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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第21章:英雄の意志

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サバゲー

「さて、腹ごしらえも済んだところで本日のメインイベントだ!」

「メインイベント~?」


 皆で砂浜でバーベキューを楽しんだ後、遂に今回の目玉である催しを開催する事にした。

 とはいえ今回のイベントは面倒臭い事に説明が不可欠。何せ使用する道具は恐らくこの世界の奴らは知らない道具だからね。元勇者コンビは絶対知ってるだろうし、何ならイベントの概要を説明しただけで全てを察してくれるだろうけど。


「今回のイベントはずばり、この無人島全域を舞台にした本格サバイバルシューティングゲームだ!」

「おおぉぉぉぉっ!? サバゲーやるの!? 本当に!?」

「やっぱりな。でもこれは正直楽しそうだ」


 案の定、二人は概要だけで全てを理解してた。トオルはテンションは爆上がりで目を輝かせてるし、リュウでさえ平静を装いつつもちょっとソワソワしてる感じだ。まあ仕方ないか。サバゲーってクッソ楽しいだろうからね。

 ましてこれから行うのは、より楽しくなるように僕の魔法をフルに利用した本格サバゲーだ。これでテンション上がらなかったら同郷の人間とは認めないよ?


「詳しいルール説明の前に、まずは今回使用する武器を見て貰おうか。ほいっと」

「わーっ!? 何かいっぱい出てきた!?」


 砂浜に大量の武器をバラ撒くと、その多さにリアが目を剥く。何だかんだでここには十人以上いるし、武器も種類があるから軽く数百以上はバラ撒いたからね。そりゃあ驚くのもやむなしだ。

 そんでサバゲーという事もあり、武器はほぼ全て銃器だ。片手用拳銃に両手持ちのアサルトライフル、それから狙撃用のスナイパーライフル。後は手榴弾だね。綺麗な南の島の砂浜が武器庫みたいになったけど気にしない。


「クルスくん、これ何? 随分不思議な形をした武器だね?」

「これは銃っていう武器だ。まあ個人携行できる大砲の縮小版って言えば分かりやすいかな?」

「ほう? 不思議な形状をしているね……」


 突如現れた異質な黒い武器を前に、みんな興味津々って感じ。拾い上げてじっくり眺めてみたり、おかしな所を握って剣みたいに構えてる奴もいる。何なら投擲武器みたいに放り投げる奴までいるよ。ちなみにトオルは両手持ちのアサルトライフルを片手に一丁ずつ持ちポーズを決めてます。ハリウッドのアクションスターかな?

 一番興味深そうにしてるのはやっぱりレーン。まあ未知の武器とか知識欲を刺激されるだろうから当然か。ただその他にも三人ほど不思議な反応を示してる奴らがいるな?


「銃、銃か……ご主人様よ、もしやこれは火薬の燃焼によって鉛球を撃ち出す武器か?」

「おっ、ご名答。良く分かったな。もしかしてこの世界にも存在してた?」


 その内の一人、ベルが銃に関して的確な情報を口にする。

 ちなみに他二名はバールとハニエル。不思議な反応を示してた三人が総じて二千歳以上の奴らである事を考えると、大昔には銃が存在したのかもしれないな? ただ物知りなレーンが知らないって事を考えると、完全に廃れた感じか……?


「確か二千年前くらいに開発されていたような気がします。当時は魔法を使えない歩兵でも一定の攻撃力を出せる画期的な兵器と見込まれていたんですが、いつの間にか廃れていましたね。何があったんでしょうか?」

「相手が悪かったせいだな。魔獣族の戦力の大部分は身体能力の高い獣人だ。撃つのに時間がかかる上に連発も出来ず、ピンポイントに狙いを付ける必要があるというのに威力はさほどでもない兵器など役に立たんからな。まだ生産コストが安く済む弓矢の方が扱いやすい」

「あー、開発初期で断念されちゃった感じかぁ……」


 ハニエルとバールは正しい持ち方で拳銃を構えつつ、そんな制作秘話を教えてくれた。

 地球でも初期の銃って単発式でえらい使い辛かったし、魔法なんて便利なものがあるなら無理して開発を進める必要は無いよね。結果的にそのせいで銃の改良や進化も無く、そのまま歴史の闇に葬られたって感じか。


「まあこの銃はその頃のやつとは違って、もっと手早くお手軽に連発出来るやつだよ。で、こっちは絶え間なく連射できるやつ。こっちは連発は出来ないけど超長距離から狙撃出来るやつね」

「へー……それでこれを使ってどうするの? みんなで狩りでもするわけ?」

「だったら獲物はお前だな、クソウサギ?」

「は? イカれた殺人鬼のあんたの方でしょ?」


 興味を示したミニスに対し、キラが噛みつきバチバチの睨み合いが始まる。撃ち方とか知ってたら絶対にもう発砲してそうだ。教えなくても鈍器にして殴り合いそうな様子だが。


「はいはい、火花散らさなーい――と言いたいところだが、今回は許そう。何故ならこの銃を用いて狙うのは獣や魔物とかでなく、僕ら自身だ。つまり、僕らがこの銃を使ってお互いを狙い競い合うって事だよ。この無人島を舞台に、生き残りをかけたデスゲームを始めるってわけさ」

「ひいっ……!?」

「なるほど、それは面白そうです。同じチームになれると良いですね、ヴィオ」

「そうだね、リリィ。でも君をこの銃で狙い撃つっていうのも、ちょっと魅力的かな?」

「それも捨てがたいです。ヴィオに私のハートを撃ち抜いて欲しいです」


 僕の説明にミラが顔を青くして縮こまり、メイドと執事のカップルはちょっとヤバいイチャつき方をする。ヴィオくんなかなか飛ばしてますね?

 とにもかくにも、今回のレクリエーションは正にこれ。無人島を舞台にしたサバイバルゲームだよ。さすがに人数多いから三チームくらいに分けて、島でドンパチ賑やかに遊ぶって寸法さ。きっと楽しいよ?


「はいはい、質問!」

「何かな、中二の勇者?」

「これってもしかして実弾使うの? 楽しそうだけど、痛そうだし本当に撃ち合うのはちょっと嫌かなぁ……」

「とか言いながら何で引き金引いてんだお前!? しかも俺に向けて!」


 しょぼくれた顔しつつアサルトライフル二丁でリュウに狙いを定め、トリガー引きまくってる頭ハッピーなトオルさん。

 わざわざ質問してる事からも分かる通り、発砲出来てないから弾は出てない。これは安全装置がかかってるわけじゃなく、純粋に僕がまだ発砲出来るようにしてないからだね。じゃないと説明の途中で砂浜が戦場になっちゃうだろうし。


「心配ご無用。そんな軟弱者のために、この銃は特別性だ。実弾を発射はするけど、人体に当たっても傷は出来ないよ。ただまあこのように――」


 そこで言葉を切った僕は、拳銃を構えて発砲。耳をつんざく銃声が鳴り響き、超音速の弾丸が放たれる。弾丸は空を引き裂いて一直線に飛び――


「――わぅ~んっ♡」


 トゥーラのケツにぶち当たり、快感に満ちた鳴き声を上げさせた。

 でも反応はそれだけだ。突然の衝撃に身体を揺らし砂浜に突っ伏しはしたけど、下半身の穴が増えたりはしてないし血も出てない。ぶっちゃけ尻を引っ叩かれた程度の反応だ。銃弾が命中した時の威力をかなり抑えてるってわけ。

 別にここまで安全性を考慮しなくても良かったけど、あくまで今回はミニスを慰めるのが目的のレクリエーションだからね。さすがに銃弾と鮮血飛び交う戦場で殺し合うのは慰め以前の問題かなって思ってさ。


「痛みは無いし傷も出来ないけど、それなりの衝撃だけはあるよ。その辺は覚悟しといてね」

「あの、トゥーラさんの反応のせいで本当に痛いのかどうか分からないんですけど……」

「あ~♡ 主~、もっと~♡」


 分かりやすい具体例を提示するために撃ったのに、選んだ相手がヤバくて逆に分かりにくかったっぽい。ハニエルが控えめに手を上げて申告してきたよ。

 ちなみにトゥーラは砂浜に倒れ込んだまま、発情した顔で尻を上げて尻尾をフリフリしてます。おう、中に突っ込んで直接発砲してやろうか。


「じゃあ今から銃だけ発砲できるようにしておくから、各自試してみると良いよ。こう持って、ここを引くと弾が出るよ」

「わう~ん♡ 二発目がきた~♡」


 発砲の方法を見せる事には役立ったクソ犬を尻目に、各自砂浜から銃器を拾い上げて構えたり狙いをつけたりし始める。さすがにまだ発砲する事には若干の躊躇いがあるのか、誰も人に向けたりはしないが――


「――あぶなっ!?」

「チッ、避けたか」


 一部のヤベー奴は別。流れるような動作で銃を構え人に向けたキラは、そのまま微塵の躊躇いも無く発砲。咄嗟に反応出来た人、もといミニスは寸での所で銃弾を躱してたよ。咄嗟に銃撃を躱せる辺り、獣人の身体能力ってだいぶヤバいな? やっぱり廃れたのも納得かもしれない。


「絶対やると思ったわっ! あんたそういう奴だもんね!」

「ちょこまかすんな。試しに一発ぶち込んでやる」

「やれるもんならやってみなさい! 返り討ちにしてやるわっ!」


 そして始まる、獣人同士の銃撃戦。嵐のように銃弾が飛び交ってるのに、どっちも当たり前のように躱してるんだからヤバいよね。もう素手でやりあった方が早いし確実じゃない?


「楽しそう! あたしもやるっ!」

「鉛弾と硝煙が織りなす修羅の世界へ、いざっ!」

「おいやめろ! 変な所狙うな!」


 キラとミニスの楽しい触れ合い(諸説あり)に触発されたのか、そこかしこで銃撃戦が始まる。セレスはアサルトライフルを誰彼構わずぶっ放し、トオルはリュウの股間に向けて執拗に銃弾を見舞う。

 当たってもまあまあの衝撃が来るだけと分かったおかげか、皆発砲の敷居が低くなったみたいだな? いや、元々銃を知らない奴らもいるし、そこまで敷居が高かったわけでもないか。率先して発砲してる中二勇者がおかしいまである。


「リアもやりたいっ! これどうやって使うの!?」

「そこの部分を持ち、この引き金という部分に指をかけるのだ。そして狙いを定めたら指を強く引いて――うごごごごっ!?」

「わー!? 何かいっぱい出た!?」


 リアは自身の身体には不釣り合いなアサルトライフルをよたよた構え、バールにレクチャーされて発砲。バールの胴体にバカスカ鉛弾をプレゼントするという事故が発生。アイツちょくちょく不憫な所あるよね?


「おお、本当に連発出来ているな。技術の進歩というやつか。どれ、私もアイツで試してみるか」

「ふむ。思ったよりも真っすぐ飛ばないな? 風や湿度の影響を受けているのか。弾丸がスピンしている影響も出ているのか? いや、これは弾道を安定させるためのものか……?」


 連射を喰らうバールへと澄ました表情で近付いていくベルの傍ら、ブツブツ言いながら弾道の計算っぽい事をしてるレーン。全部近接じゃつまらないからスナイパーライフルも採用したんだけど、この分だとレーンはそれを選びそうだな。


「ミラさんも一緒に遊びましょう? ほら、こうやって構えて撃つんですよ?」

「あぅ……こ、こう、ですか……?」


 比較的エロ――じゃなくて平和なのは、ハニエルとミラの巨乳――じゃなくて大人しめなコンビ。二人羽織みたいな状態でハニエルがミラの後ろから覆い被さり、構えをレクチャーして巨乳が潰れたり寄せられたりでドチャクソエロくて僕のマグナムが――おっと、危ない危ない。危うく発砲する所だったぜ。


「うふふ、こっちですよヴィオ。捕まえてみて下さいです」

「あははっ。待ってよ、リリィ?」


 なお、波打ち際には追いかけっこするバカップルの姿がありました。追いかけてるヴィオが拳銃バンバンぶっ放してるのがだいぶ怖い。銃弾が足元抉ったり頬を掠めたりしてるのに、平然としてるリリアナも恐怖だ。むしろ二人とも実にいい笑顔を浮かべてるよ。性質の悪い悪夢みたいな光景だな?


「……さーて、それじゃあ僕も混ざろうかな?」

「うおっ!? マジかよ!?」

「退避っ! 退避いぃぃぃっ!!」


 ちょっと置いてけぼりな感じで寂しいから、僕も混ざる事にしました。

 そんなわけで新たに銃を生成して、しっかり足を踏ん張り両手で構える。僕の様子に気が付いた元勇者コンビは慌ててその場を離れ、必死な顔で岩場の陰に飛び込んでたよ。

 でも知識がある分仕方ない。何せ今僕が手にしてるのは金属の砲塔を何本も束ねた連射能力と威力の化物、ガトリングガンだからな! 右から左に薙ぎ払ってやるぜ! 発射ぁ!


「きゃああああぁぁぁぁっ!?」

「うわああぁぁあぁぁぁっ!?」

「ちょっ!? 何よそれ、反則じゃない!?」

「あ~!? 何故私にだけ当てないんだい、主~!?」


 不気味な駆動音を経て銃弾の雨を全員(何人か除く)に叩き込んだ結果、砂浜は阿鼻叫喚の地獄と化しました。いやぁ、心行くまでぶっ放せて大満足だ。

 まあその後、僕VS他全員という図式になってさすがに数の差で押し切られたけど。大勢で一人を苛めるとか情けないぞ!



実際サバゲーって楽しそうだよね。敷居はかなり高いが。

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