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210.破門対策会議

 出席した司祭に対して、俺は

「俺のところに俺を破門したという、通知文が届いたが、それは偽物だ。なぜなら、俺は今の司祭長を任命していない。また押されていた印影も偽物だ」

「それはどういうことですか」

「ここに、3年ほど前にヨハンという司祭から買った、帝国を除く北大陸すべての司祭と司祭長の任命権の譲渡書と印章がある。帝国ではこれに金貨3万枚を払ったというので、俺は印章も付けると言われたので金貨10万枚を払った。当時の帝国と教会本部のやり取りでは、この譲渡書は本物ということになった。だからこの譲渡書も本物である。また、鑑定してもらえれば分かると思うが、この印章は本物である」


 一人の司祭が

「その譲渡書を拝見してもいいですか」

「どうぞ、ついでに印章も鑑定してくれ」

俺が、譲渡書と印章を渡すと、その司祭は念入りにその譲渡書と印章を見ていた。そして

「私が、鑑定したところ、この譲渡書と印章は本物です。そうなると、今の教会本部の司祭長は偽物ということになりますな。

おかしいとは思っていたのですよ。理由もなくいきなり『ハルト様を破門にする』と言われても。それで、理由を聞いたのですが、『教会の教義に反した』としか言わないし、『理由もなく信徒を破門にするのは教義に反する』と私たちも抗議していたのですよ」

「そうでしたか、それはありがたいことです」


「それで、今後どうするのですか」

「まず、この会議に出席しなかった司祭を罷免して財残没収の上領地外追放とする。それから、ここサウスナンテンブルグに北大陸の教会本部を設置する。この中で誰か司祭長をしたい者はいるか。その者を北大陸の教会本部の司祭長とする。俺には北大陸の司祭の任命権があるし、本物の印章もある。そして、『今のランド王国の司祭長は偽物で、俺の破門通知も偽物』という通知文を北大陸の教会に通知する」

「その後はどうするのですか」


「俺は宗教のことはよくわからん。宗教はその人が信仰していればいいと思っている。他から強制されたりしなければ、誰でも自由に好きな宗教を選べばいいと思っている。そこに、信仰を否定するようなことはすべきではないと思っている。深く考えたことがないので、それ以上は分からん。後のことはお前たち司祭に任せる。他ともめなければそれでいい」

「わかりました、ハルト様がそのようなお考えでしたら、司祭長は私がやらせてもらいましょう」


 ということで、領地で一番偉い司祭が司祭長を引き受けてくれた。そして、「今のランド王国の司祭長は偽物で、ハルト様の破門通知も偽物。ただし、これまでに各国の領主の買った司祭の任命権は有効。偽物は教会本部の司祭と司祭長のみ」という通知文を北大陸の教会に通知した。俺は、会議に出席しなかった司祭を罷免し、財産没収の上領地外に追放した。


 俺が任命した司祭長の発した文書により北大陸に激震が走った。ランド王国の教会本部の司祭長が偽物となるのである。信じられないことである。しかし、ペテン師が帝国皇帝に売った譲渡書は本物となっており、これは変えられない。そうしないとせっかく買った領主の任命権が無くなってしまうのだ。各国の領主は、ランド王国の教会本部に問い合わせたり、サウスナンテンブルグに新しくできた教会本部に問い合わせたりしていたが、せっかく手に入れた司祭の任命権を手放したくないので、ほとんどの領主は静観を決め込んだ。


 この間に俺は、俺の領内の教会に司祭に再度忠誠を従わせた。また、フラ王国のサウスブニューデン侯爵領だけでなく、アムスム王国のネイメー伯爵領やポルイスト王国の辺境伯領やマエズラ王国でも同様の会議を行って、忠誠を取り付けた。また、アムスム王国やフラ王国の他の貴族へも働きかけを行った。また、北の都市同盟を通じて帝国の各領主へも働きかけを行った。そして着々と、ランド王国の教会本部への締め付けを強めていった。

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