48.スパイ狩りと魔道馬車の増産
新学期になり、王都に戻った。そしたら、領都のジグムントお義父様から手紙が届いた。
「最近ベー王国がきな臭い。テー公爵領で運用されている魔道馬車の性能を知りたいようで、巡回中に盗賊に扮した一団に襲われることがある。襲われたときは、すぐに逃げて騎士団を連れてきて対応しているのだが、そうすると賊はすぐに森に逃げてしまい、なかなか捕まらない。盗賊に扮したベー王国のスパイの捕縛を手伝ってほしい」
とのこと。
それで、俺は、ユリアーネお義姉様の護衛をレンに任せて、一度領都に戻ることにした。
学園に休暇届を出して、俺の魔道馬車で領都に戻った。ジグムントお義父様には
「俺の能力を知られたくないので俺単独で動きたい。スパイの捕縛は大変なので殺して、死体は魔物に捕食させて処理したい。公爵領と寄子の貴族の領地のスパイを処理する。1週間ぐらいで戻る」
と言って公爵邸を出た。
「1人で大丈夫か」
と言われたが、
「問題ない」
と答えた。
公爵邸を出ると、俺は森に入っていって、森の最奥の岩場に転移した。そして、岩の中をくりぬいて、そこにバス・トイレ付きで10畳ぐらいの部屋を作って、ベッドと机と椅子を配置した。入り口は岩で蓋をして転移でしか入れないようにした。そこを拠点にすることにした。
机の上に地図を広げ、索敵で森の中にいる人を探した。森の中にいる人に、順次監視装置を送った。そして、監視装置を通じて鑑定魔法をかけた。
そして鑑定の結果、ベー王国のスパイと出た人には、近くに転移し、結界を張って中の酸素を抜いた。スパイが動かなくなると、風魔法で傷をつけて血を出させて、血の匂いで魔物を呼び寄せた。そして転移で拠点に戻る。
そんな生活を3日ほど続けると、公爵領と寄子の貴族の領地からスパイはいなくなった。
1週間したら戻ると言ったので、順次隣接する貴族の領地のスパイも処理していった。そして、1週間したので公爵邸に戻った。
「公爵領と寄子の貴族の領地にいたスパイは処理した。またスパイを見かけるようだったら呼んでくれ、対処する。また王都へ戻る」
と言って王都に戻った。
公爵邸へ戻った後も時間が空くと時々拠点に転移してスパイ狩りをすることにした。アムスム王国内の違う場所にも数か所拠点を作った。
昼は学園、夜寝る前に拠点に転移してスパイ狩り、そして部屋に戻って寝る。そんな生活を3か月ほど続けると、ベー王国内の森の中のスパイは一掃できた。
「たぶん、これで、魔道馬車の性能がベー王国に漏れることはないだろう」
そう思った。
冬の社交シーズンになり、王都にジグムントお義父様とアベリアお義母様それに今年は義弟のアール様がやって来た。ジグムントお義父様とアベリアお義母様はパーティーや舞踏会に出掛けて行った。
そこで、魔道馬車のことが話題になり、是非とも貸与してほしいという貴族からの依頼を多数受けたとのこと。これに対し俺は
「魔道馬車1台作るのに鉄が6tほど必要なので、素材集めからしていると、学園の合間に作るのは無理」
と回答した。
「素材を用意したら作れるか」
と聞かれたので
「魔道馬車1台につき鉄6t、木材5t、魔獣の皮0.3tを用意すること、あと王都近郊の森に入って勝手に他に必要な素材を採取することを認めること。この2つの条件が満たされれば、月に20台くらいの魔道馬車を作る。その場合の賃貸料は月金貨3枚でいい」
と答えた。
「鉄の量を減らせないか」
と言われたが、
「できない」
と答えた。
この条件で貸与を希望した貴族に当たってもらった。大量の鉄が必要になったことからアムスム王国での鉄の値段が高騰した。また鉄を精製できる土魔法の使い手が重宝されるようになった。
レンのところにも依頼が来たが、レンはハルトの手伝いで忙しいと断っている。俺は素材のそろった貴族の注文からこなしている。だいたい月15台ぐらいのペースなので余裕だ。
アムスム王国で鉄の値段が高騰していることから、アムスム王国で魔道馬車が増産されていることは周りの国々に知れ渡っていると思う。
特に緊張関係にあるベー王国との関係悪化が予想される。それで俺は学期末休暇に魔道馬車を100台ぐらい作って収納空間ボックスに保管することにした。




