第10話 【完全版】エポールマン、「肩の角度」捨てた瞬間、身体が変わった。
「先生、肩の角度じゃないなら、結局何を動かせばいいんですか?」
前回の話を聞いた若い奴が、食い気味に聞いてきた。
「肩じゃないなら胸って言うけど、胸って具体的に何を…」
俺、その時、立ち上がって背中を見せた。
「見ろ。これが答えだ。」
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ある日、自分自身で体験した「革命」
若い頃、俺も同じとこで詰まってた。
鏡の前で肩ばっか測ってた。
右が前、左が後ろ。
「よし、合ってる」
——嘘だ。
老師は毎回それだけ言った。
理由は言わない。ただ「違う」。
ある日、嫌になって肩をグリグリ回した。
その瞬間、後ろから胸を掴まれた。
「それ、なんで動かさない?」
「……え?」
「肩が動くのは、胸が動くからだ。
胸を止めて肩だけ動かすな。それは逃げだ。」
そこでやっと、繋がった。
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エポールマンを「解剖学」で考える
よし、じゃあ具体的に教える。
「肩の角度じゃないなら、何を動かすのか」
答えは「胸郭」と「骨盤」のズレだ。
解剖学の話を少しするぞ。
胸郭ってのは「肋骨の籠」のこと。
この胸郭が、背骨を中心に左右に回転できる。
骨盤は「骨の輪」のこと。
これも背骨を中心に回転できる。
エポールマンは、
この「胸郭の回転」と「骨盤の回転」を
「ズラす」ことなんだ。
「は?」
そうなると思った。
図がないとわかりづらいよな。
だから、言葉で説明する。
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エポールマンの「3つのレベル」
ワガノワでは、エポールマンを3つのレベルに分けて考える。
レベル1:「骨盤は動かさない」
まず最初にやること。
骨盤は正面を向いたまま。
上半身だけを回す。
具体的には「胸郭」だけを回す。
この時、開く角度はせいぜい15度くらい。
無理に大きく回そうとすると、骨盤がつられて動く。
まずは「胸だけ」を覚えろ。
ここができてない奴は先に進むな。
レベル2:「骨盤も一緒に動かす」
レベル1ができたら、次は骨盤も動かす。
胸郭=肋骨のかご。回る。
骨盤=土台。これも回る。
やることは一つ。
同じ方向に回すな。ズラせ。
すると、「ねじれ」が生まれる。
アイススケートのスピンを見たことあるか?
あれ、上半身と下半身を逆にねじって、
遠心力を生み出してる。
エポールマンも同じ原理だ。
レベル3:「胸郭と骨盤のズレを意識する」
これがワガノワの真骨頂。
胸郭と骨盤の「ズレ」を意識すること。
どれくらいズレてるか。
どこに張力が出て、どう解放するか
→ ここからが表現だ
レベル3になると、鏡は見ない。
自分の体内で何が起きてるかを感じ取る。
ここまで来たら、お前はもう「見た目のエポールマン」から卒業だ。
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ある日の老師、最後の一言
俺がキーロフを去る直前、あの老師に聞いた。
「先生、エポールマンの極意って何ですか?」
去る前に聞いた。
しばらく黙ってから、言った。
「答えは一つじゃない。
教えるのは“答え”じゃなく、“見つけ方”だ。」
肩を測るな。
胸の向きを感じろ。
ズレを探せ。
その旅を、お前はもう始めてる。」
この言葉の重みを理解するのに、さらに10年かかった。
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「肩の角度」を捨てた先にあるもの
さて、ここまで来たら結論を言う。
「肩の角度で作るんじゃないなら、何を作るのか」
エポールマンで作るのは形じゃない。
体軸のねじれだ。
その張力で、視線を引き寄せる。
音楽で、張力を変化させる。
それだけだ。余計な言葉は要らない。
「見る人の視線を、自分の身体に釘付けにする緊張感」
「音楽に合わせて、その緊張を変化させるダイナミクス」
「そこにしかない、その瞬間にしかない表現」
言葉にすると陳腐に聞こえるかもしれない。
でも、これを体現したダンサーを見たことがあるなら、
俺の言いたいことがわかるはずだ。
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具体的な練習法、最後に教える
「先生、じゃあ具体的にどう練習すればいいんですか?」
そう来ると思った。
これが最後の実践編だ。
練習1:「壁を使え」
壁に向かって立つ。
足は肩幅。お腹は壁につけない。
胸だけを右に向けてみろ。
この時、骨盤は正面のまま。
壁に当たるのは「胸」だけ。
骨盤は壁に触れてないはずだ。
これがレベル1の感覚。
練習2:「バーを使え」
今度はバーに横向きに立つ。
右手はバーに軽く添える。
胸だけをバーと逆方向に向ける。
また骨盤は正面のまま。
この時、胸郭と骨盤の「ズレ」を感じろ。
練習3:「鏡を捨てろ」
最後の最後。
鏡の前から離れろ。
目を閉じて、エポールマンをやれ。
鏡で確認しなくても、自分の中に「正しい感覚」があるか?
鏡がなくても踊れる。
それが「身体で覚えた」証拠だ。
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まとめ:エポールマンは「肩の角度」を超えた先にある
よし、これでエポールマン3部作は終わりだ。
もう一度、お前に言う。
肩を追うな。
ズレを作れ。ズレを操れ。
それがワガノワのエポールマンだ。
お前はまだ「肩の角度」を測ってるか?
鏡の前で、右と左の肩の位置を確認してるか?
それを捨てた瞬間、お前のエポールマンは変わる。
胸郭と骨盤。
その「ズレ」を感じ取ったとき、
お前の踊りは次の次元に行く。
「肩の角度で作る」を捨てろ。
「体軸のねじれで作る」を掴め。
それがワガノワのエポールマンだ。
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次回予告
次回から第3ヶ月の後半戦。
「視線と感情の関係を、どう教えますか?」
エポールマンの次は「目」と「心」の話だ。
うわべだけの「表現」をぶった切るぞ。
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いいなと思ったら応援しろ。
肩の角度を測るな。
胸と骨盤のズレを感じろ。




