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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第2章:勇者と奴隷と殺人鬼

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クルスの本性

⋇軽い性的描写あり

「はぁ……最高だった……」


 あれから五人ほど狩った後、僕とキラは満を持して宿に戻って、血を洗い流すために二人で一緒にシャワーを浴びた。今はベッドの上でほこほこする身体を冷ましつつ、余韻に浸ってるとこだよ。

 いやぁ、それはもう最高でしたね。キラにはかなり羞恥心が欠如しててちょっと風情が足りなかったけど、それで触った時の感触が衰えるわけじゃないし。というか身長の低さに反して意外とスタイルが良かったのが驚き。少なくともニギニギして揉めるくらいにはあったよ? 

 まあ、僕が一番触り倒したのはもちろんアソコなんだけどね? フヘヘ……。


「お気に召したってんなら何よりだが、何で耳ばっか触ってきたんだ? つーかお前、明らかに他のとこより耳ばっか触ってたぞ」


 そう、僕が一番弄り回したのは可愛らしい猫耳だ。さすがのキラもシャワーの時にはカチューシャ外して耳を立ててたからね。そりゃ弄るよね。焼きたてのパンの耳みたいですっごいふわふわで気持ち良かったです、はい。

 というかあくまでも耳を一番触っただけで、実際は身体中弄ったっていうのに、キラのこの淡白な反応よ。一見クールに見えるレーンでさえかなり可愛い声で鳴いてくれたし、顔も赤くしてくれたっていうのになぁ。

 どっかイカれてるのか、はたまた貞操観念がゆるゆるなのか。前者は間違いないから、問題は後者の真偽ですね……。


「そりゃケモ耳なんて珍しいもん。僕の世界じゃケモ耳生えてる人間なんていなかったしね。アニメ――はさすがに分かんないか。漫画とか小説とか、創作物の中にしかいないよ」

「てことは聖人族しかいねぇのか? 魔獣族は滅ぼされちまったのか?」

「うーん……滅ぼされたっていうか、進化の過程で淘汰されたって表現が正しいんじゃないかな。僕の世界の人間は元は猿だし、そういう意味では僕だって魔獣族の血を引いてるって言えなくも無いよ」


 実際にはこの世界とはそもそも成り立ちからして違うけど、祖先は獣に近かったことは確かでしょ。猿から人に進化してるわけだし。

 というか僕の世界でも、進化の過程によってはケモミミを持つ女の子とか生まれてきた可能性もあるのかな? こう、猿じゃなくて犬猫から人に進化していった場合とか。そう考えるとちょっと夢があるね……。


「はーん……やっぱ異世界ってのは根本からちげぇんだな」


 そう言って、キラは後ろに倒れるようにしてベッドに身体を投げ出す。

 口調はさほど興味なさげに聞こえるけど、用が済んでも部屋を出て行こうとしないあたり、おしゃべりしたい気分なのかな? 


「まあね。僕の世界は魔法とか魔力とか無いし。あっ、でもお前みたいな殺人鬼はたまにいるよ。そこは世界共通だね」

「それは言われなくたって知ってるっつーの。そもそも目の前にいるじゃねぇか」

「えっ、僕? やだなぁ、僕はまともな人間だよ。学校でも優等生で、友達もたくさんいて人気者だったんだからね?」


 何せ僕は女神様にこの世界へ送り込まれる前は、高校生活をエンジョイしてる青春真っ盛りの十七歳だったからね。テストでは毎回高得点を取り、教師からの評判も良く、友達もいっぱい。品行方正で清廉潔白で、非の打ちどころのない人気者――


「どうせそれはただの演技だろうが。裏では陰湿で残酷なことばっか考えてて、けどそれを発散できずに常に悶々としてたんだろ? あたしは知ってるぞ」

「おっとぉ、まるで見てきたようなことを仰る……」


 何だか妙に重みのある指摘だ。もしかしてキラ自身の実体験かな? 確かに生まれついての異常者には、普通の人たちの中で生活するのはちょっときつそうだよね。

 いや、でも、まあ……うん、いっか。キラは真の仲間で同類だし、今更惚けたり誤魔化したりする必要なんてどこにもないか。もう正直に言っちゃおう。


「まあ、お前の言う通りだよ。本当は可愛い女の子を苦しめて、犯して、壊したいってずっとずっと思ってたんだ。でも人間って異端は排除する傾向にあるから、表面上くらいはまともに振舞わないと火あぶりにされかねないからね。頑張って優等生を演じてたのさ」


 僕の頭がおかしいことは小さい頃から分かってた。そしてそれを人に知られちゃいけないことも。だから隠れ蓑として真面目な良い子ちゃんを演じてたわけだよ。隠しきれずに多少本性が漏れ出たとしても、天才や優等生ならちょっと変わってる程度の好意的な認識を持たれるからね。

 でも馬鹿や不良だったなら同じくらいの本性を匂わせれば、途端に狂ってるだのイカれてるだの言い始める。人間なんてそんなもんさ。

 ついに僕が素直になったせいか、キラは身体を起こしてそれはもう嬉しそうな邪悪な笑顔を浮かべた。


「ようやく素直になりやがったな、異常者め。けど分かるぜ、その気持ち。あたしもそんな感じだったからな」

「でも僕よりはマシでしょ。僕の世界、この世界と違って法執行機関がすっごい有能でめっちゃしつこいんだよ。殺しの現場に髪の毛一本でも落とそうものなら、誰の仕業かすぐに突き止めるくらいにはね」

「マジかよ、そりゃキツイな。おちおちお楽しみにもなれないじゃねぇか……」


 僕の言葉に、さすがのキラも唖然としてる。

 本当にもう、昨今の犯罪捜査はヤバいからね。体液やら毛髪やら、果ては身体についてた土や花粉とかの微粒子やらを現場に残すだけでも致命傷になりかねない。そんな世界で一高校生が猟奇的な欲求を満たすことなんてできるわけないよ。好き勝手できるこの世界に僕を送り込んでくれた女神様には感謝しかないね。女神様を崇めよ。


「本当にね。だからそんなリスクは冒せなくて、泣く泣く漫画とか小説とかで欲求を満たしてたんだよ。創作物の中なら強姦も殺人も拷問も日常茶飯事だしね」


 創作物は現実じゃできないことを疑似体験できる素敵な媒体だったから、それはもうどっぷり嵌ったよ。あとは学校で皆と話を合わせて溶け込むために、色々とおかしな動画とかも見てたね。

 そのせいでサブカルチャーに変な影響を受けて、人格や性癖が多少おかしな風に歪んでしまった気もするけど、そこはご愛敬。実際そうでもしないとマジに人を殺してたかもしれないし。いやまあ、大人になったらいつか殺ることは決めてたよ?


「そうか。ガキの頃から殺しまくってたあたしは、案外幸せだったんだなぁ……」

「ちなみに何歳の時に初めて殺ったの? 十歳くらい?」

「大体そんなとこだな。あたしは色んな種族が住んでる結構大きな村で暮らしてたんだけどさ、ある日森で小動物を殺して憂さ晴らししてると、魔物に襲われてボロボロになった旅人を見つけたんだよ」


 あっ、何となく展開が思い浮かぶぞ。幾ら子供時代とはいえ、このキラが『旅人さん大丈夫?』なんて言って手当をしてくれるわけもない。とりあえず旅人さんの冥福を祈ろう。

 えっ? 僕ならどうするかって。そりゃあ可愛い女の子なら長く楽しめるように、手当てしてお持ち帰りするよ。野郎なら金目の物だけ奪ってぶっ殺す。


「その旅人は全身傷だらけで、特に腹と胸が酷い有様だったぜ。わき腹から腸やら内臓が零れて、胸からは気泡交じりの血を流して、数分ももたないのは明白だった。けどその目には生きる意志が浮かんでたんだ。命の炎を燃やして必死に生にしがみ付こうとする、血走った綺麗な目だったぜ。小動物じゃあんな目はできねぇし、それを知っちまったからにはもう動物じゃ我慢できねぇよ……」


 人間って欲張りだからねぇ。一度本物で味を占めちゃったら、もう代替品じゃ我慢なんてできるわけもない。僕もそれが分かってたから我慢してたところもあるし。

 まあこの世界ですでに本物を味わったから、穢れを知らなかったあの頃にはもう戻れんけどな! 戻る気も無いし!


「で、介錯してやったってこと?」

「ああ。さすがに人間を殺るのは初めてだったから、あんま上手くは行かなかったけどな。目玉を取ったはいいが保存方法を考えてなくて腐らせちまうし……」

「突発的な殺しだったのに戦利品はちゃっかり奪ってやがる……」


 やっぱコイツ筋金入りの殺人鬼だな。しかし僕も何か戦利品を決めておくべきかもしれない。死体そのものをコレクションするのは正直邪道な気がしてきてね……。


「まあそれがきっかけで、小動物で我慢できなくなったあたしは村の奴らを手にかけていったのさ。つってもガキだからその内バレちまって、危うく処刑されるところをまだ子供だからってことで、村からの追放で許してもらったわけだ」

「それ許してもらったわけじゃないんだよなぁ……」


 魔物がいる世界で、なおかつ子供だから、魔物に食われるか餓死するかして死ぬのを見越して追放したんじゃないかな。そもそも幾ら殺人鬼とはいえ子供を処刑するのは、まともな神経を持つ奴にはキツイだろうし。

 あ、僕は可愛い子ならむしろ率先してやりますよ?


「でもまあ、大体は理解したよ。あとは気ままに殺しの旅を続けて、その内魔獣族の国では活動しづらくなったからこっちに来た、ってわけだよね?」

「ああ。どうやって国に入るかちょっと悩んだが、人間の奴隷を買ってそいつにあたしの主人を演じさせれば難しくはなかったぜ?」

「奴隷に主人を演じさせたのか。やるな……」

「ま、今は勇者の皮を被った異常者の性奴隷になっちまってるけどな。で、どうすんだ? あたしを犯すのか?」


 真顔で何てこと聞いてくるんだ、コイツは。思わず頷きそうになったじゃないか。

 というかやっぱり羞恥心が欠片も無いな。正直そういうのは風情に欠けるけど、単純な性欲発散の相手には普通にいいかも。キラだってムラムラする時はあるだろうし、エッチをするためのフレンドっていうのも悪くないのでは……?


「……いや、駄目だ。そんなことするわけないだろ。何度も言ったけど、真の仲間とは誠実な関係を築きたいんだからそういうことはしないぞ」

「誠実な関係なんてお前に築けんのか? どうせお前契約で縛らなきゃ他人に心許せないタイプだろ?」

「やめろ、僕の本質を見抜くんじゃない」


 さすがは僕と同じ異常者。何らかの方法で精神的に相手を縛った状態で無いと、他人に心を許せないって言う僕の本質をピンポイントで突いてきやがった。

 でも他人が何を考えてるかなんて分からないんだから、個人的には当然のことだと思うんだよね。信頼だ愛だと口にしてても、いつか裏切るかもしれないし。だからまあ、利害関係の一致であるキラとの関係が一番気楽かもしれないね。それでも契約で縛るけどさ。


「わりぃな。お互い似た者同士だから簡単に分かっちまうんだよ。そんじゃ何もしないってんならあたしは部屋に戻って寝るぜ? 改めて、明日からもまたよろしくな、クルス?」

「はいはい、おやすみ。全く、とんでもないのを仲間にしちゃったよ……」


 ニヤリと不気味に笑いながら、部屋を出ていくキラ。

 すごく楽しそうなのは今後の日々に期待してるからなんだろうね。きっと今後も頻繁に殺人に付き合わされるんだろうなぁ。それは別に構わないんだけど、せめて野郎を狙うのは止めて可愛い女の子を狙おう? 男の悲鳴とか聞いてても嬉しくないし。


「……よし、明日も早いしさっさと寝よう。明日は出発の日だしね」


 今日は密度の濃い一日だったからもの凄く疲れた気がする。きっとぐっすり眠れるだろうね。

 そんなわけで、僕はベッドに入って瞼を閉じるのだった。

 あ、もちろんその前にトイレで楽しんできたのは言うまでもないよね? キラと一緒のシャワーでの光景や感触を思い出しながら、ね?

 




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