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人身御供とテロリスト 13

 そんな中、学生寮の外ではリーダーの男によって呼ばれた、仲間がヘリコプターで到着し、地上から100mほどの所で待機し、中の仲間とコンタクトを取ろうと無線で呼びかける。


 がしかしそれに対する返事は無く、傭兵の仲間の操縦士達は顔を見合せた。


 その時。


 「神具展開、神仏混淆金剛像(パーフェクトゴーレム)


 そんな落ち着いた女性の声が響くと、ヘリコプターの前に120mほどの超巨大な石像が突如として出現しヘリコプターを見下ろす。


 その石像は手が無数に生え、その内の2本が十字架に括り付けられていて、更に顔が3つあったり様々な武器を持っているなど、言うなれば世界の神と呼ばれる存在を1色単にした様な姿をしていた。


 「は、はあ···?」


 と操縦士達が唖然としている間に、石像は左右の1本づつ手を広げる。


 そして、その2つの手をまるで蚊でも潰すかのように打ち付ける。


 するとヘリコプターが押し潰される大きな破砕音が響き、それははただの残骸に成り果て、そのまま地面へと落ちて爆煙を上げながら炎上する。


 しかしその後直ぐに、巨大石像は幻であったかのように雲散霧消し、その姿はどこにも見えなくなってしまう。


 「香月さんはまだですか?」


 「そう見たいね。てか霊山寺(りょうぜんじ)さんやりすぎ」


 「それはこちらの台詞でもありますよ。五所川原さん」


 石像を召喚していた尼の様な服装をした30代くらいの女性、霊山寺(りょうぜんじ)櫻子は、黒いドレスに身を包んだ20代程の女性、五所川原夕飛(ゆうひ)の周りに転がる傭兵の死体を見ながら言い返した。


 「まあこの学園とは因縁があるみたいなのでね、色々したい事もあるのでしょう。少し待ちましょう」


 そう言うと櫻子は自身が壊したヘリコプターの前に行き、ゆっくりとした動作で手を合わせた。





 その頃、食堂内では。


 「く、くそが!!」


 気がつくと自分以外の仲間全員を気絶させられてしまったリーダーの男が悔しそうな顔で導を睨みつける。


 「さ、子供たちの前でスプラッターは教育上良くないので一応生かしておいてあげますよ。···まあメリヴァ王国の法律が貴方を殺すかもしれませんがね」


 「ぐっ···ふぅ···」


 導の言葉にリーダーの男は少し悩んだ末、浅く深呼吸をする。


 そして、少し震えた手つきと強ばった顔で手榴弾を取り出した。


 「それは···」


 「もう遅せー!!」


 と男は導達に考える隙を与えないため、素早い手付きで手榴弾のピンを抜き、それを持ったまま爆発を待った。


 ···。


 ······。


 しかし、いつまで経っても爆発が起こる事な無く、目を瞑っていた者達も皆、恐る恐る目を開ける。


 すると、そこには光の弓矢のようなものに撃ち抜かれた状態で地面に落ちた爆弾があり、それはまるで爆発する様子がなく、ただ転がっているだけであった。


 そして次第に皆の視線はその弓矢を放った張本人であるアキリアの方へと向いていた。


 「···へ?」


 しかし、誰よりも1番驚いている様子なのはアキリアであり、自身の手に持っている弓の形の神具を見て、ただただ放心してしまっていた。


 「ナイスです。王女様」


 そう言うと導は大口を開けた状態のアドルスを振るい、その弓矢が刺さった爆弾を捕食させ、続いてそのついでにリーダーの男に攻撃を加えて、壁まで吹き飛ばし気絶させる。


 そして導は笑顔でアキリアへと近づく。


 「えー、なんで返納機が作動しているのに神具使えるの?え?どうして?」


 「い、いや私も何がなにやら···」


 「そんな事言わないで教えてよー」


 人懐っこそうな笑顔でアキリアに迫り困らせる導。


 そんな状況を見かねた遼がフォローに向かおうとしたその時。


 「···導、貴様か···」


 息を切れさせた状態で壊れた壁から入ってきた桐原香澄は鬼の様な形相で導を睨み付けながら言い放つ。

 

 すると、さっきまで笑顔だった導は急に真面目な表情へと変わり、香澄を見つめ返す。

 

 「先輩お久しぶりです」


 「南雲大星と共に脱獄したとは聞いていたが、こんなに早く会う事になるとはな···」


 「やだなー、先輩。今回ここに来たのは100%生徒達を守る為ですよ。現にほら、この人達を倒してあげました。寧ろ感謝して頭なでなでして欲しいくらいですよ?」


 そう言いつつ、導はアキリアの頭を2、3度軽く叩いて別れの挨拶とすると、ゆっくり香澄の方へと近付いていく。


 「貴様目的はなんだ?なぜ脱獄した?」


 「私の目的は捕まる前からずっと変わってませんよ?···この学園が、いや日本が隠していてる事実を公にする事、その一点に着きます」


 「!?き、貴様!何故それを···覚えて···」


 「消したはずって···事ですか?でも残念ながらこの通り覚えてますよ」


 そうして、困惑する香澄の横までたどり着いた導は彼女の肩に手を置く。


 そして。


 「自分を責める事はありませんよ先輩、それに安心してください。···先輩を苦しめる物は全て、これから私が壊してやりますから」


 と今度は優しく笑いかけた導は返納機により神具を使うことが出来ない香澄を後目に堂々とその横を通り過ぎていき、仲間と合流し、学園から去っていった。

登場人物紹介に色々追加しました。

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