人身御供とテロリスト 14
それから時間が経って、テロリストの襲撃から2日後。
俺と遼はアキリアたちを見送る為、空港へとやって来ていた。
テロリストの襲撃の影響により、学園は2日間休みとなっていて、現在は寮の修理が行われ、同時に先生達は今後こういった事態が起きた時どのように対策するか等の話し合いを行っていた。
がしかし、俺達はそれを良い事に昨日はアキリアの希望であったアニメと電気の街に男装?で訪れ、観光すると同時に何気なく俺達が男もあるという説明とその口封じを行った。
また俺を庇って負傷したジイヤも脅威の丈夫さと回復力を見せ、たった2日でだいぶ良くなり、激しい運動は出来ないものの普通に歩けるくらいにまで回復していた。
「それにしてもすげぇ回復力だな。こっちは死ぬんじゃないかって心配したんだぞ」
「ははは、いや申し訳ない。昔は軍人でしたので結構鍛えていたんですよ」
飛行機が飛び立つ時間が迫り、俺は最後の挨拶とばかりにジイヤに話しかけ、ジイヤもそれに笑いながら答える。
「···いくらアキリアが神具に目醒めたからと言って油断はするなよ。アンタがしっかり見守って導いてやってくれ」
「ええ、もちろんですとも。···暁良様、今回は本当にありがとうございました。そして、申し訳ありませんでした」
ジイヤはそう言って銃で撃たれた傷があるにもかかわらず深く頭を下げた。
「ああ、いいってそんなん。第一こっちは報酬が目当てだったんだからな」
「ええ、勿論お支払いさせて頂きます」
「ふーん、じゃあ、まあ、これくらいでどうだ?」
と俺は5本の指を立ててジイヤに見せる。するとジイヤはニッコリと笑う。
「ええ、50万でも、500万でも、いくらでも大丈夫です」
「って馬鹿かよお前。俺みたいな可愛い女子高生が5本指立てて"このくらい"って言ったら、ホ別5万だって相場が決まってんだよ」
と、ここ一番のキメ顔でそう言った俺は少し間を開けて、続きを喋り始める。
「まあスイートルームなんてそう泊まれるもんでもねーしな、いい経験だったよ。···って何だよその顔、女子高生をほぼ1日好きにしたくせに文句あるってのか?」
唖然とした表情で俺を見るジイヤに俺はキメ顔のまま笑いかける。
するとジイヤもそれに釣られて笑みをもらす。
「···ふふ、そうですね。···ええ、喜んで払わさせて頂きます」
「1円たりともまけてやんねーからな」
そう言って俺とジイヤは握手を交わす。
「本当に、暁良様の事を教えてくれたあの"旅の方"を信じてよかったです」
「ああ、アキリアにそっくりな奴がいるってアンタに教えた日本人の事か、って旅の方?」
「ええ、確か半年くらい前にメリヴァ王国を訪れた日本人女性で美しい刀の神具を使う方でした」
「まじか···」
俺はてっきり来日してから聞いた情報だと思ってたんだけどな。
···てか、半年前って俺が神具に目覚めて直ぐの事だぞ、一体誰がそんな事を···。
と、少しの間沈黙しそんな事を考えていると、まもなく搭乗を締め切るといった趣旨の知らせがあり、飛行機が出るギリギリの時間になっていることに気がつく。
それにより焦った俺は、一旦その考えを放置し、続いてすぐ隣で遼と話していたアキリアの方を見る。
「アキリアも欲望に忠実なのはいいが、外出先で"する"のは止めておいた方がいいぜ。どんな事が原因で男だってバレるか分からねぇからな」
「っ!は、はい···気をつけます」
顔を赤らめ、反省した様子のアキリアが返事を返す。
「まあ、今度はお忍びで来いよ。そうしたらまた違う所も案内するからさ、な?遼」
「ああ、何時でも」
とそんな俺達の言葉を聞いたアキリアの表情はパッと明るくなり、ジイヤと顔を見合わせアイコンタクトを交わすと再びこちらを見返してくる。
「はい!直ぐにでも!」
「その時はよろしくお願いします」
2人は最後にそう言うと少し離れたところで待機していたSPに指示を出して、合流すると搭乗口へ向って行き、最後に一度振り返ってお辞儀をした。
そして、俺達はそれから何も話さず、その飛行機が無事に飛び立つのを見送ったのだった。
この章はこれで終了です。後半戦に入って来てほんの少しづつ謎が明らかになって行ってる気がしてます。
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