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3年間、聖女を偽ることになりました。ドッペルゲンガーです。  作者: 廿楽 亜久
第15話 騙してはいるけど

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後編

 呆れるようなクリミナの視線は無視して、マリアーナを椅子に座らせる。


 ただ抜け出すだけでは、すぐにまた呼ばれてしまう。

 もちろん、教会の人には「妹とお茶してくる」と伝えているが、念には念を。というやつだ。


「どうせなら、前の店に連れて行ってやればいいのに、わざわざこんな辛気臭い場所に連れてくるなんてな」


 辛気臭いって自分で言うのか。


 とはいえ、クリミナの言葉にも一理ある。正直なところ、下手な店に連れて行って、嘘がバレる方が怖かったというのはある。

 生まれてからずっと一緒にいる妹を騙すというのは、相当緊張感があるのだ。


 でも、ここでマリアーナを無視する方が、イザベラとしてありえない。


「いいじゃない。店にまで呼び出しが来たらいやでしょう?」

「アイツに見張りをさせればいい」

「シエルだって、いつも暇じゃないわよ……」

「呼べば来るけどな」

「そ、それはクリミナさんだからな気がしますが……」


 マリアーナの言葉に、ついいつものように頷きそうになるが、堪えて、悪戯に笑みを浮かべて「ねー」とマリアーナと共に頷く。


「クリミナさんの研究のお邪魔してはいけませんし、私は教会に戻――」


 この魔女のぶっきらぼうな態度のせいで、マリアーナが困ったように帰ろうと扉に手をかけるが、扉の先の空間に、慌てたように扉を閉めた。


「ぇ……? って、ク、クリミナぁ? またあなたは変なことを……!!」


 一瞬巣が出そうになってしまったが、何とか取り繕えば、マリアーナも青い顔でクリミナの事を見ていた。


「人の部屋に訪ねてきて、茶のひとつも淹れないからだろ」

「普通、逆じゃないかしら?」

「い、いえ! お茶ですね。お淹れしますよ。姉さまも座っていてください」


 止めようとするドッペルを制して、マリアーナは慣れた様子で、棚に茶葉を取りに行っては、ポットにお湯を注いでいた。


 慣れてる……?


 ドッペルが疑問に思うが、イザベラに悪友と称されていたクリミナの部屋なのだから、マリアーナもよく来たことがあるのかもしれない。

 何故、茶葉の場所などに慣れているのかは、見覚えがあるから。ということにしておこう。

 下手に口に出してボロが出てもまずい。


「姉さまが旅に出てから、クリミナさんは気に掛けてくれたんですよ。だから、姉さまほどではないですけど、この部屋に来てたんですよ」


 マリアーナを見ていたことに気がつかれてしまったのか、少し自慢気に答えられては、何とも曖昧な笑いしか返せなかった。


「それはいいことだけど、クリミナに毒されてるみたいで、心配ね」

「言うじゃないか」


 鼻で笑うクリミナに、つい目が細くなりそうだが、楽し気に笑うマリアーナに、毒気が抜かれてしまう。

 この反応からして、以前からクリミナとイザベラの関係は、このような形だったのだろう。


「任せてください! シエルさんに、クリミナさんの好みのお茶とお茶菓子、姉さまが置いていた茶葉とお茶菓子の場所は聞いています!」

「我が妹ながら、一生懸命で心配になるわね……」


 特に聞いてはいなかったが、イザベラもイザベラで、この部屋をだいぶ自由に使っていたようだ。

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