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212.ポルイスト王国との戦争、サントゥルバオ市攻略

 このようにして、ハルトがいろいろ根回しをした結果、北大陸の国王をはじめほとんどの領主は静観を決め込んだ。


これに焦ったのが、ランド王国にある元の教会本部の司祭と司祭長であった。ハルトを異端として破門したはずが、自分たちが偽物とされたのである。怒り心頭である。しかし、ヨハンの売った譲渡書は帝国とのやり取りで本物とされており、そうなると、ハルトの買った譲渡書も本物となる。すると、自分たちはハルトに任命されていないので偽物となる。理屈ではわかるのだが、納得できない。何とかしなければいけない。


そこで、ランド王国の国王に任命されたことにしてもらおうとした。そうしたら、ランド王国の領主が反発した。せっかく手に入れた領主の司祭の任命権への侵害であるとして国王を責めた。すると、国王は教会本部の司祭と司祭長は任命していないと逃げた。


すると、教会本部の司祭と司祭長は誰も任命していない。自分たちで勝手になったということになった。ますます深みにはまっていく。


 そんな教会本部の窮状に手を差し伸べる者がいた。ポルイスト王国の国王である。彼は、ハルトが無理やり領地をもぎ取って、辺境伯になったことに恨みを抱いており、この機会に領地の奪還を図ることにした。聖戦と称して、異端である辺境伯を打つと宣言した。


早速、ランド王国にある元の教会本部に使者を送った。これには司祭長は大喜びであった。すぐに、教会本部の司祭と司祭長はポルイスト王国の国王から任命してもらった。そして、これにより司祭と司祭長は自信を取り戻した。そして、ポルイスト王国の国王の辺境伯領への戦争を聖戦と認定した。


教会のお墨付きを得たとして、ポルイスト王国の国王が国内の貴族への動員を発令した。


 この情報はすぐにハルトのもとに伝わった。ハルトは、この戦争を受けて立つことにした。この際だから、マエズラ王国の軍隊の実戦経験を兼ねて、マエズラ王国からも軍隊を派遣することにした。マエズラ王国の周辺国への支援軍のうちの魔道馬車については半数、軽騎兵はすべてをポルイスト王国へ派遣することにした。1000台の魔道馬車に乗員6000人、馬運車で移動する軽騎兵10000人である。


しかし、マエズラ王国は今は冬、兵士の参集には時間がかかる。そこで、最初にサウスブニューデン侯爵領から1000台の魔道馬車と乗員5000人と歩兵5000人を出すことにした。


辺境伯領の領軍10000人については現地で引き続き領地の防衛に当たることとした。


派遣部隊の総数としては、魔道馬車2000台と乗員11000人、軽騎兵10000人、歩兵5000人の26000人である。


 まず、エレアンテリア港の安全を確保するため、周辺の諸都市を攻略することにした。第1目標としたのはエレアンテリア港の西に位置するサントゥルバオ市である。


ポルイスト王国の国王が王国内の貴族に動員令を発した3日後に、サウスブニューデン侯爵領から1000台の魔道馬車と乗員5000人と歩兵5000人を、エレアンテリア港に上陸させた。そして、西に向かって進軍させた。今は12月だが、さすが南国、ここでは冬でも軍隊の行軍が出来るようである。もっとも、1000台の魔道馬車なので、5000人の歩兵も全員乗車している。


 敵魔法士の攻撃さえなければ、移動に時間はかからない。山間の街道を余裕で進んでいく。領地境にあるアロアベザ要塞はエレアンテリア港に軍を上陸させた日の夕方には包囲することが出来た。さすがに、ポルイスト王国が動員令を出して、まだ3日しかったっていない。砦には砦を守る貴族の領軍が1000人ほど駐留していたが、増援軍はまだ来ていないようで、次の日に周りから爆裂弾の攻撃を始めると、その日の夕方には降伏した。


 そして、その次の日にはサントゥルバオ市の包囲を完了した。サントゥルバオ市はこの地方の中心都市で、近くには鉄の鉱山もある。そのため、市内には鍛冶屋も多く、武具の生産も盛んである。ここを抑えることにより、ポルイスト王国には経済的打撃を与えることもできる。ここを治めるサントゥルバオ侯爵は、当初徹底抗戦を主張したが、動員令を受け取ってまだ3日、寄子の貴族や領民への動員令を出したばかりで、まだ兵士の参集は始まっていなかった。そのような段階で包囲されたのである。準備不足は否めず、市内に厭世観が広まるにつれ戦意を失っていった。そして、3日後には降伏した。


 その後、ここに駐留軍として、魔道馬車200台乗員1000人と歩兵3000人を残し、俺は南のビトリア市に向けて進軍した。そして次の日にはビトアリア市を包囲した。さすがに、ここではサントゥルバオ市が包囲された時点で、兵の参集と食料の緊急調達を進めたようで、中々降伏しそうにはない。


 そうこうしているうちに、マエズラ王国からの派遣軍が到着した。これでビトアリア市を包囲する軍は、1800台の魔道馬車に乗員10000人、歩兵2000人、軽騎兵10000人である。これでビトアリア市の包囲もかなり厚めになった。しかし、都市を囲む城壁も堅固で、近くに市内を見下ろせる丘もないので、ここで年を越すことになりそうである。力任せに攻めてもいいのであるが、俺としてはなるべく犠牲を出したくないのでじっくり攻めることにした。まだ、ポルイスト王国からの援軍はこないようである。国王は焦っているだろうが、冬ということで、貴族や農民の動きは遅いようである。


 王国歴352年12月、ポルイスト王国から戦争を仕掛けられたハルト42歳、ポルイスト王国は戦乱の渦中にある。

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