69.ユルノギ王国王都会戦
シャタイン伯爵家の領軍が全員魔道馬車に乗車したのを確認した後、街道をライトをつけながら安全のため時速40kmぐらいで進んだ。
敵を蹴散らしながら進みたかったので俺の車が先頭である。俺は索敵をかけて、敵軍がいる場合はレンに爆裂弾で敵を粉砕してもらっている。
レンが
「今回は手加減しなくていいだね」
と言ったので、
「いい、好きにすればいい」
と言ったので、レンは自由に爆裂弾を放っている。遠いとわからないのだが、近くまで行くと細切れになった情景がライトに映し出される。それを見たハディー様が戻している。これは第2のユリアーネお義姉様だな。トラウマになる。
取りあえず問題ないと判断したので、俺は、車はそのまま進むが、車内の兵士は仮眠をとるように指示した。そして、王都から60kmぐらい手前で進軍を停止し、見張りの兵士以外睡眠をとるよう指示した。
次の日、未明に起床し、夜明けとともに出発した。王都まで来ると、敵軍は王都の包囲を完了したようである。索敵をかけたら、敵魔法士は分散しているようである。
俺は王都を包囲している帝国軍のそのさらに外側に魔道馬車を展開し、無差別に一斉攻撃させることにした。そして魔法士が魔道馬車に接近するようであれば、その魔道馬車を高速で後退させる。もし魔法士が突出してくるようであれば、周囲から一斉攻撃をかける。この方法に切り替えた。
殲滅は無理だが被害を与えられる。じりじり相手の戦力を削っていけば、ユルノギ王国軍が反撃に転じるだろう。この方針を俺はすべての魔道馬車に伝えた。
「2番車から101番車までは、正面に展開、
102番車から201番車は右側面に展開、
202番車から301番車は背後に展開、
302番車から401番車は左側面に展開、
402番車から500番車は俺の1番車の護衛に回るように。
そのまま一斉砲撃目標は各個に設定。敵魔法士が接近してきたら急速後退。陣形を崩しても問題ない」
との指示をした。レンに
「背面と左側面は俺が監視するから、正面と右側面で魔法士の魔道馬車への接近が見られたら魔道馬車に後退の指示を出して」
と言ったら
「側面までわからない」
と言われたので、レンには正面だけ監視してもらい、側面と背面は俺が監視することになった。
魔道馬車が帝国軍を囲うように配置して一斉攻撃を開始した。あまり有効打になってないようだが時々騎士や兵士が魔道馬車に向けて突撃してくる。しかし騎士や兵士では魔道馬車はびくともしない、反対に蹴散らされて終わり。
そのうち魔法士の攻撃が見られるようになってきた。魔法士の攻撃は射程が魔道馬車より短い。索敵を使いながら、魔法士が魔道馬車に向かってきて、攻撃をするようであれば、随時魔道馬車に後退の指示を出している。
むっちゃ疲れる。神経が磨り減る。2時間くらいですべての魔道馬車を一旦後退させた。小休止。俺とレンの神経が持たない。
2時間の一斉攻撃で辺りは靄が立ち込め、よく見えない。索敵をかけると、敵の指揮官と思われる天幕がある。なぜこれが敵の指揮官と思われたかというと、一斉攻撃がすべて防御魔法で防がれているからである。
念のため、監視装置を送ってみたら、当たり、帝国軍の指揮官だった。
「レン、敵の指揮官の場所が分かったのだけど、この靄に紛れて特攻をかけようと思う。極大の爆裂弾は放てるか」
「できる。ただ、爆裂弾を放つことはできるけど、うまく当てられないと思うので、放った後ハルトが誘導してよ」
「わかった」
「ハディー様、これから敵の指揮官に特攻をかけようと思います。少し、危険な目に遭わせることになりますが、ご容赦願います」
「特攻って、この魔道馬車、大丈夫なの」
「はい敵の魔法攻撃が感知された場合、急速後退しますので問題ありません。無詠唱で極大の魔法を放てるような魔法士はそんなにいません。詠唱を始めた段階で感知できます」
俺は俺の魔道馬車を右側面の後方に移動させると、ゆっくり前進するように指示した。そしてレンが魔法弾を放って、敵陣に着弾後、急速後退するように指示した。
魔道馬車が移動後ゆっくり前進を始めると、俺とレンは魔道馬車の屋根の上に出て、目標をレンに告げた。
敵陣から100mぐらいまで来た時、レンは極大の爆裂弾を放った。それを俺は風魔法で誘導していった。
そうしたら、敵魔法士が相殺する魔法を放ったので、俺は風魔法でレンの魔法の軌道を変えた。
そして敵の魔法弾が通過した後また風魔法で軌道を元に戻した。
レンの放った爆裂弾が着弾した後、魔道馬車は急速後退した。
俺とレンは急いで魔道馬車の中に戻った。たぶん攻撃は成功していると思う。
しかし、辺りはさらに靄がひどくなったのでよくわからない。
ここでいったん休止。2時間ほど休止するので、その間昼食をとるように部隊に指示した。
2時間後、午前中と同様の攻撃を行った。明らかに午前中と違って、敵の反撃はおかしい。しかし、この攻撃は俺とレンの神経が擦り減るので長く続かない。1時間攻撃して1時間休み。そんな攻撃を夕方まで続けた。
ここで1泊して再度明日の朝から攻撃を再開する。そんなことも考えたが敵は3万、こちらは5000囲まれたら不利である。今回の攻撃の成果はわからないが、一旦ここで軍を引くことにした。
「ハディー様、王都の帝国軍の被害はよくわかりませんが、これだけ攻撃しておけばすぐに王都が陥落することはないと思います。
また、ここにいると敵は3万、囲まれたら終わりなので、一旦軍を引き、レ要塞の救援に向かおうと思います。よろしいですか」
「軍の指揮官はハルトなのだから任せるわ」




