第17話「涙」
石田が死んだ後、土谷は色んなものを物色した。
どこにも、自分たち以外にこの島に来た人物の情報はない。
いくら探したところで、出ては来ないし、研究し始めた時の情報もそんな前の物はないことがわかった。
幻覚という症状のせいで、疑心暗鬼に陥り、自分自身がどれだけのことをしてしまったのかを痛感する。
しばらくして、他の人間がこの部屋を訪れた。
石田の死体を見ても怯える様子は無い。
まるで、それを知っていたかのように。
そして彼らは土谷に深々と頭を下げた。
「石田さんから言われていたんです。
自分は殺されてしまうかもしれないと。
そして、その時はこのようにしろと言われています。
あなた方の友人を救えず申し訳ありません。」
「これは現実?」
「そうです。残念ながら。
恐らく、あなたが飲んだ薬の効果は消えているはずです。」
土谷は深い絶望に囚われてしまった。
そこからの記憶はあまり残っていない。
石田を殺した時のように、あまりに一瞬のことだったからだ。
やっとの事で時間の進みが元通りになったのは樺島が研究施設について、外で彼の姿を見たときだった。
感情が溢れ出し、涙が目の中から溢れ出てしまう。
全ての人が彼のことを心配した。
けれど、土谷には未来が見えていたのだ。
この島にいる人間が全て死に絶えた時、最後に残るのは自分であることが。
土谷は泣きながら、樺島から岡本と広瀬が死んでしまったことを聞いた。
そして樺島と、一緒についてきた人たちに向かってこう言った。
「ごめん。
俺、みんなのこと救えなかった。
みんなのこと、殺しちゃった。」
数週間後…
土谷は島の海辺にいた。
やせ細り、命は残りわずかだろう。
やっと、やっとみんなの元に行くことができるのだと、内心嬉しかった。
彼の周りには原型を留めていない人間の形をしたものが3体ほど横たわっていた。




