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Ninfea  作者: 蠍ノ丘
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63話 マザーの願い

「ロギア・オルバース……貴方は――」


 そう言いかけマザーは外へと視線をずらす。


 外ではアリアが花を選んだらしく傍に控えている青年に言われる通り丁寧に花を摘み取ると、鼻を近づけ香りを嗅いでみたりしていた。


 そしてロギアが居る方へと顔を向け何だか照れくさそうに笑顔を浮かべる。


 マザーはその笑顔が眩しく見えた様で目を細めその端に滴が溜まり、アリアと青年がゆっくりとこちらに歩いて来る光景を眺めながら――


「ロギア・オルバース、貴方にこんな事を頼むと言うのは余りにも身勝手な物だと承知していますが……どうか、どうかあの子……アリアの事をこれからも支えてあげて欲しいのです……アリアは今迄散々大人たちの身勝手な都合で嫌と言う程地獄を味あわされて来ました。もう二度と私はアリアに――いえ、彼女にそんな思いはさせたくないのです」


「……」


 マザーは青年とアリアから視線をずらし背後に居るロギアへと顔の向きを変える。


「我儘でエゴの老害とでも思っているのでしょう?」


「いや……」


 ロギアは言いづらそうに言い淀む。


「これは、私自身の我儘だと言う事は判っていますが……私はあの子の事を愛しています。だから少しでもあの子から奪ってしまった時間を取り戻してあげたい、その為になら何だってする覚悟は出来ています。ただあの子が今、一番に信頼出来る人物は貴方しか居ません。だからこそ貴方にお願いしたのです」


「ああ、言われなくても――」


 その言葉を訊きマザーは目を伏せた。


「ありがとう……本当に、ありがとう――――」


 何度も感謝の言葉を告げるマザーに向け「それでも――此処で俺に出来る事は限られている。他の奴から見れば俺はまだ新参者で信用処か、この好待遇で色々と疑われている所も無い訳ではないからな。だからそこの所は俺もアンタに頼むしかない……」


 マザーが返事をする前にアリアと青年の二人が扉を開け室内に入って来る。


 そして部屋の奥から端末が鳴る。


「ロギア……顔に出ている通り、貴方はとっても優しい人ね」


「なっ――――!?」


 ロギアは少し自身の顔に触れ冷静さを取り戻す為に一息ついて。


「ふ……何だ? おちょくってるつもりか?」


「そんな事ありませんよ、今の貴方の反応からでも貴方自身が先程言った様にそう言った情報は引き出せますし、貴方がこの部屋に入って来てからの、あの子、アリアを見る表情を見れば適切に判断出来ますよ?」


「むぅ……」


 ロギアは見透かしていたつもりが自身も見透かされていた事に若干眉間に皺を作る。


「ええ、もし隠しているつもりだったならまだまだ修行不足ね……ロギア」


 ロギアは自分の内心がそこまで表情に出ていたのかと思い溜息が零れそうになる“こんなんじゃあ、もしかしてアリアにも何かしら言い当てられていた可能性も――油断ならんな”


 どちらにせよ考えるだけで疲労が溜まりそうだった。


 そこへアリアと青年が戻って来る。


「ご、ごめん。待たせちゃったよね?」


 首を傾げ心配そうに呟くアリアを見てロギアもひと息つく。


「いや、大丈夫だ」


「――御免なさいね、言いたい事、訊きたい事もまだまだ有るだろうけれど……」


 部屋の奥からしつこく鳴る端末でマザーは首を横に振る。


「ああ、そうだな。また来る」


 その様子に察したロギアがそう言うとアリアもペコリと頭を下げる。


「ロギア・オルバース……貴方に出会えて本当に良かったわ――」


 ロギアとマザーの二人は花を持ったアリアを迎え、ロギアとアリアはマザーに礼を言いその場を後にした。


この度は第63話を読んで下さりありがとうございました。


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