68 信長、怒る
「このうつけがっ!」
信長は熊を叱りつけた
・・・殴らなかっただけましだと言いたい
いや昔殴ったんだが殴った手の方が痛かったんでそれ以来熊を殴るのを止めた
肉食の熊は全身筋肉の塊なので意外に固いのである
「申し訳ありませんでしたっ!」
見事な土下座だった
熊曰く、師匠である羅羅羅木直伝らしい
・・・土下座の師匠ってなんだよというツッコミをしない信長は確実に熊に毒されていた
話を少し戻そう
清州城にいる織田家の主である斯波義銀が困っているからと信康と熊を貸しだした
織田家本家が馬鹿をやったせいだ
信康は人生経験が豊富で信頼できるから当然だ
それに対して熊の方は少々、いやだいぶ心元なかった
だからいく前に念押ししておいた
「大人しく仕事してろ(意訳)」
まさか斯波家を潰しちゃって織田家がその座を奪い取るように裏から手配しろと言う意味だと思われているとは考えもしなかった
知らせを聞いてすぐに使いを出した
熊、那古野城にすぐ来い!
・・・清州城から那古野城まで走ってくるとは思わなかった
「意外に近いですな」
汗だらけのわりに平気な顔をしていた
・・・友達を止めようかと思ったのは内緒だ
清州城でのことを叱りつけると熊の勘違いに気が付いたようで即座に土下座してきた
熊曰く
最初は大人しくしていたそうだ
でもさすがに腐ったものを食べさせられて大人しくしているのは我慢ならん
必死になって言い訳してきた
・・・熊が悪いのか、料理人が悪いのか、自信がなくなってきた
「殿!、悪即斬です!」
熱心に悪の道を勧めてきた
「厄介事の9割は殴れば済む」と常日頃言うだけのことはある
だがなそう言う事言うから信用がなくなるんだ
「大うつけ!」
大声で叱りつけた信長は悪くない




