96.魔獣の氾濫2
俺とクララそれにネイメー伯爵家の領軍100人は、ユリアーネお義姉様の依頼でトゥール公爵領の魔獣狩りを行っている。トゥール公爵領で実際の魔獣狩りを行っているヴァルターズ従士との打ち合わせの結果、俺たちは強い魔獣を中心に狩っていくことになった。
先ほどは弱い魔獣の集団を突き抜けた。そして、今度はオーガや地竜などの強い魔獣である。俺は、パネルに
「これから強い魔獣を狩る。横一列になって同じ個体を攻撃する。一つの魔獣を6台の魔道馬車で同時に攻撃する。
取りこぼしは、後でまた狩ることにして、とにかくこのまま進む。時速は通常速度60kmで行く。この場合1秒間に約17m進む。
この魔道馬車の射程は500m、500m手前から打ち始めたとすると約30秒で魔獣を通り過ぎる。この30秒が魔獣を攻撃できる時間である。
魔獣が3体の場合は6台を3つに分けて攻撃目標を伝える。魔獣が4体の場合は1体は無視する。とにかくスピードは緩めない。
スピードを緩めたら魔獣に囲まれる。囲まれたら終わりである。」
と書き込んだ、しばらくすると、最初の魔獣が現れた。俺はパネルに
「魔獣は1体、1番車から6番車、打ち出す鉛直角45度、方向角右25度」
と記入した。そして3秒後に
「第1弾発射」
と記入した。これは魔獣が1体であったことからすぐに魔獣の反応が消えた。それで
「第1目標クリア」
と書き込んだ。
強い魔獣と接敵してから10分ほど経った。この間に40体ほどの強い魔獣を狩った。そろそろXに接敵するはずである。俺は慎重に索敵を行い、Xの位置を正確に把握するとパネルに
「魔獣は1体、1番車から6番車、打ち出す鉛直角45度、方向角右30度」
と記入した。そして5秒後に
「第1弾発射」
と記入した。これには相手も驚いたようだが、すぐに結界を張って弾を防いだようである。そしてすぐに逃げ出した。
これは魔獣でなく人間だと思ったので、俺はすぐに魔道馬車の上に出て鑑定で相手を調べた。そしたら
「帝国軍人、テイマー」
と出てきたので、すぐに結界を張って中の酸素を抜いた。
しばらくしてXが動かなくなると、それまで統率の取れていた魔獣がばらばらの動きをするようになった。そこで、魔獣を森の方に追い立てて蹴散らした後、魔道馬車の外に出て、Xが気絶していることを確かめると、結界を解除してXに奴隷契約をした。
そして、収納空間ボックスから取り出した荷馬車にXを放り込んだ。
この魔獣の氾濫が帝国によって仕組まれたものであるとすると、これは陽動の可能性が高い。ここにトゥール公爵家の注意を引き付けておいて、トゥール公爵領に攻め入るのかもしれない。
帝国とトゥール公爵領との間には高い山があるので、大きな軍隊は動かしにくい。
そうなると領都で公爵家の人間を狙った暗殺あるいは誘拐の可能性が高い。そこで、
「今回の魔獣の氾濫は帝国の陽動、領都のトゥール公爵家の人間を狙った暗殺あるいは誘拐の可能性がある。
また、帝国が山を越えて侵攻してくる可能性もある。
ナットー町での魔獣の氾濫はあと2時間ぐらいで概ねけりがつく。そしたら、領都へ引き返す。明日の朝には領都に着く。
それまで公爵邸の警備を厳重にしてほしい。なお、俺のこの能力は秘密にしてほしい。ハルト。」
と書いた手紙をユリアーネお義姉様のもとに転送した。
索敵でユリアーネお義姉様の位置を確認するとこの手紙を転送した。手紙が急に目の前に現れると、ユリアーネお義姉様は驚いていたが、手紙には俺の魔力を込めたことから納得してくれたようである。
手紙を読んで、すぐに人を呼んで警備を固めたようである。
とりあえず、公爵邸のことは置いておいて、ここの魔獣の殲滅を再開することにした。統率の取れなくなった魔獣の殲滅は容易であった。魔道馬車を適当に走らせて目についた強力な魔獣を殲滅していった。
そして2時間ぐらいたつと、ほとんど強力な魔獣はいなくなった。
ヴァルターズ従士のもとへ戻ると、
「魔獣を統率していたのは帝国のテイマー、強力な魔獣はほとんど狩った。後はお願いします。この魔獣の氾濫は陽動、領都が危ないのですぐに領都へ向かう。」
と告げて、すぐに領都に向かった。
「強い魔獣はいなくなったのだから、あとは適当にするだろう。弱い魔獣だけなので適当に区切りを付けて、ヴァルターズ従士も領都へ向かうだろう。」
そう思った。




