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ワガノワ・メソッド:キーロフ出身の漢がバレエの真実をぶった切る  作者: はまゆう


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第22話 【最終警告】ワガノワが守ろうとしてきた「何か」が、今、消えようとしている

「先生、ワガノワ・メソッドって、なんでこんなに厳しいんですか?」


若い奴に聞かれた。

「現代はもっと自由なバレエが流行ってるのに、なんで古いやり方を守るんですか?」って。


俺、その時、こう言った。


「『古い』と『正しい』は、別物だ。」


「え?」


「現代が『自由』を求めるなら、それでいい。

でも、『自由』の前に『基礎』があることを、

忘れてはいけない。


ワガノワが守ろうとしてきたもの。

それは『基礎』であり『本質』であり『魂』だ。


それが今、失われようとしている。」


---


ある日、見た「変わりゆくバレエ界」


今からもうずいぶん前になる。

ある国際的なバレエコンクールで、審査員をした時の話だ。


素晴らしいダンサーたちが次々と踊る。

技術は高い。

柔軟性は抜群。

回転もジャンプも驚異的。


でもな、心に響かない。


終わった後、同席した老審査員が言った。


「みんな『形』はできてる。

でも『魂』がない。」


「技術」は進化した。

「表現」も多様化した。


でも、その裏で、

「何か」が失われている。


その「何か」こそが、

ワガノワが100年以上かけて守ろうとしてきたものだ。


---


今、失われつつある「3つのもの」


よし、じゃあ教える。

現代のバレエ界で、失われつつある「3つのもの」だ。


失われつつあるもの1:「基礎を愚直に繰り返す」姿勢


昔のダンサーは、基礎を徹底的にやった。

・同じポール・ド・ブラを何百回も

・同じプリエを何千回も

・同じバットマンを何万回も


「なぜ」を考えながら。

「どう」を追求しながら。


でも今はどうだ?

「もっと早く進みたい」

「もっと華やかなことをやりたい」


基礎を「通過点」としてしか見てない。

「基礎は後でいい」という風潮。


それ、ワガノワの根幹を否定してるのと同じだ。


基礎を軽く見る者が増えれば増えるほど、

「形だけ」のダンサーが増える。


失われつつあるもの2:「身体と対話する」時間


昔のダンサーは、自分の身体と向き合う時間を大切にした。

・朝のストレッチ

・練習後のケア

・自分の身体の声を聞く時間


でも今はどうだ?

「効率的に」が優先される。

「時間がない」が口癖になる。


自分の身体と向き合う時間を削って、

「もっと練習」を詰め込む。


それ、身体が悲鳴を上げるまで気づかない。

気づいた時には、もう遅い。


失われつつあるもの3:「伝統を守る」意識


昔は、先輩から後輩へ「受け継ぐ」ことが当たり前だった。

・先生の教えを守る

・先輩の背中を見て学ぶ

・伝統を次の世代に渡す


でも今はどうだ?

「自分流」が尊重される。

「新しいもの」が評価される。


伝統を「古い」と切り捨てる風潮。


それ、ワガノワが積み上げてきたものを、

自分たちの手で壊してるのと同じだ。


---


ある日の老師、最後の言葉


俺がキーロフを去る前日、あの老師が言った。


「お前、これから世界に出るんだろう?

一つだけ、覚えておけ。」


「何ですか?」


「ワガノワは『方法』を教えた。

でも『答え』は教えなかった。


お前がこれから出会うダンサーたちは、

『方法』を知らないかもしれない。

『答え』を求めているかもしれない。


その時はな、『方法』を教えろ。

『答え』は、それぞれが自分で見つけるものだ。」


その言葉の重みを、今でも噛みしめてる。


---


「何が失われているか」を自覚せよ


ここで、もう一度問いかける。


お前は「ワガノワ・メソッド」をどう思う?

・「古い」と思うか?

・「形式主義」と思うか?

・「厳しすぎる」と思うか?


もしそう思うなら、それは、

ワガノワの「本質」を見逃している証拠だ。


ワガノワは「形」を教えたんじゃない。

「身体の使い方」を教えたんだ。


ワガノワは「順番」を教えたんじゃない。

「段階を踏むことの大切さ」を教えたんだ。


ワガノワは「技術」を教えたんじゃない。

「技術の先にある表現」を教えたんだ。


その「本質」が、今、失われようとしている。


---


これからのバレエ界に必要なもの


「じゃあ、どうすればいいんだ?」


そう思ったなら、これだけは伝えておく。


1:「基礎」を軽く見るな


基礎は「通過点」じゃない。

「土台」だ。

土台なしに高い塔は建てられない。


基礎を愚直に繰り返せ。

そこに「魂」が宿る。


2:「身体」を大切にしろ


身体は「道具」じゃない。

「相棒」だ。

相棒を粗末に扱う奴は、長くは続かない。


自分の身体と対話する時間を持て。

それが「長く踊る」秘訣だ。


3:「伝統」を守れ


伝統は「古い」じゃない。

「先人たちの知恵の結晶」だ。

それを守ることは、未来への投資だ。


ワガノワが守ってきたものを、

次の世代に渡せ。


---


結論:ワガノワは「生きている」


よし、最後にこれだけ言わせてくれ。


ワガノワ・メソッドは「死んだ教科書」じゃない。

「生きている哲学」だ。


100年以上前に作られたメソッドだが、

今もなお、進化し続けている。


・新しい解剖学の知見を取り入れ

・新しい指導法を模索し

・新しい表現を生み出している


「古い」から「捨てる」んじゃない。

「古い」から「守る」んだ。


そして、次に「渡す」んだ。


それが、ワガノワ・メソッドの真髄だ。


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