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毒婦と王子と従者 10 王と謁見


「父上がお呼びだよ」


そうイルテに言われて、急いで支度をした。これが終わればパーティーを開くのだったはず。

廊下をすれ違うと、貴族達が通りがかりに嫌味を言ってくる。

あれが王子をたぶらかした“毒婦”か、等と今までにいわれたことのない侮辱だった。


以前はお目通りがかなわなかった王の謁見の間に入ると、ズヴィは玉座を見るなり驚いた様子を見せた。



「おお、生きていたか。そちはなかなか死なぬのう」


そう言うと一同の表情が一変する。なぜ、彼女と初対面のはずの王が、そんなことをいうのだ?


「お前の血族に生きておられては困るのぅ……」


笑顔でおぞましい発言をしている。イルテも王に狼狽し始めた。


「そちは孤児だな?」

「はい」


「そうじゃろうなぁ……そちの父親が15で死んでな! 妻のほうはやはり子を逃がしていたのか……城の地下で嬲り殺してくれたのも公爵あった余でのぅ……」


王は優しそうなのに、怖い。拷問だのの話でニコニコとしながらたまに狂喜している。

息子が魔族の女を連れてきたから頭がおかしくなった?

この男が私の両親を殺した?


「息子と結婚するんだったな? 神の赦しが下りればの話だが……」


高笑いをして、周りの人間も引いている。


「しないわ……するわけがない……」

「ズヴィ……」


私は窓ガラスをぶち破り、外へ飛び出した。


私は我慢しているのに、なぜ人間の王がそんなことをした?

彼が憎くてたまらない。生まれる前に家族を奪われて、10年も時間を人間に奪われて……。

復讐してやりたいが、今までの我慢が水の泡になる。


どうしたらいい? 誰か、助けて……。

涙で視界がぼやけて、うまく飛べなくなって……。


私はそのまま木に激突して、森に落ちてしまった。



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