138.レムの魔獣討伐
婚約者のロタ様に長期休暇まで待てないから、10月の終わりのショート休暇に辺境伯へ行って、魔獣狩りをしたいと懇願したら、了解が得られたが、ショート休暇は1週間しかないので、魔道馬車で行くと行き帰りで4日も取られる。これでは魔獣を狩る時間が無くなってしまう。ということで授業の終わった夕方に転移で伯爵領の領主館に行くことにした。帰りも同様である。
「私が転移魔法を使える。ただし秘密にしてね」
と言うとロタ様は驚いていた。
「転移魔法なんて使える人がいるなんて聞いたことがない」
と言っていたので
「父も母も姉や兄、弟や妹も使える」
というと
「お前たち家族は異常だ」
と言われた。
金曜日の夕方、ロタ様に王都の伯爵邸に来てもらい、そこからロタ様と一緒に辺境伯様の領主館に転移した。
「面白そうだ」と言って、マーサ姉さんとルナ姉さんもついてきた。
領主館に行くと当主様も夫人も急に目の前に4人が現れるので驚いていた。
「これが転移魔法か。初めて見る」
とのこと。
「内緒にしてね」
と言ったら、
「ここに働く者にはこのことは口外しないよう厳命しておく」
と言われた。
次の日の朝から魔道馬車に乗って魔獣狩りをすることになった。
どうせなら、私とロタ様で1台の魔道馬車に乗って、マーサ姉さんとルナ姉さんがもう1台の魔道馬車に乗って、どちらが多くの魔獣を狩れるか競争しようということになった。
魔獣の多くいるのは帝国との国境近くの平原近くだそうだ。ただし、何かあっても困るので、国境の近くにはいかないことになった。それで国境から10km程離れた平原とその近くの山岳地帯で魔獣を狩ることになった。明日が待ち遠しい。その日はぐっすり寝られた。
次の日の朝、領主館を私たち2台の魔道馬車と護衛の10台の魔道馬車で出発した。昼前に目的の平原に着いた。昼食をとって、さあ、午後からは狩り時間だ。
早速索敵をかけると、この平原には強そうな魔獣はいない。姉さんたちはここで魔獣を狩るようだが、弱い魔獣ではつまらない。そこで少し離れた山岳地帯に行った。
索敵をかけると、やったワイバーン、地竜、オーガ強い魔獣がより取り見取り。それで魔道馬車の運転手に
「あっちへ行け。こっちへ行け」
と指示を出しながら魔道馬車を走らせた。
横にいるロタ様は何も言わない。好きにさせてくれている。一度
「どうして魔獣の位置が分かるのか」
と言われたので、
「強い魔獣は強い魔力を出しているから、それを感じれば魔獣の位置が分かる」
と答えた。
私の魔法は500mぐらいは届く。普通の魔法士は50mぐらいらしい。姉さんたちも500mは飛ばせない。
それに今回私は少し試したいことがあった。それは放った魔法を転移でさらに遠くへ飛ばせないか。最初はあまりうまくできなかったが、やっているうちにだんだんと遠くへ飛ばせるようになった。そして見える範囲ならかなり遠くまで飛ばせるようになった。これを索敵と連動して魔力弾を誘導すると百発百中、これ無敵じゃん。
ただ悲しいかな、魔力弾だと魔獣が木っ端みじん素材の回収ができない。そこで土魔法で銃弾を作ってこれを魔獣の急所を狙って放つようにした。これは難しい、繊細な魔力の操作が必要になる。結局、銃弾の数で勝負することにした。
夕方になってきたので、姉さんたちのところへ戻った。姉さんたちはずっと最初の平原で魔獣を狩っていたようである。どちらが多くの魔獣を狩ったかということで収納空間ボックスから魔獣を出したら、姉さんたちの狩った魔獣は弱い魔獣ばかりだったけど綺麗に急所を狙って狩られていた。私の狩った魔獣は強い魔獣ばかりだったけど、ぐちゃぐちゃ、原形をとどめない物もある。
姉さんたちに
「これは私たちの勝ね」
と言われたので
「狩った魔獣は私の方が強い」
と言うと、
「でもこれじゃギルドで買い取ってくれないでしょ。買ってくれるとしたら魔石ぐらいね」
と言われた。
今日の勝負は姉たちの勝。
「明日からはもっと丁寧に狩ろう」
と思った。
「でも今日は思い切り魔法をぶちかませて気持ちよかった。楽しかった」
そう思った。




