キラ、加入
⋇残酷描写あり、性描写あり
「そら、今度はあたしが楽しむ番だ」
「ひっ、やっ、た、助けてぇ……!」
下半身にピリピリくる感じの命乞いをするお姉さんと、命乞いをガン無視して右手に鉤爪を装着するキラ。月の光に鋭い爪が不気味に光る。
すっごい悪そうな笑顔を浮かべてるあたり、もうお姉さんに救いはなさそうだね。合掌――って!? 動けないお姉さんの身体の上にキラが寝そべってるぞ!? 何だこのエッチな光景は!?
「安心しろ、すぐ楽にしてやるよ。そら――ペネトレイト」
「あっ、か……!?」
ただし本人は一ミリもエロいこと考えてなかったみたいで、爪に武装術を纏わせて何の躊躇いも無くお姉さんの胸に突き刺してた。三本の爪がそこそこの膨らみに突き刺さる光景は、何て言うかリンゴとか桃とかの果物が食べたくなってくる光景だね。フォークでブスッとやって。
しかしパッと見だと女の子同士でしっぽりしてるように見えてエロいんだよなぁ。混ざったら僕も殺されそうだから混ざらないけどさ。
「ほら、分かるか? お前の心臓目掛けて、少しずつ切っ先が沈み込んでいってるのが。なあ、どんな気持ちだ? 痛いか? 怖いか? 苦しいか?」
「い、ぎっ……あ、ぁっ……!」
一息に殺ったと思ってたら、どうにも違ったらしい。先っぽから少しずつ、ゆっくりと刺して行ってるみたいだ。お姉さんが瞳を見開いて悲鳴を上げてるよ。拷問かな?
というか武装術って基本は瞬間的な運用が前提の魔法だったはずだよね。それをいたぶるように長時間使えるあたり、キラってそこそこ魔力もあるのでは? そういやさっき肉体言語で語り合った屋上でも、かなりの量の石柱を作り出してたし。
「そうそう、そうだよ。その目。死が間近に迫った絶望と、それでも必死に生にしがみ付こうとする執念の混じった綺麗な目だ。堪んねぇなぁ……いいぜ、その綺麗な目をしたまま、死んでくれ」
「あ、ぁ……!?」
そして今にも女の子同士でキスするんじゃないかってくらい近くで瞳を見つめ、かと思ったら一気に爪を突き刺す。手馴れてるのかお姉さんの口からは一切血が零れなかった。
「っ、あ……はぁ……!」
「うっわ。ヤバいよコイツ、真正だよ……」
何か艶っぽい喘ぎが聞こえたから顔を覗き込んでみれば、キラは明らかに快感を催しちゃってる感じのイケナイ笑みを浮かべてた。それに何やらびくびくと身体を震わせて、主に太もものあたりを擦り合わせてる。
これイったのでは? 人の命を奪って気持ち良くなるとか異常すぎて怖い。誰だよこんな奴に親近感抱いたのは……。
「はあっ……二人で殺しをすんのは初めてだが、結構悪くねぇじゃんか」
居心地の悪さを感じながら体育座りで待ってると、しばらくしてキラはエロいため息をついてから身体を起こした。心なしか雰囲気も和らいでる気がするね。賢者タイムかな?
「僕としては殺しよりもエッチなことを二人でしたい……」
「スケベな野郎だなぁ、お前は。情緒ってもんがねぇ」
「人を殺してイった奴にスケベだの情緒だの言われたくないです」
「女を痛めつけながら興奮してたお前も人のこと言えねぇけどな」
「………………」
クッソ、反論できねぇ! ああ、そうだよ! お姉さんいたぶるのは楽しかったよ! 僕が清い身体でなかったらそのまま無理やりお楽しみになってただろうくらいにはね!
「……さて! それじゃあ早速契約をしようか!」
レスバでは勝てそうにない気がしたから、言い返すのは早々に諦めた。そんなことよりも真の仲間を作るために契約をしないとね。レーン印の契約条項の書類を出して、っと……。
「あー、ちょっと待ってろ。戦利品がまだだ」
「戦利品? って、あー、それかぁ……」
僕が異空間から契約条項の書類を取り出すと、同じく異空間からモノを取り出すキラ。銀色のスプーンと、透明な謎の液体に満ちた小瓶。わー、夜食に水飴でも食べようってことかなー? こんな時間に甘いもの食べたら太っちゃうなー。
なんて風に惚けてたら――グチュッ! キラは容赦なくそのスプーンをお姉さんの瞼の裏に突っ込んだ。凄いグロい水音が聞こえて、そこから捻じるようにして更に……いや、これ以上語るのは止めておこう。頭がおかしくなりそうだからね。
とりあえず事が終わった後、僕はスプーンの上に乗った丸い眼球を見てたこ焼きが食べたくなったとだけ言っておくよ。後でレーンに作ってもらおう。
「……思ったんだけどさ、何で目玉なの? もっと他に何かあるんじゃない? 爪とか毛髪とか、あとは持ってる物とか」
「駄目だな。そんなんじゃあ死んでいく時の表情を鮮明に思い出せないだろ。眺めて瞼に浮かぶくらいに思い出させてくれるのは、やっぱり目玉しかねぇよ」
「思い出して何度も楽しむタイプだったかぁ……」
ニヤニヤしながら瓶に目玉を詰めていくキラの姿に、最早呆れて言葉も出てこない。
本当にこんなの真の仲間にしちゃって大丈夫かなぁ? 契約で縛るとはいえ正直不安だ。でも他のメンツも大体どっかおかしいし、そんな気にするほどのことじゃないかな?
「よし、っと。これでまた一つ、あたしの思い出が増えたな」
「ちなみに今まで何人殺ったの?」
「さあな、もういちいち数えちゃいねえよ。ていうかお前なら調べられるんじゃねぇのか?」
「あっ、それもそうか。それじゃあ失礼して……」
話の流れからして自分で調べろって意味だと思うから、遠慮なく解析で調べてみる。調べる情報はもちろん殺害人数。ただし魔物は含まない。
さーて、どれくらいの人数が――
殺害人数:572人
待って? どれくらいのペースで殺してるの? 確かキラは今十六歳だから、仮に十歳から殺しを始めたとすると………………一ヵ月で八人くらい?
マジで根っからの殺人鬼だな。でもこの極まり具合、はっきり言って好き。
「そういやお前は何もいらねぇの? 目玉はやらねぇけど他はやるぜ?」
「いらないよ。僕は別に戦利品とかそういうものは集めてないし。あ、でも死体は貰うね。これはこれで利用価値がありそうだし」
キラが快く譲ってくれたから、遠慮なくお姉さんの死体を異空間に放り込む。抉り出された目玉を治すのは簡単だけど、ここでそれをやっちゃうと何度も抉り出されそうだから止めておいた。抉り出して治して抉り出すとか、悪夢みたいなループだね。
しかし連続殺人鬼の戦利品かぁ……あれ? もしかして僕が死体を全部保管してるのって、正にそれなのでは? 僕もまたイカれた快楽殺人鬼だった……?
「よし! これで真の仲間三人目だ!」
お姉さんの死体を保管した後、僕は満を持して契約魔術でキラを縛った。ハニエルに対するやり直しを含めればこれで五回目だから、もう慣れたものだね。
意外だったのはキラが契約条項に一つも文句をつけなかったことだよ。この契約を呑んだら僕の命令には逆らえなくなるのに、あっさりと受け入れてくれたんだ。案外貞操観念が緩いのか、それとも殺し以外はどうでもいいのか……できれば前者であって欲しいね!
「気になってたんだが、残りの二人って誰だ? あたしの他に二人いるんだろ?」
「それは顔合わせまで秘密ってことで。今はそれよりも重要なことがあるでしょ? 早く宿に戻って一緒にシャワーを浴びよう!」
そう、今一番重要なのはそれだ。何人も殺して返り血を浴びたのなら、シャワーやお風呂で身体を隅々まで綺麗にしないといけない。例え魔法で綺麗にしていてもそんなことは関係ない。これは礼儀であり、儀式であり、お約束なんだからね。
「あぁ? 何のためにだよ? お前もあたしも魔法で血と匂いは落としたから必要ねぇだろ? そもそもあたしは返り血なんて浴びてないけどな」
「うるせぇ! 一緒にシャワー浴びないと合法的にお前の身体が弄れないだろ!?」
「何言ってんだ、お前……?」
でもキラは大切なことが何も分かってないみたいで、僕の正気を疑うようなかなりキツイ目でじっと見つめてくる。
確かにちょっと目的と手段が入れ替わってる気がしないでもないが、まだ正気だからそんな目を向けられる筋合いはない。
「つーかもう契約しちまったんだから、あたしはもうお前の命令には逆らえないだろ? まどろこっしい真似せず股を開けって命令すればいいじゃねぇか」
「そんなの風情が無いだろ! ていうか僕は真の仲間とは誠実な関係を築きたいんだよ!」
「誠実とか言いながら一緒に入浴して身体弄るとか、お前の頭の中どうなってんだ……?」
僕の誠実な発言に、失礼なことに呆れ果てた感じの呟きを零すキラ。
たぶん思考とか精神的な意味合いでの発言なんだろうけど、当人がヤベー殺人鬼だから物理的に頭かち割って確かめにきそうで怖いよね。
というか舌なめずりしながらスプーンで目玉をくりぬいて、うっとりしながら瓶詰めにするコイツの頭の方がヤバいと思うんだ……。
「いや、待てよ……ああ、いいぜ? 一緒にシャワーを浴びてやるよ」
「お、マジ!?」
とか思ってたら、何とキラはオッケーしてくれた! やったぜ。お前の猫耳、それはもう入念に綺麗にしてやるからなぁ?
「ああ。けど条件がある。せっかく無限の魔力を持つ、何でもできる便利な勇者様と手を結んだんだ。これを使わない手はねぇだろ。なあ、もっと狩らせてくれよ?」
おっと、これは交換条件ですね。僕と一緒にシャワーを浴びてやる代わりに、今からもっと殺しに付き合えってことか。溜まってんなぁ?
「殺る殺る! ぶっ殺す!」
もちろん拒否する理由はどこにもないから、僕は全力で頷いた。何ならこの街に住んでる奴ら全員根絶やしにしてやるぜ!
あ、そういえば殺しと言えば何かこう、誰かとの大切な約束を忘れてるような気がしたけど……まあ思い出せないってことは大したことじゃないな! うん!
真の仲間
・話の長い転生魔術師
・復讐鬼ロリサキュバス
・猟奇殺人鬼猫獣人 ← NEW!!