめんね」
「気にしなくていいよ。クリスマスや年末年始は今年が最後ってわけじゃないしさ。ちゃんと元気になって来年たくさんあそぼうよ」
「来年も一緒に居てくれるの?」
「もちろん。僕はもう日向と別れるつもりなんかまったくないからね。前も言ったけど、日向がいない生活はもう考えられないんだから」
「じゃ、約束だよ! 来年は二人でいっぱい遊ぶって」
「もちろんだ」
こうして僕たちは来年の約束をした。
来年は受験もあるから遊び惚けている場合じゃないと言われればそうかもしれないけど。
それは今のうちに真面目に勉強をしてカバーすることにしよう。




