98. ブセルターン砦の攻防1
そのまま俺は100人の部下とともに領都を出ると決戦の地ブセルターンに向かった。現地に着くと、まず俺は上空に監視装置を浮かべ地形の測量に入った。
ここ、ブセルターンは西側にブセルターン川が流れ、その東側に王都へ続く街道が走っている。そして、街道のさらに東側は少し小高い丘になっている。またその丘の背後は広大な森となっている。
ここ以外では王都まではなだらかな平原となっており、砦を作るような場所はない。
測量図を見ながら砦の配置を決めていく。まず、砦の形は丘陵の等高線に合わせて、川に面した方を頂点とする5角形とした。
その5角形の頂点に櫓を立てて、その櫓を結ぶように城壁を配置する。城壁の上は人がすれ違える幅を確保する。
そして、砦の中央には辺り一面が見渡せるように尖塔を配置する。この尖塔は壁から400m以上離れるようにする。この尖塔の上部に作戦の司令部を置く。
前世の記憶では洋弓ではイングランドのロングボウが最大射程300m、有効射程150m、和弓はそれより長かったと思うが、ここが中世ヨーロッパ似の世界とすればロングボウを対象とすれば、400mも離れれば、少なくとも敵が城内に進入してこない限り弓矢も届かないはずである。安心して指揮が取れる。
そのような考えのもと、もう一度配置計画を確認して、400mの距離が取れないところは櫓と壁をずらした。
城内の通路は迷路にして、壁を越えた敵がすぐに尖塔にたどり着けないようにする。
通路に面して6000人の兵士が生活する兵舎、騎兵の馬の厩舎、食事をする食堂、浴場、武具を修理する工房を設置する。
兵糧や武具はマジックバッグに保管するとして省いた。
次の日からこの配置計画に基づき砦の建設に着手した。まず、木々の伐採と除根、それに整地である。
木々の伐採は風魔法で切り倒しそのまま俺の収納空間ボックスに収納した。
伐根と整地は土魔法で整地しながら根を集めて、そのままこれも俺の収納空間ボックスに収納した。
さすがにこれだけ広いと、この作業だけで1日かかった。
次の日から櫓の建設に着手、これも1日かかった。
次の日からは櫓をつなぐ壁の建設、これには3日かかった。
尖塔の建設には1日かかった。
城内の建物を建設している途中でキニアニオ様とクララとヴァルターズ従士が千人の騎兵とともに到着した。そこで、急いで兵舎と厩舎を建設した。
内部の構造物は後回しにしてとにかく建物だけ先に作った。
そうこうしているうちに魔道馬車で5000人の歩兵の搬送が始まった。
このころになると帝国軍の先発隊が近づいてきていることから、慌てて丘陵を囲むように堀を作って、そこに柵をつけた。
また、ちらほら現れた帝国軍の斥候はクララとネイメー伯爵軍の兵士に始末してもらった。クララも索敵が使えるため、すぐに斥候を探知してくれる。彼女は有能である。
もう戦闘待ったなしである。時間がない。俺は建物の内部設備は後回しにして、攻撃兵器を先に設置することにした。
まず、魔道馬車に設置している爆裂弾の発射装置を5つの櫓に設置した。
次に、尖塔に360度回転式のネイメー水軍の軍艦に設置している砲塔を設置した。この爆裂弾の発射装置と砲塔についてはネイメー伯爵軍の兵士を配置した。
また、俺の命令がすぐに伝わるように監視装置を設置した。
そして、砦には、防火、衝撃吸収、物理耐性、魔法防御、クリーン、自動補修の魔法陣を設置した。
次に、歩兵に弓矢の練習と、密集陣形をとって長槍を突き出す練習をさせた。先のランドル戦争で、歩兵が密集陣形を取り長槍を構えることで、当時最強と言われたラス王国の騎兵の突撃を止めたとシュルツ子爵から聞いたので、今回もそれができないかと考えたのである。
あわただしく砦の建設を進めている頃、ついに帝国軍の本体が現れた。帝国軍は魔道馬車の爆裂弾の射程が500mと長いことを考慮して、砦から3kmほど離れたところに陣を敷いた。
これでは、こちらの攻撃は届かない。しかし、こちらも砦と川の距離は500m以下、爆裂弾の発射装置の射程内である。
帝国軍も砦を落とさない限りここから先へは進めない。さて、敵はどう動く。時間がたてばこちらの勝ちである。
次の日、敵陣の構えが分かった。帝国軍15000人それにこれまで落とした公爵領の町や村から無理やり連れてきたと思われる人間が2000人ほどいる。
本陣は街道の東、砦から3kmの位置、魔法士1000人は中央の本陣の手前当たり、魔法士の西側の川との間に騎兵3000人、その前面に歩兵が、西側の街道沿に5000人、中央の砦に面して3000人、東側の森の抑えに3000人と配置されている。
また、無理やり連れてきた人間2000人は街道沿いに配置されている。




