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信長様と行く戦国時代  作者: 焼ミートスパ
第4章 織田大和守家消滅編
69/84

64 料理人達、頭を抱える

「「「申し訳ありませんでした」」」


料理人達は頭を下げていた




そりゃそうである


斯波家筆頭家臣の由宇喜一


織田家出向家臣の織田信康


清州城のトップ3のうちの2人が目の前にいるのだ


それらを前にしてタダの料理人がどうにかなるものではない


・・・ちなみにトップの斯波義銀は親族を殺されたせいでひきこもっていたりする




まあそんな訳でしっかり熊への嫌がらせを吐かされた




「あれあれあれ、言っていることが違いませんか?」


などと熊がトコトン言葉責めしたせいである


・・・世の中のすべてを見通すことができる存がいたら「どこの変な髪形をした弁護士だよ!」と盛大にツッコミが入ったことだろう




まあ実際は


「おやおやおや、ずいぶん口が重いじゃありませんか、おかしいですね、先ほどはあれほど口が廻っていたというのに!一体どうしたというのでしょう?、ひょっとしたら体調が悪いのですか?いやそんなことはないでしょう、ついちょっと前まではあれほど楽しそうに仲間内で嗤っていたというのに、まさか全員が体調不良になったなどふざけたことはいいませんよね、いや私はそれでもいいのですよ、貴方達の身体を心配して差し上げましょう、いやすぐに横になれるように手配してさしあげました、寝床に行ってゆっくりするためにもきっちり自分達の行いを洗いざらい喋ってもらいましょう、老婆心ながら早く言った方がいいですよ?、なにせ偉い方が二人もいらっしゃるんです、あまり御手間を掛けさせるのは不忠というものです、貴方達は斯波家の看板を背負っているなどとずいぶん御大層なことをおっしゃっていましたね、あんたらに忠義の心があるなのなら、さっさと言いなさい、いやさっさと言いやがれ!(約10分間にも及ぶ言葉責めの出だしの1分分)」


なのである



ココまで言われた上に偉い人間とその部下、ついでに清州城で働く身分の低い使用人達が周りで息をひそめて今後を伺っているのだ


嘘をつくという選択肢はなかった





・・・なにせ嫌がらせというのは隠れてやっていても結構見られているものなのである


そんな訳でおだけのしようにんに嫌がらせをしているのを下働きの人間のほとんどが知っていた


よほどの性根の腐った人間でない限り嘘は付けるはずがないのである





と言う訳で


古くなって臭いがする漬け物


味噌を溶かしただけの味噌汁


粟稗のみのごはん


もちろん料は少なめ


といった嫌がらせの数々をしっかり吐かされた




・・・清州城じぶんのがわの使用人の嫌がらせを聞いて由宇は頭を抱えていた


跡取りの斯波義銀がひきこもりで不在の今、斯波家の(暫定)トップだからである




人手がないからとわざわざ織田信長が送ってくれた人間を虐待していた


信長から「その喧嘩は高値で買おう(意訳)」と言われるのは目に見えている


尾張の大うつけ、つまり常識が通じない人間、というのは伊達ではないのである


そりゃ頭を抱えるというものだ





・・・いつの時代も食べ物の怨みはとてつもなかったと言う訳である






偉い人間が文字通り頭を抱えたので料理人達は同じように頭を抱えたくなった


早い話、バカやってごめんなさい、である





まあ後悔してももう遅い


なにせひがいしゃは売られた喧嘩を高値で買うどころか逆に大金けんりゃくしゃを叩きつけてきたのだ


気分は手も足もでないのでもう好きにしてください、であった




料理人の所だけどんよりした空気が漂っていた






しかしどこにでも空気の読めない人間はいるもので


「それくらいで!」


と見物人の一人が喚きだした




料理人達はさらに頭を抱えた




只でさえ自業自得で崖っぷちなのだ


それなのに知らない人間が後ろから押して崖から落とそうとしている?


お願いだから口出さないでくれ、というのが本音であった





まあ偉い人間が目白押しな現在、口を開く事はゆるされていなかった


そのため俎の上の鯉となっていた






「だったら清州城のゴハンはずっとアレで」


熊がさらに追い打ちをかけてきた




大体


「トラブルの9割は殴れば解決する」


などと言うにんげんに常識や温情や手加減を求める方が悪いのである


実際に野盗や織田信勝を木刀で叩きのめしてなんの良心の呵責もないのだ




・・・早い話「PTSD(トラウマ?なにそれ美味しいの?」という人間がまともな訳が無いのである





おかげで料理人達は城中の人間から怨みを買うことになった


なおいらん口を出してきたバカも一緒であるのが唯一の救いであった


・・・水面に浮いたわらしべ程度の救いなのが嗤える






<シーン>


熊に無理矢理食べさせられる風景が頭に浮かび絶望したためその場の空気が凍っていた









「もしも破ったものは罰ゲームだ!」


熊がさらに追い打ちをかけてきた


何気に嬉しそうであった






・・・もしも神様がいたら「性格が破綻した千年アイテム所持者のようにノリノリだった」と証言することだろう





たかが一農民の勝手な宣言


普通なら無視すればよい


だが、残念ながら熊相手だとそうもいかなかった





なにせ、農民のくせに清州城の本丸まで突撃した人間なのである


敵に回ったら笑顔で殴りにくることは今となっては誰もが知っている確実な未来である


そんな相手に文句を言える人間はいなかった


・・・いるとしたら飼い主の信長だけだろう





たった一人でほぼ全斯波家家臣を叩きのめした件だが、後世の人間が詳細を知ったら


どこの殺さずの剣客だ?


と驚くことだろう




・・・一対多を想定しておいてよかった、と熊が後で信長に語り、「この大うつけ!」と叱られるのはまた別の話

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