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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第3章:白い翼と黒い悪意
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楽しい事後処理

⋇昨日投稿し忘れていたようなので今回は二話投稿。確かに投稿したはずなんだけどなぁ……


⋇グロ描写あり

⋇残酷描写あり



 レーンの身体の再生と蘇生を終えた僕は、死体になったラツィエルと一方的な契約魔術を結んだ。後々のことを考えると死なれると困るし、最初から蘇生はする気だったんだよ。でも殺しておけば同意を得ずに契約できるし、とりあえず一度は死んでもらうつもりだったってわけ。

 それでいざ蘇生しようとしたんだけど、そこで初めて死んでるわけじゃないことに気が付いたんだ。何か魂抜けてるみたいな顔してたし、たぶんレーンの最後の一撃のせいじゃない? 思い出してみると雷撃でボロクソになる前に倒れてた気がする。というか雷撃で炭になってもまだ生きてんのか、コイツ……。

 何にせよ、僕に不可能はあんまり無い。そんなわけでラツィエルの魂をちょちょいと元に戻してあげた。もちろんその前に、抵抗できないように色々な命令もしておいたよ。

 ちなみに魂は何か木っ端みじんになって消滅してました。誰だよそんな恐ろしい即死攻撃繰り出した奴……。

 

「――な、何だ、何が起こった!? 何故身体が動かない!?」


 蘇生させてもレーンの方はまだ目が覚めてないのに、ラツィエルは即座に目を覚ました。

 でも僕が『動くな』って命令してるから、地面に転がった状態から動けない。他には『抵抗するな』とか『魔法は使うな』とかも命令してあるから、ピーチク騒ぐことしかできてないね。無様だなぁ。


「おはよう、大天使様。動けないのは僕が動くなって命令したからだよ。お前が死んでる間に契約魔術結ばせてもらったしね」

「僕が、死んだ……? ば、馬鹿な!? この僕が、ただの人間に敗北したというのか!? 貴様ら、一体どのような卑怯な手を使った!」

「質問に答える義理は無いね。答えてもどうせ無駄になっちゃう問答だし。というわけで、おやすみ――睡眠(スリープ)

「う、ぁ……!」


 僕が魔法をかけると、ラツィエルはすぐさま深い眠りに落ちた。ちなみに今回の睡眠(スリープ)では昏睡並みの深い眠りに叩き落したよ。ちょっとこれからすることを考えると、深い眠り程度じゃ途中で目が覚めてうるさそうだからね。

 女の子の悲鳴やら何やらは大好きだけど、コイツ男でショタだから。男の悲鳴なんて僕はそこらの草花の種類程度にも興味ないです。


「それじゃあ、始めようか――記憶処理(メモリー・プロセス)


 そんなわけで、ラツィエルに知られた不都合な真実の隠滅にかかる。

 記憶を弄るっていうのは本来なら同意が必要になるけど、契約魔術使う時にこれを受け入れるよう内容に組み込んでおいたから問題なし。とりあえずヤバい記憶は一旦全部消しちゃおっと。消去消去。


「人の記憶弄るとか、魔法ってそんなことまでできるわけ? 死んだ人も生き返らせたりしてるし、もうできないことなんて無いんじゃないの?」

「記憶とか思想とか弄るのは、相手の同意を得ないといけないからちょっと面倒だよ。殺してからならそういう面倒な手順はカットできるのが良いよね」

「あっ、あ……う、ぁ……!」


 手持無沙汰に座ってるミニスに答えながら、記憶を次々消去していく。

 何かラツィエルが変な声上げながらびくびくしてるけど、まあ頭の中弄られてるようなもんだししゃーなし。これでコイツが女の子なら良かったのになぁ。


「う……ここ、は……?」


 ラツィエルの頭を両手で包みつつ記憶処理をしてると、その内レーンが目を覚ました。

 良かったぁ。蘇生しても目覚めなかったから心配だったんだよ。さすがの僕もあれだけ頑張った子を無理やり叩き起こすほど外道じゃないしね。まあここでやること済ませても目覚めてなかったら叩き起こすつもりだったけど。


「おはよう、レーン。ご機嫌いかが?」

「あっ、あっ、あ、あぁ……!」

「……目覚めて早々、おかしな光景を見てしまって吐きそうな気分だよ。君は一体何をしているんだい?」

「記憶処理。個人的にはコイツ死んだままでも良いんだけど、今の世界のパワーバランスを考えるに、ここで死なれるのはちょっと困るからね。せめて僕が魔獣族の国を見て回るのが終わるまでは、小康状態を保ってもらわないと」


 わざわざ記憶処理なんて面倒な真似をしてるのはこれが理由だったりする。

 だってこの生意気系ショタ大天使は聖人族の最大戦力の一人のはずだからね。これが突然いなくなったら、魔獣族が活気づいていきなり攻め込んでくるかもしれないし。そんなことにならないよう、コイツには生きててもらわないといけないわけだよ。


「なるほど。確かにギリギリの均衡を保っている中で大天使という最大戦力が一人欠けてしまえば、つけ入る隙が増えてしまうからね。賢明な判断だと思うよ」


 それだけ言うと、レーンは身体を起こしてたのにまた背中から地面に倒れ込んだ。何やら深いため息もついてたし、たぶんお疲れなんだろうね。コイツ、結局ほぼ一人で倒したしなぁ……。


「……それで、私の戦いはどうだったかな?」

「臓物撒き散らしながら戦うイカれた姿に惚れ直しました。後で抱いて良い?」

「別に構わないが、今夜だけはやめてくれ。少々疲れた……」

「だろうねぇ。まあ僕もまだ誰を最初に抱くか迷ってるから、今のは軽い冗談みたいなものだよ。よりどりみどりで悩んじゃうんだよね……」

「私としては、君がまだ女性を犯した経験が無いことの方が不思議だよ……」


 かなりお疲れみたいだけど、軽口叩く余裕はあるみたい。何にせよ元気なら問題ないね。

 それはそれとして、もう本当にレーンとエッチしちゃおうかな? 自分でもちょっと初めてに拘るあまり、悩みすぎてる自覚はあるしね。あー、でも記念すべき初めてなんだからやっぱり相手とシチュエーションには拘りたい自分もいる……。


「……そういえば、キラはどうしたんだい? もう負傷は治っているはずだが」

「ああ、アイツならそこでふて腐れてるよ。自分が足引っ張った挙句、最終的にほぼ一人で敵を倒されたから活躍できなかったことが悔しかったんでしょ。だよね?」

「……うるせぇ」


 声をかけると、近くの木の裏からそんな不機嫌そうな声が返ってくる。でも何かいまいち覇気がこもってない感じ。

 せっかく負傷が完治して勢いよく出てきたら、もう全部終わってたんだからそりゃこんな状態になるのも当然だよね。個人的には罰の悪さを抱くような感情がキラにあることの方が驚きだよ。


「問題児な上に、役立たず……ぷっ……」

「おい、今なんつったクソガキ」

「ひえっ!? な、何も言ってません! 言ってません!」


 やめとけばいいのに、ボソッと呟いてあまつさえ嘲笑ったミニス。

 もちろんキラはそれを聞き逃したりなんかせず、それはもう濃厚な殺意を全身から放ちながら、ゆっくりと木の裏から出てきたよ。あーあ、知らね。さすがにこれは自業自得だ。


「よし、分かった。そこにいろ。ぶっ殺してやる」

「い、いやああぁぁぁあぁぁぁぁぁっ!」

「待ちやがれ、このクソガキ!」


 そんなわけで、殺意ギンギンの猫と恐怖に怯えるウサギの追いかけっこが始まって――ってミニスの奴、思いのほか逃げ足速いな。すぐ捕まるかと思ったのに、むしろキラをぶっちぎる勢いの走りだし。そういや確かにウサギって足が速いって聞いたことあるな。腐りやすいって意味じゃなく。


「――へぶっ!?」


 でも幾ら速かろうと、ここ結界張ってるから真っすぐ逃げたらそりゃぶち当たるよね。いや、すでに森の中に消えてて悲鳴だけ聞こえてきたから、あくまでも想像だけどさ。まあ『バァン!』って凄い音聞こえてきたし、たぶんあの速度で顔から行ったね……。


「ギャアアァアアアァァアアアァァァ!! だ、たずけっ、助げてえぇぇぇぇええぇぇ!!」

「おっ? 何だよコイツ、目玉抉っても再生するじゃねぇか。抉り放題だな」

「アアアァァァアアァァアアァァッ!!」


 そして何か聞こえてくる嫌らしい水音と、キラの嬉しそうな声。そして耳に心地良いミニスの悲鳴。イッタイナニヲヤッテルンダロウナー。


「よし、記憶の消去は完了! ここから代わりの記憶で埋めてくぞー」

「あんな悲痛な叫びを聞きながらよく作業を続けられるね。君に人の心は無いのかい?」

「ちょっとどっかで落としてきた。たぶん母親のお腹の中かな?」

「はあっ……君らと一緒にいると、頭がおかしくなりそうだ……」


 そんな自分はまとも的な事を言ったレーンは、ゆっくり立ち上がるとちょっと覚束ない足取りで悲鳴の方に歩き始めた。やっぱりめっちゃ疲れてるのか、それとも一回下半身が無くなったせいでまだ接続が鈍い感じなのか、いずれにせよ本調子じゃなさそう。別に寝てても良いんだよ?


「そうだ、一つ聞いて良い? 何でコイツはお前の魔法を封じる魔法使わなかったのか疑問なんだけど、理由分かる?」

「理由は三つある。一つは魔法を封じる魔法は、消費魔力が途方もなく大きいということだ。それこそ私でも自分の魔力全てを用いて、数秒維持するのが精一杯だからね。大天使でも十秒維持できるかどうかは怪しい所だろう。仮にその魔法を使い私を倒したとしても、まだキラも生きているし、何より君も――」

「長い長い長い。本調子じゃなさそうとか思ったけど絶好調じゃんか、お前。もっと短くして」

「……敵の数と自身の残存魔力の問題。魔法無効化や魔法封印の効果を魔法陣にするのは極めて相性が悪いため、千年単位で時間がかかること。そして最後に控えているのが君という、魔法を無効化する何らかの術を持っている敵だということ。これらの条件が揃っていなければ、まず間違いなく私は敗北していただろうね」

「あー、そういう……」


 要するにラツィエルは最後に僕を相手にしないといけなかったから、そのために余力を残す必要があったわけだ。おまけに僕の話した勇者の力云々を信じるかはともかく、一回自分の魔法を無効化された経験があるしね。

 色々未知数なところがあったことは自分でも分かってるし、後々の事を考えてレーンに対しては全力を出し切れなかったのか。ペース配分を考えるのは賢いやり方だけど、そのせいで負けてたら世話無いね。


「聞きたいことはそれだけかな? では、私はあの一切反省していない殺人鬼を止めてくるよ」

「ギャアァァアアアアァァァアアアッ!!」

「はいはい。それじゃこっちはちょっと集中して取り組むから、終わるまでしばらく待っててね」


 それからしばらくの間、僕はラツィエルの記憶の改竄作業に集中するのだった。せっかくミニスの悲鳴を作業用BGMにしてたのに、レーンが森の中に消えて行ったらすぐにBGMが終わっちゃったよ。残念。 

 



  

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